なぜ面白いのか

見たもの触れたものを保存しておく場所。映画、ドラマ、ゲーム、書籍の感想や考察。

愛しの疑似家族「スパイファミリー」感想

母からの推薦で、かなり久しぶりに漫画を読んだ。

これがもうわたしの好みにド直球で、3日で4周くらい読んでいる。で、これはぜひ感想を書いてこの面白さを書き残し広めたいと思った。

その名も「スパイファミリー」

スパイもの(特に冷戦期)の洋画好きにはたまらんやつだった。

コードネーム U.N.C.L.E.キングスマンみたいなはちゃめちゃなスパイ映画が好きな方にはぜひおすすめしたい。世界設定やアクションはアンクルが近いが、ノリは「ジョニー・イングリッシュ」かもしれない。

基本的にはギャグ漫画で気楽に読めるのだが、007ミッション・インポシブルのようなスパイアクションもののお約束もあり、ジョン・ル・カレ作品のような本格スパイものの空気が感じられることも(たまに)あり、まあとにかくスパイものが好きならきっと楽しめる。

あとブラックジャックピノコの関係が好きだった人にもたまらない気がする。表紙に描かれたアーニャちゃんを見たときの第一印象でピノコを連想したのだが、これは意外と的外れではなかった。「訳アリな少女とその保護者(たち)による疑似家族」というジャンルが好きならこれもまた楽しめるはずだ。

以下、ややネタバレを含みつつの感想になるが、この作品はそこまでネタバレが致命的な話ではないので、未読でもあまり気にしない方はこのままどうぞ。

でもできればこの場で買ってから続きを読んでくれ。

 

 

 セット販売もあるよ!

 

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ドラゴンよりももっと怖い敵と戦っている人たちのために「Prince & Knight 王子と騎士」感想

先月某日、Twitter でこの絵本のことがバズった(主に英語圏で)。

絵本の中身の画像を使っているので引用はしないけれど、王子と騎士が結ばれる結末に感動したという趣旨だった。

絵もかわいらしいし(Amazon のなか見を覗いてみてほしい。肝心の王子と騎士の幸せそうな笑顔が掲載されていないのが残念だが、ネタバレか……)、多様性を支えるこういう作品を支持したいと思って買ってみた。

あまりにも優しい世界だった。世界はこうあってほしいと思って泣いた。

これは日本語でもしっかり紹介されるべき作品だと思ったのでここでネタバレレビューしてみる。

どうか日本でもどこかの出版社さんが出してくれますように。

 

【20190827追記】

とうとう日本語版「王子と騎士」が発売に! おめでとうございます! たくさん読まれてほしい!

https://amzn.to/30Af3EQ

(追記ここまで)

 

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刑事二コラ・タナーを全力でプレゼンする「刑事トム・ソーン」原作15巻 The Killing Habit 感想

「刑事トム・ソーン」シリーズ最新刊(15巻) The Killing Habit を読み終えた。

わたしにはセラピーが必要である。

わたしにとってセラピーとはすなわち書くことである。

まとまりのない文をぐだぐだと書くことになりそうだが、まとまりのない文をぐだぐだと書くことが目的なのだから仕方ない。

刑事二コラ・タナーの魅力と、彼女にふりかかった過酷すぎる展開について語る。

The Killing Habit だけではなく14巻 Love Like Blood のネタバレも全開につき注意。

 

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こわがりねこちゃんの決断「刑事トム・ソーン」原作2巻 "Scaredy Cat" ネタバレ感想

本日も「刑事トム・ソーン」シリーズの原作 Scaredy Cat の感想。

これはドラマ版トム・ソーンS2「臆病な殺人者」の原作。なおドラマ版の原題は "Scaredycat" だが、原作は "Scaredy Cat" である。

www.superdramatv.com

ドラマ版を先に見た人にとっては驚愕の展開が続く原作であった。

先に読んだS1原作「グッナイ、スリーピーヘッド」(邦訳が出ている)もドラマ版とは犯人が違ったり、15年前の事件の経緯が違ったりしていたが、こっちもかなりの魔改造ぶり。

