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「スノウ」を捨てた者「ゲームオブスローンズ」S6感想

本日もS6感想。前回はサーセイについて書いたので、今日はいよいよラムジーについて! とうとう彼について語る日が来たか…(感慨深い)。

S6までのネタバレ全開につき注意!

 

勢力別キャンペーン動画

その前にちょっと寄り道。やっと「ゲームオブスローンズ」関連用語をネタバレの心配なく検索できるようになったのでいろいろ見ていたわけだが、公式から発表された勢力別動画がとても素晴らしかった。S6終了時点で残っている主要勢力のうち、誰を応援するか投票が行われたらしい。この当時わたしは関連用語の検索を避けていたため、そんな投票があったことも知らなかった。リトルフィンガー、投票できなくてごめんね!

動画はそれぞれの勢力をアピールするもの。いつでも見直せるようにここに全部貼っておきたい。

Power is power. とかいうパワーワード。お前はジェレミー・クラークソンか。

 

どの勢力もかっこよくてわくわくする。

幼女の応援は反則級に強力だな! と思ってジョン・スノウ動画を見ていたら、最後に表示された家名が「SNOW / MORMONT」だった。そうか、スタークではないのか。確かにジョンの場合、「スノウ」の名を持つ者が北部の諸侯をまとめて「北の王」と認められたことが重要なわけで、ここで「SNOW」表記なのはわかる。

ところがリトルフィンガー動画の最後に「BAELISH / STARK」と表示されたのを見て、ショックを受けた。S6後半も若干危うい雰囲気を出していたが、サンサは本当にリトルフィンガーについてしまうのか。

経験値を積みまくったサンサが、リトルフィンガーを逆に利用する展開になってくれたら熱いのだが。

 

ラムジーボルトン

さて動画の話はここまでにして、本題。

ラムジーについては以前こんなことを書いていた。

いずれにしてもラムジーには死んでほしい(直球)。

いや、ラムジーは好きだが、彼もジョフリーらと同じで最後に死んで話を盛り上げるキャラだと思うのだ。

まさに!! まさにこれ!!

ラムジーは視聴者のヘイトを集められるだけ集め、最後に盛大に散ることでカタルシスをばらまくためのキャラクターだ。彼はその役を見事にやりとげてくれた。

ルースとか義理の母と弟とかオシャとかリコンとか、S6でも結構な勢いで殺してくれた彼だが、今日のところはそれはおいておこう。彼について語りたいのは、「スノウ」に対する執着だ。

わたしは以前こんなことも書いていた。

リークからシオンに戻った彼が、紆余曲折を経てラムジーと再会、対決となればかなり熱い展開だ。

というかこれがいわゆる「王道」展開であろう。

しかしこのドラマは「ゲームオブスローンズ」である。ある日シオンがカラスから手紙を受け取ると「ボルトン家滅亡、ラムジーも死亡」と書いてある……などという展開もありえなくはない。

ありえなくはない展開の方が現実になったわけだが、製作者はラムジーにぶつける駒をジョンにした。エピソードタイトルも「The Battle of the Bastards」である。これはこれで文句のつけようのない王道展開ではないか。なぜS5終了時点でわたしはそれを思いつかなかったのか!(ジョン死んでたからね)

ラムジー最後の見せ場6-9の中で、彼はジョンに対して何度「Snow」「Bastard」と口にしただろうか。ラムジーはどれだけこの言葉にコンプレックスがあるというのか。自分は父親に認められて「スノウ」の名を捨て、「ボルトン」になった。その誇りは完全にコンプレックスの裏返しである。なのに製作者側はジョンとラムジーをまとめて「Bastards」と呼んでおり、それは結局この戦いの参加者と傍観者たちの本音である。この回を見ていてわたしは初めてラムジーに同情した。とはいえ、ラムジーにはやっぱり死んでほしい

人生を賭けて血の滲む苦労の末に(滲んだのは他人の血だが)「スノウ」の名を捨てた者が、「スノウ」に倒される。たまりませんな!!!!!

 

戦いの末、ジョンはラムジーを殴り殺してしまうかの勢いだった。その手を止めたとき、ひょっとして彼はラムジーをきちんと裁いた上で処刑しよう、私刑はダメ、とか言い出すのではないかと焦った。そんなことをしたら大暴動が起こるぞ(現実世界で)!

でも、そうはならなかった。あれはジョンがサンサに譲ったのだろう。そしてサンサがとったのは、飼い犬に食わせるという方法だった。

戦いの前のやりとりから、ラムジーが味方に裏切られて殺されたらどうしようとか思っていたのだが(そんなぬるい死に方だったらやっぱり暴動である)、ラムジーは人間の忠義なんて信じていないから、味方に裏切られたとしても大してショックは受けそうにない。だからこそ「忠犬だ」と信じていた犬たちに襲わせる方法は非常に効果的だった。彼に恐怖と絶望を味わわせる方法はわずかだと思われるが、それを成し遂げてくれてわたしは嬉しい(我ながら自分の台詞がサイコパスじみてきた。ラムジーが悪い)。義理の母と弟と同じ死に方になったね、ラムジー! サンサの笑顔はいったい誰に似たのかな?

もう一つ、名にこだわったラムジーが最後の「ボルトン」になったのも最高だ。サンサの言うようにボルトン家は滅び、その名は忘れられる。記録に残されたとしても、ラムジーの名は「ボルトン家を滅ぼした最後のボルトン」としてしか残らない。だって跡継ぎは自分で殺しちゃったからね!(サンサが妊娠してたらどうしようかと思ったが、我らがピーターがそれを許すだろうか?)

ラムジーは6-9にして "I'm a man of mercy."(俺は慈悲深い男だ)という名言を残した。彼の墓標にはぜひこの言葉を刻みたい。

 

そしてもう一方の bastard であるところのジョンは、「スノウ」のまま「北の王」として諸侯に認められた。この残酷な対比。6-9まで来て、bastard に「スノウ」姓を与える設定を考えた原作者のアイデアのすごさをやっと少し理解できた気がする。

 

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