なぜ面白いのか

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リトルフィンガーボーイの青春ほか「ゲームオブスローンズ」感想・原作中心

「ゲームオブスローンズ」原作1冊目、『七王国の玉座』の上巻を読み終えた。

本のカバーをとると「A Game of Thrones」と書かれていてテンションが上がる。

現在下巻を読み始めたところ。

結構厚いし読み応えあるし、うっかり徹夜にならないかと心配したけど、ドラマと同じく頻繁に視点が移動してそこで話が途切れるので、少しずつ読み進められそう。

(次のエダードの章だけ読んでから寝よう、みたいに)

ドラマとは固有名詞の表記がかなり違っているのが気になるが、そこは脳内変換しながら読んでいる。

以下、原作を読んで気づいたことを中心に、ドラマS4までのネタバレと考察あり(リトルフィンガー以外についてもあれこれ)。       

もうね、いろいろ語りたいことが多すぎる。

 

 

 

【ゲームオブスローンズ記事目次はこちら】

ネタバレの存在しない歴史ドラマ「ゲームオブスローンズ」(S3前半まで)感想 - なぜ面白いのか

 

リトルフィンガーボーイの青春

ドラマS4ではいろいろやらかしまくっているピーター・ベーリッシュ公だが、原作で語られる若き日のリトルフィンガーのエピソードがぐっときた。

キャトリンとライサと一緒に兄弟のように育って、キャトリンに片思い状態で、でもキャトリンからは弟のようにしか思われておらず、一方ライサからは好かれているという三角関係。

キャトリンがエダードの兄ブランドンと婚約した後の、リトルフィンガーとブランドンの決闘。

キャトリンがブランドンに「ピーターを殺さないで」と頼んだことについてはドラマでも語られていた。

 

原作のキャトリンは、ティリオンの決闘裁判のシーンを見ながら過去の決闘のことを回想する。

リトルフィンガーは何度も傷を負って、降参を勧められたがそのたびにブランドンに立ち向かった。結局深く切りつけられて瀕死の重傷を負ったところで決闘は終わった。

キャトリンは彼を見舞うことも許されず、S1のキングスランディングでの再会まで二人は顔を合わせることはなかった。

 

ちなみにこのときリトルフィンガーの手当てをしたのはライサ。

ひょっとしてライサとリトルフィンガーの関係はこのときからか。

(ライサ→リトルフィンガーの気持ちはもっと前からだと思うが)

 

なんというか、今のリトルフィンガーのキャラと結びつくような、つかないような。

少なくとも今の彼なら恋愛をかけた決闘はしないだろう。

彼はいつから「今の彼」になったのだろうか。

キャトリンはリトルフィンガーについて昔から利口だったと語っているが、その「利口さ」は今のものと同じ性質だっただろうか?

 

それともこの決闘が彼の人格に大きな影響を与えて「今の彼」になったのだろうか。

だとしたら彼は何を望んで「今の彼」になったのだろう。

彼の望みは everything だというが、そこにはキャトリンが含まれていたのだろうか?

キャトリンの死のしらせを聞いて、彼はどう感じただろうか。

少しは悲しく思っただろうか? それとも反対にすっきりしただろうか? あるいは人知れず泣き崩れたとか?

どれもありえそうだしどれもなさそうだ。

本当に、彼の内面は見えない。見えないからこそ怖いし、面白いし、魅力的に見えるキャラである。

 

前にサーセイ・ラニスターの望みは「自分の思うように生き、好きな人と恋をして、嫌いな人を殺したい」くらいのところではないかと書いた。

最初はリトルフィンガーに対しても同じような望みがあるのかと考えた。

が、彼のような人はそれを everything とは言わないだろう。

彼の望みはもっと深い。おそらくヴァリスのそれよりも。

 

彼が「どこまで」行けるのか、楽しみでならない。

彼はすでに「自分の無知」を知っている。その報いも受けた(決闘の敗北という形で)。

「ゲームオブスローンズ」においてこのタイプは強い。

きっといいところまでいってくれると思う。

とはいえこれだけやらかしたキャラクターが最後まで生きてハッピーエンドを迎えるとも思えないので、彼の死が物語をどれだけ盛り上げるかについても楽しみである。

レッドウェディングやパープルウェディングのように盛大に死ぬのか、あるいはタイウィンのようにひっそりと殺されるのか。

(個人的にはタイウィンの死でいちばん盛り上がって原作を買いに走るところまでいったので、リトルフィンガーも意外にあっけない最期だといいなあと思っていたり)