正直に言って、話の筋だけ見ると個人的には原作の方が面白かった。ドラマ版キャストでこれが見たかった~! というシーンも多かった。そしてドラマ版S2ではフィルくん以外のキャラの好感度がうなぎ下がりだったわけだが、原作ではそこまででもない。あとトゥアンは影も形も登場しない。

ドラマ版を見た人こそこれを読んでびっくりしてほしい。

以下は犯人に関するネタバレあり感想。犯人の正体に関するネタバレは一応避ける。ドラマ版を見ているのを前提で書いているため、ドラマ版は全部ネタバレあり。

 

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フィルのハッピーエンド「刑事トム・ソーン」原作13巻 Time of Death 感想

「The Bones Beneath」がとても面白かったので、そのまま続巻を一気読み!

こっちも面白い! 萌えと燃えがすごい!!

「The Bones Beneath」の事件から数か月後、ヘレンと休暇に出かけるトム。いい雰囲気で食事をしてホテルの部屋に帰り、シャワーを浴びて出てきたところで、ヘレンがテレビのニュースに釘付けになっていた。

ここのところ話題になっていた連続少女誘拐事件の容疑者ステファン・ベイツが逮捕されたという。容疑者はヘレンの旧友リンダの夫だった。今すぐ地元に帰らなきゃ、と支度を始めるヘレン。

お預けをくらったトムはヘレンとともに田舎へ向かい――?

という導入。

要するに、トムたちはこの容疑者の無実を証明できるのか? というところが今回の焦点。

途中からフィルくんも休暇をとってトムのところへ「来ちゃった♪」するし、病理学者として大活躍するし、フィルくんファンにはおいしい一冊だった。

以下、事件のネタバレはなし。フィルくんがどうなるかだけ全部ネタバレしての感想。

 

 

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友情と選択「刑事トム・ソーン」原作12巻 The Bones Beneath ネタバレ感想

エイダン・ギレン目当てでドラマ「刑事トム・ソーン」を見た。

ギレンさんはゲイの病理学者(検死もするよ!)フィル・ヘンドリクス役。

この役が、作画はいいし、作中での活躍っぷりも素晴らしいし、主人公トムへの秘めた片思いもほのめかされていたりと大変おいしかった。

どうやら原作があるらしいと知り、1巻だけ出ている邦訳版を読んでみた。

ドラマ版 sleepyhead とは展開も犯人も違って、二度おいしい話だった。

原作1巻のフィルくんは、眼鏡+ピアス8つ+タトゥー+ポニーテール+変な帽子を集めるのが趣味という、ドラマ版よりさらにパンチの効いた外見。トムより10歳年下。ギレンさんにその格好してほしかった。

2巻以降は邦訳はないのだが、どうやら12巻でフィルくんがトラウマを負うような事件が起こるらしい。

で、いてもたってもいられなくなってKindle版をポチったという次第である(外国語の本をKindleで買うのは初めてだったけど、その場で辞書を呼び出せるから読むのが楽だということがわかった)。

そうしたらもうこれがどストライクのお話で、フィルくんのシーンをもう何度読み返したことか。よくわからない言い回しも多々あったが、フィルくんのシーン以外は大体の流れさえ掴めればOKという緩い態度で読み進めた。

そんなわけでいろいろと誤解や誤読もありそうなのだが、たいへん萌えたのでそのへんを語りたい。全部ネタバレしているのでこれから読む方は注意。読む予定はないけどドラマ版フィルくんが好きで、あのあとどうなるの? と思っている方はうぇるかむ。

 

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曲線と非対称性「塔の上のラプンツェル」アートブック感想

先日買ったディズニー版「塔の上のラプンツェル」のアートブック(The Art of 塔の上のラプンツェル)が素晴らしかったので、それについて書き残しておきたい。

結論から言うと、映画ファンはもちろん、絵やデザインを学んでいる人、携わっている人みんなにおすすめできる一冊だった。

映画本編と本書の内容が全面的にネタバレされているため注意。

 

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