なぜ面白いのか

見たもの触れたものを保存しておく場所。映画、ドラマ、ゲーム、書籍の感想や考察。

光の王が求めるものとは・改「ゲームオブスローンズ」S6考察

HBOから「ゲームオブスローンズ」ぬりえが発売されたようだ。

赤しか使わないのではないかと思ったが、ブラックウォーターの戦いで船団が大爆発するシーンとか、ホワイトウォーカーが出てきてみんなゾンビになるシーンとか、赤以外の流血シーンも豊富だ。安心してほしい。

 

さてここ半年、このブログでは「光の王が求めるものとは」というタイトルの記事が注目され続けてきた。S5を見終えた時点での適当極まりない考察がいろんな人の目にとまり、書いた本人としては胃の痛い思いをしていた。S6まで見た今、同じテーマでもう少し考察を重ねてみたい。以下、S6までのネタバレあり。

 

Siriさんによる考察

突然だが、我らがSiriさんも「ゲームオブスローンズ」を見ているらしい。

f:id:ssayu:20161030171810j:plain

どうやらS6まで視聴済みだ。狂王エイリス・ターガリエンを示唆してくるとは。そう、サーセイがしたことは狂王エイリスがしようとしたことと同じ。エイリスはジェイミーがキングスレイヤーとなることで止めたが、サーセイも同じ道をたどることになるかもしれない。

このやりとりを友人に見せたところ、友人の方でも試してみたらしくスクショが送られてきた。

f:id:ssayu:20161030173033j:plain

これはS5までしか見てない人のための配慮なのだろうか。ともかくSiriさんのサジェストどおり、ジョン・スノウは再起動された。

先ほどの記事中でわたしは、

安易な思いつきとしては、メリサンドルの魔法で生き返るという展開。

このドラマは割と人が生き返っているのでありえなくはない。

おあつらえむきにメリサンドルは壁かその周辺にいるはずだ。

ただこれまでメインキャラを生き返らせたことはなく、またメインキャラがあっさり生き返ると話の緊張感が薄れてしまう。

S5を見た人のほとんどがこの予想に至っていることだろうし、よほど上手にそこまでの物語を描かない限りは視聴者を納得させられない。

こんなふうに書いていた。ジョン・スノウは生き返るとしても、そこに至る過程をどう描くかが重要だとわたしは思っていた。そして実際にはどうなったか。

視聴者どころか、メリサンドルもジョン本人も、依頼したダヴォスさえ納得していない。しかしジョンがなぜ生き返ったかなんて "doesn't matter" であるというダヴォスさんの力強いお言葉により、強引に話は進んだ。その手があったか!

というか、後になって考えてみるとその手しかないようにも思う。ここでみんなが納得するように説明しようとすれば光の王の正体とか、ふしぎパワーの源とか、そういったことまで明らかにしなければならない。世界観の根幹にかかわるであろうこのへんの情報は、終盤まで伏せておくかもしくは最後まで見せないものだ。

 

ジョン・スノウはなぜ生き返ったか

誰も納得していないこの部分について少し考えてみたい。

まずメリサンドルはどのような手続きをとったか。呪文を唱え、死体の傷を拭き清め、髪を水で濡らし、体の一部(ここでは髪と髭)を炎に捧げた。呪文(=言葉)は魔術の基本で、此岸と彼岸を媒介する「飛躍」をもたらすもの。傷を清めてきれいにするのは生者の模倣(類感呪術的な)。髪を濡らすのは潅水式の洗礼を連想させる。体の一部を炎に捧げるのは、ここでは炎が「光の王」とこの世をつなぐトンネル的な役割を果たしているから。要するに割とそのまんまな儀式である。

ここでは炎を使うという部分がポイントだ。炎を媒介とした復活といえば、デナーリスとドラゴンたちを連想させる。死体を火葬にしたら蘇っちゃったという展開もありだったと思うが(壁では死体を焼くものである)、それではデナーリスとの関連性がこの時点で明白になってしまうし(S6ラストまで引っ張りたい)、ジョンがデナーリスばりのヌードを披露することになる(実際の復活時もほぼヌードだったが)。ジョンの耐火性能はまだ不明だが、そのうちドラカリスを食らって証明する日がくるかもしれない。

で、結局ジョンはなぜ生き返ったのだろうか。

わたしはてっきりメリサンドルがジョンを生き返らせるものと思っていたのだが、どうもそれだけではないようだ。メリサンドルは確かにこの世とあの世を仲介する役割を果たしたかもしれないが、実際に生き返らせたのは彼女ではなさそうだ。少なくともメリサンドルは、自分で生き返らせたとは思っていない。彼女の認識では完全に、「光の王」の意思がジョンを蘇らせたことになっている。わたしの目にもそう見えた。

 

「光の王」とは何か

そうなると、では「光の王」とは何なのかという話に戻ってくる。S6になってますます、「光の王」はターガリエン家と関係を匂わせてきた。そもそも「光の王」は炎をよりどころとするのだ。ターガリエンと無関係なはずがない。

