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番組史上最も過酷なチャレンジとは「トップギア」感想

huluで「トップギア」の8-7から10-4まで一気見した。何度見ても面白いし笑わせてくれる。

今から10年前のエピソードだから、三人が若い!

ハモンドにひげがないし、ジェレミーの髪が今より多いし、ジェームズの髪が茶色い。

しかし言動は今と大して変わっておらず、三人ともいい意味で成長してないなと改めて思わされた。

 

今日はこんな記事も公開されたし、アマゾンプライムでの新番組も順調に収録されているようだ。

Jeremy Clarkson, Richard Hammond and James May spotted at auction. But what did the former Top Gear trio buy?

 

今回はわたしが選ぶ、番組中で最も過酷だったチャレンジについて書いてみたい。

 

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トップギア」は車番組であり、新車のレビューが主軸となっている。

しかし毎週新車のレビューばかりしているわけではなく、むしろ車を使ったさまざまな企画こそが番組の売りといえるかもしれない。

わたしのような車についてまったく興味も知識もなかった視聴者にとっては、この企画(特に激安シリーズが好きでそこから入った)の方が番組のメインだった。

企画にはさまざまなものがあり、大抵は三人がそれぞれ企画のテーマに沿った車を選び、その車を使って課題をこなしていくという流れになる。

 

この企画の中で、肉体的に最も過酷なチャレンジといえば間違いなく「ポーラースペシャル」だろう(リンク先はhulu)。

 

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トヨタハイラックスに乗るジェレミー&ジェームズと、犬ぞりに乗るハモンドとで、北極点を目指して競争というチャレンジだ。

氷ででこぼこの道と寒さに阻まれ、肉体的にも精神的にも追い詰められる三人が見られる。

ちなみにポーラースペシャルにはさまざまな放送バージョンがあり、huluで見られるものにはジェレミーとジェームズがテントでワインを飲むシーンがなく、かわりに二人が飛行機の残骸を発見するシーンが入っている。

今まで見た中で、日本語字幕つきでいちばん長いバージョンは、グレートアドベンチャーシリーズDVD+Blu-Rayセットのこちら。

 

 

しかしわたしとしては、北極に行くよりもさらに(精神的に)過酷なチャレンジがあったと主張したい。

それは9-2で行われた最高のクーペ選び

 

三人がそれぞれ良いと思うクーペを選び、実際にどの車が優れているか検証していくという企画。「トップギア」ではよくあるタイプの企画であり、ロケもスコットランドで行われているため、一見すると過酷なチャレンジには思えない。

 

なお三人の選んだ車はこちら。

ジェレミー→アウディTT

リチャード→マツダRX-8

ジェームズ→アルファロメオ・ブレラ

(予算25000ポンド程度でそろえているようだ)

 

三人がまず向かったのは、なぜかスコットランドのゴルフ場(ゴルフの原点がスコットランドらしい)。

お互いの車がいかにゴルファー的か(三人の中では「ゴルファー=ダサい」という共通認識があり、ゴルファーに人気な車もダサいと考えられている。とはいえ、最近は三人もゴルフをすることがあるようだが)について話し合いながら、ほとんど初めて体験するというゴルフに挑戦するが、1ホール終えるのに21打となかなか進まない。

後ろには長蛇の列ができ、最終的にゴルフ場からつまみ出されて終わる。

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↑最近のハモンドのゴルフの腕前

 

これだけでも普通の人なら十分胃を痛める展開だが、こんなものでは終わらない。

次に三人が向かったのはエディンバラにあるスコットランド国立近代美術館。美術館に展示される栄誉にふさわしいのは三台のうちどれかというテーマで競い合う。

チャレンジ方法は、美術の専門家に対するプレゼンテーションだ。

 

美術に関する専門知識などほとんどなさそうな三人(ハモンドはアートスクール出身だが、本人いわくアートスクールで学ぶのは「酒と女」についてである)が、専門家の前で自分たちの車の芸術性について2分間プレゼンする。考えただけでも胃が痛い。準備時間は5分間。

 

三人が行ったプレゼンを要約してみよう。

 

ジェームズ:車自体は芸術になり得ないが、車のデザインに美術性を見ることができる。アルファのヘッドライトはスコットランドの芸術家の影響を受けている。アルファのデザインは「真」なるものを追求している。

 

ジェレミー:アウディTTはヴィクトリア様式の過剰な装飾に対抗している。(アウディはドイツ車で、ドイツのアートといえばバウハウスという連想か)バウハウスアウディのデザインに与えた影響について。アウディが象徴するのは「自由」である。

 

リチャード:マツダ車はほかの(ヨーロッパ的な)車とは異質である。それは日本文化が息づいているからだ。日本のアートといえば……。展示する際は車と一緒に日本画を置く。

 

この手の企画でいちばん強いのは、ペダンティシズム担当のジェームズか。専門家たちもアルファを選び、ここではジェームズが勝利することになった。

 

さて、ぜひ実際に本編を見てもらいたいのだが、このプレゼンの空気が非常に重い

エラい先生たちの前で研究発表などをした経験のある人なら余計に胃が痛くなるだろう。

話の中身に間違いがあればすぐにつっこまれ、話に具体性が欠けていると思われればすぐにつっこまれ、しまいには「その主張には無理がある」とまで言われてしまう。

しかも審査員のうちの一人は日本美術の専門家で、ハモンドの適当なプレゼンはつっこまれまくりだった。

 

プレゼン後、控室に戻ってくる三人の顔(と汗だくのシャツ)を見ただけで、その空気の重さと圧迫面接ぶりが伝わってくる。

ジェレミーいわく、「今まで水陸両用車を作ったりワンボックスカーを改造したりしてきたが、この課題が最も厳しい」そうだ。

わたしもそう思う

 

もちろん審査員側にも台本が渡され、ある程度の打ち合わせを経て収録に入ったのだろうが、そうだとしてもこのチャレンジは過酷であった。

おろおろする三人の姿、まだ見てない方はぜひ一度ご堪能あれ。

 

なお9-2ではジェームズ・メイがブガッティ・ヴェイロンで407km/hの記録に挑み、ゲストはヒュー・グラントと、見どころ盛りだくさんだ。クーペチャレンジだけでなく全体を鑑賞するべし。

 

 

アマゾンプライムでの新番組が今秋公開を控え、三人はW. Chumpの事務所で楽しそうな毎日を送っている。

イギリスの大衆紙はクリス・エヴァンス司会の新トップギアと、アマゾンプライムでの新番組の「ライバル関係」について連日取り上げているが、わたしはこの二つはそこまでライバル関係にはならないのではないかと考えている。

三人のライバルはむしろ、それこそ「ゲームオブスローンズ」などのようなケーブルテレビやネット上で配信されている超人気番組になるのではないだろうか。地上波で放送される新トップギアとは違う枠で戦うことになるように思う。

 

少なくともジェレミーは「ゲームオブスローンズ」を見ていて、おそらくしっかり研究もしているだろう。

三人があの番組で繰り広げられる濃厚なホモシーンにどう反応したか気になるところ

三人は現在世に出ている超人気番組すべてと張り合えるくらいの面白い新番組をつくってくれるとわたしは確信しているし、期待して秋を待つことにしよう。