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新 Top Gear と The Grand Tour に思うこと

BBC で新 Top Gear が始まり、絶賛大不評中である。

今朝起きて真っ先に twitter で海外勢の反応を確かめ、やっぱりそうか……と落ち込んだ。

先に言っておくと、わたしはまだS23を見ていない。今後見られる状況になったときに見るかどうかもわからない。

だからこれは今わたしにわかる範囲の情報から考えたことのメモである。

www.youtube.com

 

予告編の感想

予告編を見て感じたことは、BBC「新しいもの」をつくる気がまったくないことだ。

これはおそらく、予告編を見た多くの人が感じただろう。

旧 Top Gear の真似をしているだけ、クリスはジェレミー役をやらされているだけ。

せっかく出演者を入れ替えて、長年同じフォーマットでやっていたことを変える大きなチャンスだったのに、同じことをやってどうするのか。

もちろん時間もなかっただろうし、予算も今までと同じだけ取れたとは思えない。

だがせっかくの「チャンス」を活かせなかったのはあまりにももったいないと感じる。

BBC には企画を立てたり今後の戦略を考えたりするプロがたくさんいると思っていたのだが、アンディ・ウィルマン以外に Top Gear を導ける人物がいなかったのか。

 

ただ、以前の Top Gear もあの形になるまでに何年も試行錯誤をしてきたはずだ。その間に三人は仲を深め、あの三人にしかできないシナリオを作れるようになっていった。

それと同じ時間だけ待ってから判断するのが公平というものなのだろう。BBC が新チームにそれだけの時間を与えるかどうかはわからないが。

 

 

イギリス人の反応集

Radio Times さんがこんな記事を出していた。

www.radiotimes.com

#TopGear タグのツイートまとめなのだが、完全に大喜利状態である。

皮肉とブラックジョーク大好きなイギリス人、さすがだと思わされる。

わたしとしては番組がこうなったのは企画段階に問題があったと思っているので、クリスばかりがやり玉にあがるのは気の毒な気がしている。

 

それから、まとめの中にはジェレミーたち旧TGの画像を使ってネタにしているものも多い。旧TGが好きだからやっているのだろうとは思う。だがわたしは少々複雑である。

Top Gear はジェレミーたちにとって「子供」のようなもののはずだ(少なくともジェレミーはそう言っていた)。

それが散々な言われようなのは、彼らにとっても嬉しくはないのではないかと思うのだ。

(商業的にはTGの評判がいまいちで、The Grand Tour への期待が高まった方がいいのだろうが、それとはまた別の話である)

だから、かどうかはわからないが、今のところ三人は新TGに対して沈黙を守っている。新TGのブレーンが出演者をまったく守れていないのに対して、これまでの流れを見ている限り、GTのブレーンは優秀だと感じる。

 

 

個人的にショックだったこと

わたしはクリスが新TGの司会者に決まったときから、貧乏くじを引かされて気の毒だと思っていたし、ジェームズがずっと彼と新TGのことを応援する発言をしているのを見ていたから、せめてジェームズが番組を楽しめていればいいなと思っていた。

(ちなみに昨日もジェームズは番組を楽しみにしているとツイートしていたが、番組終了後は音沙汰がない…)

 

 

が、実際に番組の内容がまとめられているページを見て少々ショックを受けた。というか、自分がショックを受けたことに驚いた。

www.motoringbox.com

こちらのファンサイト、以前からお世話になっている(エピソードが詳しくまとめてあってとても助かる)のだが、さっそく23-1もまとめられていた(ちなみにこのサイトの主は番組の感想については完全に無言であった)。

 

で、何にショックを受けたかというと、

“Some say the day he was born he drove himself home from hospital, and that he’s being investigated for irregular emissions. All we know is he’s called The Stig.”

この部分である。

ああ、ジェレミー以外の人がこの大事なセリフを言うようになったのか(以前に何度かリチャードが言ったこともあったが)と目眩がした。

そして内容的なことを言うと、今のスティグはベツレヘムの馬小屋生まれであり、病院生まれではない。その他のスティグシリーズの中には病院で生まれたものもいるかもしれないが、大抵はスティグ牧場で生まれ育つはずだ。

そこ、ファンにとっては重要な設定だから!! 無視したらだめ!!!

 

あと!

www.radiotimes.com

ほかを変えずになぜそこを変えたのか。

いや、Mini Cooper は素敵な車だと思う。だがあれは「普段は立派な車に乗ってそうなスター(そして彼らの何割かは実際に立派な車遍歴だった)」がやっすい微妙な車に乗ってはしゃぐ姿が面白いコーナーだったのに。Mini に乗せてはその趣旨が変わってしまうのではないか。

 

ちなみに今回のタイムは

Gordon Ramsay
1:56.3

Jesse Eisenberg
2:10.9

だそうだ。豪雨だったのだろうか。

※訂正:どうやら新しいコースを作ったらしい。

 

 

The Grand Tour と新 Top Gear への期待

旧 Top Gear の良さは、4割が三人のキャラクター、3割が撮影や音声や編集の上手さ、そして残りの3割がエグゼクティブ・プロデューサーであるアンディ・ウィルマンの手腕だったのではないかと考えている。

さまざまなエピソードや三人のコラム、それに過去に公開された Top Gear の outtakes 動画からそれがうかがえる。

ジェレミーとは学生時代からの付き合いだという彼は、ジェレミーと一緒に Top Gear を離れて The Grand Tour のプロデューサーになった(ちなみにジェレミーが Top Gear を降板したあとに新番組をやろうと決めたとき、まず向かったのがアンディのところだったという)。

こんな予想をしても仕方がないのだが、もしアンディPが Top Gear に残っていたら、ここまで批判を浴びる番組にはならなかったのではないだろうか。

ひょっとしたらクリスたち新司会者の良さを引き出す流れを作り出せていたかもしれない。

でもアンディPも、そして旧 Top Gear ファンの多くも、もちろんわたしも、ジェレミーとリチャードとジェームズが楽しくはしゃいでいるところを見たがっている。きっとアンディPはそれを見せてくれるだろうとわたしは思っている。

 

The Grand Tour は Top Gear とはまったく違う番組になる、と三人とも発言している。

テレビとは異なる媒体でどうやって見せていくのか、どうやって視聴者の心を掴むのか、ジェレミーは相当勉強したらしい。

その結果の一つが Drive Tribe なのだろう。これから秋までに一つ一つ、新しいことがわかっていくに違いない。それがとても楽しみだ。

Top Gear と同じことはやらないということがわたしはとてもうれしい。

三人ともあの年齢で、まだ新しくやりたいことがたくさんあるのだ。

それをたくさん見せてほしい。

 

新 Top Gear のスタッフにも同じことを言いたい。新しいメンバーで新しくやりたいこと、できることがきっとあるはずだから、それをやってほしい。

新しいものを作って初めて、ジェームズが期待していた The Grand Tour の「良きライバル」になれるのではないだろうか。

ssayu.hatenablog.com