なぜ面白いのか

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S2死亡キャラを振り返る「ゲームオブスローンズ」キャラ語り05

ゲーム・オブ・スローンズ 第二章:王国の激突 コンプリート・セット(5枚組) [Blu-ray]

 

S6の放送が始まったため、うかつにゲームオブスローンズ関係ワードを検索できなくなった昨今、いかがお過ごしでしょうか。

当ページは今後ものんびりとS5までの内容を振り返ったり感想を書いたりしていく所存。

 

今日は久々にキャラ語りをしようと思って、再びワシントンポスト紙の例のページ(リンク先にS5までのネタバレあり)を見に行った。このページ、死因や殺した人の名前だけでなくどの回で死んだかまでまとめてくれているのでとても便利である。

www.washingtonpost.com

キャラ語りをするたびに「ヴァラー・モルグリス」と唱えるはめになるのは、このドラマならではか。

以下、S5までのネタバレを含むキャラ語り。

 

【ゲームオブスローンズ記事目次はこちら】

ネタバレの存在しない歴史ドラマ「ゲームオブスローンズ」(S3前半まで)感想 - なぜ面白いのか

 

 

先のサイトによれば、S1での死亡数が59人なのに対してS2の死亡数は130人とのこと。倍増である。

ただし、S2には戦争シーンで描かれた死者が多い。またデナーリスの馬シルバーの死も含まれている。

 

レンリー・バラシオンとその死

レンリーに関しては、亡くなってからの方がよく語られているような気がしなくもない。

ブライエニーから語られる彼の人物像はとても好ましい。

一方、マージョリーから語られる「夫」としての彼はどうしようもない。

実際のレンリーはそこそこの好人物だったようだが、詳しく描かれる前に殺されてしまった。

実際のところ、彼は王になってどうするつもりだったのだろうか。

つまり、レンリーの跡継ぎについて。

王になる以上そこは避けて通れないように思うのだが。

まあ、すべては王になってから考えてもいい話であり、王になる前に死んでしまった以上は考えても仕方のないことではある。

 

サー・ロラスとレンリーの絡みはなかなかに衝撃だった。

しかしブライエニーがレンリーのことを思い続け、S5にてついに復讐を果たしたのに対し、ロラスときたらキングスランディングで新しい恋人というか男娼と仲良くなってそれをきっかけに投獄されてしまっている。

ロラスの中でレンリーはもう過去の人なのだろうか。

もう少しスタニスに対する感情を見たかった。

 

レンリーの死亡シーンを見たときは、こんなのがアリなら戦争する必要がないのでは? と思ってしまったが、どうやらメリサンドルの魔法も万能ではないらしい。

彼女の魔法のルールを知りたいものだが、ひょっとするとこの世界の原理原則そのものとかかわる問題かもしれないため、最後まで引っ張るか、明かされずに終わる可能性もある。

わたしとしてはあの魔法がターガリエン絡みだったら面白いと思っている。

 

メイスター・ルーウィン

彼の死は悲しかった。

シオンが来てからのウィンターフェルの惨状はすべて悲しかったが、ルーウィンの死は特に。

彼はシオンにすら生きる道を示した。

ほかのスタークの子供たちと同じように、彼に対しても愛情を示していた。

シオンがそういった何もかもを理解するのが、全部手遅れになってからだったというところが悲しい。

 

今S2のシオンを見直すと、その幼さがわかる。

彼は自我をどう確立してよいかわからないまま大きくなってしまった子供だ。

その境遇は不幸と言えるが、その不幸は「故郷」を滅ぼすほどの不幸だっただろうか。

そして彼のしたことは、彼がリークになってしまうほどの悪事だっただろうか。

わたしの目にはこの不釣り合いこそがこの物語を引っ張り続ける原動力の一つに見える。

「原因」と「結果」が見合っていないのだ。

だが現実とはえてしてそういうものでもある。

現実には「著者」はいないのだから、物語のバランスなど考慮されていない。

そういう理不尽さを知る者こそ、この物語に引き込まれるのかもしれない。

 

この物語において「無知」は死亡フラグだが、一方で知も必ずしも人を幸せにしない。

この物語に登場するメイスターたちは大抵不幸な結末を迎えている気がする。

ルーウィンはネッドの死を知り、大事に育ててきたスターク家の人々がばらばらになった段階で死んでしまった。ロブとキャトリンの非業の死を知ることがなかったのがまだ救いだろうか。

大往生できたのはメイスター・エイモンくらいだが、彼はその前半生が強烈だったし、それらすべてを置き去りにしてカースル・ブラックでひっそりと死んだ。

信頼する跡継ぎに看取られながら、過去の幸せなひとときを夢見て死んでいったという点でいえば、このドラマでこれまに描かれた死の中ではかなり幸せな方かもしれない。

メイスター・クレッセンは城主であるスタニスを守ろうとして、メリサンドルに殺された(彼もS2死亡キャラの一人だ)。

原作を読むと、シリーンに字を教えたのはクレッセンだった。

彼の知はシリーンを通してダヴォスに受け継がれたことになる。

今後のダヴォスの活躍によっては、クレッセンも少しは浮かばれるだろうか。

キングスランディングのメイスター・パイセルは、実は足腰しっかりで頭もしゃっきりという設定がいつ活かされるのかとわくわくして待っているのだが、まだ彼ががっつり活躍するシーンがない。

しかしパイセルも最終的には悲惨な最期を遂げそうな気はしている。

一人くらい幸せなメイスターを出してほしいと思ったが、サムがそうなる可能性はある。

彼には頑張ってもらいたいが、今から修行を開始して、果たして物語が終わるまでにメイスターになれるのだろうか。