 

 

ライサの動機

ジョン・アリン殺害はリトルフィンガーとライサの共謀(ほぼ間違いなくリトルフィンガーが主犯で実行犯がライサ)だったわけだが、ライサの動機はリトルフィンガーへの恋心以外にもう一つあったようだ。

原作によれば、ジョン・アリンはライサの息子ロバート(ロバートもジョンも作中に二人いるから紛らわしい)(追記:ドラマを見直したら息子さんの名前がロビンになっていた。あまりに紛らわしいからか)をライサから引き離し、里子に出そうとしていた。

ロバートのあの様子を見れば誰でもそうした方がいいと考えるだろう(ロバートとライサの初登場回はわたしの中の衝撃的なシーンランキング上位である。あれを見た頃はまだこの世界に慣れてなかったせいもあるが)。

ライサは息子と離れるのが嫌で夫の殺害を決めた部分もあったのではなかろうか。

 

 

ジョン・スノウ=ターガリエン説?

以前ネットでジョン・スノウ=ターガリエン説について目にしたことがある。

最初は「またまたご冗談を」と思ったものだが、詳しく読んでみるとありえない話ではないように思えた。

 

ジョンはレーガー・ターガリエンとリアナ・スタークの子供で、エダードがリアナを看取ったときに託された。

レーガーはリアナを攫ったのではなく二人は駆け落ちだった。

エダードはこのことをリアナから固く口止めされており、ロバートやキャトリンにも言わなかった。

 

大体こういう仮説である。

エダードがロバートにジョンの母親について聞かれたときに口ごもるのが実に不自然な感じだったし、ジョンの母親については何か秘密があるのだろうとは思っていたが、エダード自身の子供ではないとまでは自分では思い至らず、見たときは感嘆したものである。

 

そう思って原作を読むと、エダードの言動はいかにもあやしく思える。

ジョンについては「わたしの血を受け継いでいる」とか「スタークの子」のような表現を使っている。

ジョンがリアナの子だったとしてもこの言い回しは成り立つ。

 

亡くなる前のリアナはネッドに「約束して」と言い残している。何を「約束」したのかについては回想されない。

これがジョンの出生に関する秘密を守ることであれば納得できる。

レーガーとリアナの間に子供がいると知られれば、間違いなくロバートに殺されるからだ。

 

またエダートのパートではリアナの回想が多い。

ドラマでは回想シーンがないためそこまでリアナの印象は強くなかったが、原作の序盤ではリアナという今は亡き女性の謎が深く印象づけられている。

 

スターク家の兄弟の中でジョンが誰よりもスタークらしい風貌に育った点は幸運だったのかもしれない。

ターガリエンらしくプラチナブロンドに生まれていたら、さすがに誰かが察する気がする。

また、それはそれでキャトリンの悩みの種になりそうだ。

 

原作を読むと「ありえなくはない」から「ありえそうな気がする」くらいまで疑惑が高まった。

ジョンの出生についてはいずれ本編で語られると思っていたが、それを語ることのできる人はほぼ死んでいるのではなかろうか。

ブランのふしぎパワーで伝えられたりするのだろうか。

散々ひっぱってやっぱりエダートの一夜の気の迷いでした、ということも普通に考えられる(これこそ残酷な真実である)。

深読みしたい人はエダードがジョンについて語るシーンを見直すべし。

 

 

タイウィンとティリオン

海外サイトを見ていて気づいた。

この二人の名前、カタカナで書くとそんなに似ていないのだが、Tywin と Tyrion と書くと似ている。

タイウィンの子供たちの中でいちばんタイウィンに似た名前なのがティリオンだった。

タイウィンはティリオンを生まれた瞬間からずっと殺したかったそうだが、その気持ちが本当だったとしてもこの名前の意味するところも本当ではないかと思えてしまう。

 

ちなみにタイウィンの子供の中でいちばんタイウィンに近い思考を持つのがティリオン、としばしば言われるが、それはあえてあの三人の中で比較すればの話であって、タイウィンとティリオンの性質や考え方はそこまで似ていないように思う。

タイウィンはティリオンのように、人というものについて、また生と死について真剣に考え続けるようなところはなかったのではなかろうか。

考えたことがあるとしても、タイウィンはさくっと結論を出して終了していそうだ。

以前にも書いたが、考え「続ける」ことができる、それを「楽しむ」ことができるのがティリオンの最大の強みだと思う。

ssayu.hatenablog.com