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【更新】車番組的に正しいミリタリー映画の撮り方「グランドツアー」1-2感想

「グランドツアー」第2話公開! 

公式にはイギリス時間の金曜0時に公開ということになっているが、実際には大体その1時間前、日本時間で金曜の朝8時頃に公開されるようだ。

今回も笑いあり、涙あり、あと車もありの1時間をたっぷり楽しんだ。以下はネタバレ感想。

まだ見てない方はこちらから!

 

 

車情報番組を見ていたと思ったらループ物ミリタリーコメディを見ていた

何を言ってるのかわからねーと思うがry

いやあ、何度ループして時間を戻してもジェームズが死んでしまうのを必死に止めようとするジェレミーとリチャードのシーンには涙が止まりませんでしたね!(棒)

 

どこから突っ込んでいいのかわからないくらい畳みかける展開で、笑いっぱなしの1時間だった。特にヨルダンでの特殊部隊企画は2時間スペシャル番組を作れるくらいの内容だったと思うが、それを全部で30分くらいにまとめていたわけで、編集の上手さもコミで笑わせてくれた。ハモンドの「踊ろうぜ」関係の編集は特に神がかっていたと思う(あそこは字幕もノリノリで笑わせてくれた)。

正しいアウディの見せ方(ドーナツターンができない)といい、警告音を鳴らす昇降車といい、唐突に始まるアウディのレビューといい、これは「トップギア」18-3でジェレミーとリチャードがやろうとしていた「車番組的に正しい映画の撮り方」のミリタリー版ではなかろうか。

あのときは実際に製作される映画に便乗した企画だったが、今回はアマゾン資本によって自分たちオリジナルの物語を作ることに成功した。まだ「グランドツアー」は2話しか公開されていないが、今のところ「トップギア」時代にはできなかったことを、試行錯誤しつつひとつずつ試している印象がある。

 

フォートナム&メイソンの謎が解ける

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この写真が公開されたときからわたしはこのF&Mの箱が気になっていた。これは「フォートナム&メイソン(イギリスの百貨店で、日本では特に紅茶が有名)」のロゴだ。ミリタリールックとF&Mのミスマッチが面白い写真ではあるのだが、なんでこんな箱がここにあるの? とふしぎだったのだ。

ジェームズを死のループから救うためにわざわざあんなセットを持ち込むなんて、彼らの友情は美しいですなあ。

 

そしてこの写真の謎も解けた。

このツイートの謎はまだ解けていない。

 J`・ω・)=3<昨日はベッドの中でとってもアツかったんだ

 

「一般向け」

初回放送でジェレミーが言っていたように、今回は「例外」的に「自動車番組ではない」回だった。だがこういうエピソードこそを楽しみにしているファンも多い。というか、全視聴者数からみるとそちらが多数派かもしれない。「トップギア」時代から、番組を支えてきたのはいわゆる「車オタク」以外の広いファン層だったはずだから。

前回の感想記事で書いたように、まさにわたしこそがその「車オタク」以外のファン層の一員だった。2009年くらいまでのわたしなら、今回の特殊部隊チャレンジのようなエピソードばかり大喜びで見て、アストン・マーティン ヴァルカンのレビューは飛ばしていたかもしれない。

そしてそんなファンが、数年もたてば番組に影響されてアストンのエロいボディに興奮するようになるのだ。それが自動車文化の裾野を広げるということであり、大げさに言えばそれこそが「教育」というものであろう。

車ファンとしてはもっと車をたくさん出してほしいと思うところかもしれないが、そこは初回放送をあえて「一般向け」ではなく「車オタク」向けに作り、2話目に「一般向け」エピソードを持ってきたアンディPの決断を信頼しよう。

 

ジェームズ・メイのインタビュー

アンディPといえば、もう彼から封筒が届くことはないのが少し寂しい。今回はジェームズがメールで彼からの指令を受け取っていた。チャレンジが封筒で届くあのやりとりも「トップギア」に置いてきたということか。

わたしはスティグやあのテストトラックにも愛着があったから、「グランドツアー」でそういう諸々と別れなければならなかったのが悲しかった。でも先日、ジェームズのインタビューを読んで少し考えが変わった。

www.vulture.com

「グランドツアー」ではスティグやクールウォールやお買い得車を使えないことについて聞かれ、ジェームズは「もし使えたとしても使わなかったと思う」と答えている。そういうのは「もうすでにやったことだから、また別のことを考えたい」というのだ。

せっかくプラットフォームを変えて新しいものを作るチャンスなのに、前と同じことをしたって面白くない。三人にもきっと寂しさはあるだろう。でもそれ以上に新しいものを作る楽しみの方が大きいのなら、ファンとしてはそれを応援したい。

三人のキャラクターはそのままに、彼らが新しい面白さを試行錯誤するのをリアルタイムで追えるなんて、2014年までは想像もしていなかった。今の状況はなんて贅沢なのだろうか。

個人的な希望をここに添えるならば、「グランドツアー」では番組の「スタイル」のようなものはできるだけ作らないでほしい。決まった型を持たずに、毎回が試行錯誤のような番組が見られたら、きっと本当に毎回新鮮な気持ちで楽しめるから。振れ幅は大きければ大きいほど面白いのだ。

 

追記:撮影協力「MissionX」について

特殊部隊チャレンジには、MissionXというチームが協力していたらしい。こういうミリタリー関係の撮影指導をしてくれるチームだとか。

撮影時のエピソードなどがツイートされているので、特にミリタリー好きの方は覗いてみると楽しいかもしれない。

 

次回予告

「グランドツアー」のスクリプトエディター、リチャード・ポーターさんが2話の舞台裏解説ライブツイートもやってくれるらしい。1話の解説もとても面白かったし、2話のも期待できそうだ。

あのすにふ氏が一体どんな顔をしながら、ジェレミーが×××されるシーンやリチャードがナイフを構えるシーンやジェームズがクイーンの頭を吹っ飛ばすシーンを書いていたかと思うと、笑いが止まらない。

 

 

ssayu.hatenablog.com