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芽生えるノーマ「ベイツモーテル」S2感想

「ベイツモーテル」S2を見終えた。

S1でこのドラマをどういうノリで見ればいいか飲み込めたためか、S1よりもスムーズに話に入れてほとんど一気に見てしまった。

相変わらず話が進むほどに泥沼化するし、あの町の住人はどいつもこいつもおかしいし、なんだかんだでほとんど毎回人が死ぬし、もういいから早く病院に行こうと言いたくなるのだが、結末もわかっているのでおとなしく見守るしかない。

以下はネタバレ感想。しかしこのドラマに限って言えば、みんな結末をわかって見ている以上、ネタバレ配慮とか意味がない気もする。

 

 

ノーマ耐性がついてきた

以前の記事で「ノーマ・ベイツが無理」と散々書いたのだが、S2になると彼女の言動にも慣れてきた。「ノーマのパートはギャグとして見れば良い」という解決策よ、ありがとう。

依存できる相手なら誰でもいいという露骨な態度は相変わらずなものの、S2のノーマは、加害者ぶりよりも被害者ぶりの方が強調されていた。視聴者は最終的にノーマが被害者になることをわかっているので、ちょっとした匙加減で「加害者/被害者」的見せ方はコントロールできるものと思われる。

彼女はノーマンに怯えながらも「あなたを守る」と宣言するのだが、舞台が現代なだけに余計、だったらまず病院行こう! と思ってしまう。やっぱりノーマも加害者だよなあ……。

毎回ノーマの衣装はかわいい。意図的にそうしているのだろうが、20歳前後の女性が着ていそうな服ばかりだ。女優さんがきれいなせいで何を着ても似合ってしまうのも、逆に微妙な気持ちにさせる。しかしこのドラマの衣装、スカートの丈に並々ならぬこだわりを感じる。膝上丈でも下品になりすぎない絶妙なラインを攻めてくる。ノーマだけではなくエマの衣装も。

 

ギャルゲー主人公状態のノーマン(ただしry

S1に引き続き、このドラマには次々とヒロイン候補が登場する。そしてどいつもこいつもノーマンに惹かれる。彼女たちのキャラがかぶっていないのは、今後のノーマンのターゲットの広さを予感させる。

さまざまなタイプのヒロインがみんな主人公に惹かれる展開はギャルゲー的ではあるのだが、凡百のギャルゲーと違うのは、攻略=殺害になってしまう点だ。あと最初に攻略したのが年上の先生というあたりも、凡百のギャルゲーとは一線を画している。まあ最大の一線は、最初から好感度マックスのキャラが母親という点なのだが。

しかしブラッドリーは真っ先に死にそうだと思っていたのだが、無事に町を出られたので死亡回避、さらにコディも町を離れて回避。S1視聴時、ヒロインたちはみんな死ぬのだろうと思っていたのだが、意外と華麗に回避できている。絶対町に戻ってくるなよ!! 再登場は死亡フラグだからな! エマがかわいくてお気に入りなのだが、あのままモーテルでのバイトを続けるならそのうち死にそうでつらい。

 

いちばんまともなディラン

S1の後半から「ベイツモーテル」の良心として活躍してきたディランさん、この世界の不幸と不運を一身に背負う勢いになってきた。

出生の秘密にショックを受け、麻薬の抗争に巻き込まれ、ブラッドリーを送り届けて偽装自殺の処理までしてあげて、敵対組織のボスを殺し、自分のところのボスも死に、なんだかんだで新しいボスに祭り上げられてしまった。大出世ではあるが、嫌すぎる。この話のメイン「俺の弟がこんなに情緒不安定なわけがない」を差し引いてもこれだけの怒涛の展開。彼の価値観がまともなだけに気の毒で見ていられない。

一刻も早く家族に見切りをつけて逃げてほしいのだが、彼は彼で、家族の一員になりたいのだと思うと、簡単に「逃げろ」とも言えない。ディランを見ていると「ゲームオブスローンズ」のラムジーを思い出す。いや、ディランはあんなサイコパスではないのだが、「家族の一員として認められたい」ためにいろいろ無理をしたり、親に受け入れられたことを本心から喜んでいたり、生まれが複雑なために犠牲になった子供(しかも能力は高い)ポジションという点で共通している。

ラムジー婚外子サイコパスなのに対して、「ベイツモーテル」ではディランがまともで、ノーマンが異常というところが対照的。

 

人死にすぎ

しかしあの町、町の規模に対して人が死にすぎでは?

ドラマ版「ファーゴ」では田舎の警察署長が、事件が起こることも解決できないことも心配していたものだが、ロメロはあの世界の警察上層部の中で無能扱いされていないのだろうか。それを恐れてワトソン先生殺人事件の犯人はでっちあげられ、麻薬組織抗争事件も適当に解決したことになったのか。

あれだけ物騒な町なら、シリアルキラーの一人や二人いたところで誤差なのでは、という気もしてくる。レクター博士がいた頃のボルティモアに死んでないか?

 

ノーマンの中にノーマが芽生える

S2の見どころといえば、ノーマンの異常性がいよいよ発露しだしたところ。最終話で嘘発見機にかけられたノーマンがノーマと会話するところは、いよいよか! と盛り上がった。S1のラストですでにノーマは芽生えていたのだが、殺人シーンよりもむしろ「対話」が始まったシーンの方がわたしの中で盛り上がった。

S3ではいよいよ脳内ノーマとノーマンの会話がたくさん見られるのだろうか?

S2は夏休みの話だったため全然学校に行くシーンがなかったが、あんな状態のノーマンが学校生活をまともに送れるとは思えない。期待が高まる

 

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