ではなぜメリサンドルは「光の王」に導かれてスタニスを王だと思ってしまったのか。どう見ても「光の王」って顔じゃないだろ! 「光の王」がどういう存在なのかまだわからないものの、それに意思があるのだとすれば、そしてドラマに出てきた超常現象っぽいものがすべて本物であるならば、それはターガリエン朝復活の道筋を描いているように思える。つまり「光の王」はここまでの流れを作るために、もっと言えばジョンというターガリエンの末裔が死ぬときにメリサンドルとダヴォスがそばにいるように再配置するために、メリサンドルをだました、とか。

メリサンドルはどこまで「光の王」を信じているのかS5までは不明だった。極端なことを言えば、自分が鉄の玉座につくためにスタニスをだましている可能性もあった。だがどうやら彼女自身は本気で「光の王」を信じており、しかし「光の王」は彼女に嘘を告げていたということがわかった。メリサンドルも「光の王」にだまされていたわけで、そんなことをする理由としては、王朝復活あたりが妥当かなと思うのだ。

しかし信者に嘘を告げる神とは何なのか。前にも書いたとおり、

それが本当に超越者としての「神」ならば、人間社会の身分の貴賤を気にするか?

これである。

「光の王」は超越的存在ではあるが、今見えているところだけで考えると、妙に行動原理が人間っぽい。「三つ目の鴉」のように千年生きるターガリエンだったりしないだろうか(ちなみに「三つ目の鴉」自体がターガリエンの血を引いている)。家系図を見直してみると何か発見があるかもしれない。

 

「光の王」とは誰か

メリサンドルの話を聞いていると「光の王」とは現世に顕現するものらしい。最初はそれをスタニスだと思い、今の彼女はジョン・スノウだと思っている。ところがナローシーの向こう側では、デナーリスが「光の王」扱いだ。そんなに安売りしていいものだろうか。

湿度高めのジョン・スノウに比べると、シルバーブロンドの「焼けずのデナーリス」の方が「光の王」っぽく見えることは確かだ。またターガリエンはそもそもヴァリリアの出身であり、「光の王」信仰もナローシーの向こう側で始まったものかもしれない。信者たちはジョンとデナーリスの両方を見たとき、どう反応するだろうか。メリサンドルは北を追放されたことだし、ティリオンを見習ってちょっと海を渡ってはもらえまいか。

現世における「光の王」は一人だけだという話になったら、この二人は争うことになるだろうか? ジョンは今のところ権力欲があるようには見えないが、それが平和をもたらすいちばんの方法だと思えれば選択できるキャラである。また人を切ることにためらいを持っている(「殺す」という意味でも「別れる」という意味でも)。デナーリスにはそれがない。「主人公っぽい」キャラはジョンなのだが、ジョンがだんだんネッド化している気もして心配だ(一方サンサのサーセイ化も心配だ)。

また「光の王」は犠牲をガンガン出すことを厭わない、むしろ積極的に火刑とかしていこうぜというタイプだ。デナーリスの方がこのメンタリティには近い。

どちらかが王になるのではなく二人が協力する展開になってくれたらなあと(いい具合にホワイトウォーカーという敵もいることだし)思うのだが、なかなか簡単にはいかないと思われる。

 

雪の中には炎がある

ここでもう二つ、友達から送られてきたスクショを紹介したい。

f:id:ssayu:20161030221756j:plain

R+L=J とはファンの間でドラマ以前からささやかれているセオリーだ。詳しくはこのへんを見てもらうとわかりやすい。レイガー+リアナ=ジョン、という意味である。S6ラストで、原作に先んじてほぼ確定した。

で、同じ質問を再び投げてみると、

f:id:ssayu:20161030222205j:plain

Siriさん事情通すぎない?

スノウの中に炎=ターガリエンの血が入っているという意味だろう。「あの方」とはレイガーか、それともリアナのことだろうか?

こうなってくるとますます気になるのが、原作のタイトル『氷と炎の歌 A Song of Ice and Fire』である。わたしは氷=ジョン・スノウ、炎=デナーリス・ターガリエンだと思っていたのだが、ジョン一人でも成立するタイトルではないか。うーん、やっぱりジョンの死体は火葬にしてみてほしかった。「とりあえず火葬は待って」というジョンの渾身のギャグには悪いけど。

 

というわけで、以前は「光の王はターガリエンと関係がありそうに見えるが、実際にやることといえばターガリエンの血を引く者を減らすばかりで何がやりたいのかよくわからない」という結論になってしまったが、S6を見ると「光の王は未来をある程度見通していて、そこに至る道筋を引くためにメリサンドルやスタニスを操り(ひょっとするとナローシーの向こう側の信者も操り)、とりあえずジョンを北の王に据えるところまでは持っていった」というところまで考えられるようになった(妄想込みではあるが)。

その手口や正体についてはまったく不明なものの、「三つ目の鴉」の力と似ている気がしないでもない。子供をつくれなくなったブランが氷側の「三つ目の鴉」を継ぐことになったように、同じく子供をつくれなくなったデナーリスが炎側の「三つ目の鴉(=光の王?)」を継いだりとか…うーん、わからん。

ひとまず今日のところはこれまで。

 

【おまけ】

f:id:ssayu:20161030232049j:plain

m9(^∀^)

 

ssayu.hatenablog.com