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フィルのハッピーエンド「刑事トム・ソーン」原作13巻 Time of Death 感想

「The Bones Beneath」がとても面白かったので、そのまま続巻を一気読み!

こっちも面白い! 萌えと燃えがすごい!!

「The Bones Beneath」の事件から数か月後、ヘレンと休暇に出かけるトム。いい雰囲気で食事をしてホテルの部屋に帰り、シャワーを浴びて出てきたところで、ヘレンがテレビのニュースに釘付けになっていた。

ここのところ話題になっていた連続少女誘拐事件の容疑者ステファン・ベイツが逮捕されたという。容疑者はヘレンの旧友リンダの夫だった。今すぐ地元に帰らなきゃ、と支度を始めるヘレン。

お預けをくらったトムはヘレンとともに田舎へ向かい――?

という導入。

要するに、トムたちはこの容疑者の無実を証明できるのか? というところが今回の焦点。

途中からフィルくんも休暇をとってトムのところへ「来ちゃった♪」するし、病理学者として大活躍するし、フィルくんファンにはおいしい一冊だった。

以下、事件のネタバレはなし。フィルくんがどうなるかだけ全部ネタバレしての感想。

 

 

 

 

死亡時間 Time of Death

タイトルである「Time of Death」とは死亡時間のこと。今回の事件は被害者の死亡時間が問題になってくる。死体発見状況に疑問を抱いたトムは、死体の専門家であるところのフィルに電話する。

「ほかの証拠がそれだけそろってるならその容疑者で間違いないと俺も思うけど、まあ考えてみるよ」

と前向きなお返事。それまで孤立無援だったトム(ヘレンすら、やったのはベイツだと思っている)の話を初めてまともに聞いてくれたのがフィルくん。

まわりに知り合いなんて一人もおらず、田舎の警察はロンドンから来たトムに対しては一応敬意を払うものの「関わるな」オーラも隠さない。ヘレンはリンダにつきっきりでトムは眼中になし。おまけに応援しているスパーズはマンチェスターシティにボロ負けだし、パブで試合を見ているトムは相当しょんぼりしていた(仕事のストレスから解放されるために見るサッカーで余計ストレスをためるなんて……というぼやきが気の毒)。

そんなトムの背中にかけられる声。

「ロンドンにまともなチームってひとつだけだよね」

フィルくんである。やっと現れたトムの味方(だけどアーセナルファン)!

 

なおこのときフィルくんはパブで早速男の子に声をかけたりしている。

「あの子俺のこと見てる?」

とトムに尋ねるフィルに「全員がガン見してるよ!!」と答えるトムが面白い。田舎の人間にはフィルくんの格好(全身タトゥーとピアスだらけ)は刺激が強すぎる。

シャツをたくしあげてウェイトレスさんにピアスを見せてあげるフィルくん、サービス精神旺盛である。

泊まるところを考えていなかったフィルくん、トムとヘレンが泊めてもらっている地元民の家のソファで寝かせてもらうことに。そしてこの家の家主相手にもシャツをめくってピアスとタトゥーを見せてあげるフィルくん。

 

というわけでここからは二人で捜査を始めることになる。

フィルは死体の発見状況よりも死体の状態に興味をひかれ、実際に死体を見せてもらいに行く。ついでに報告書もチェックして専門家から情報収集も。そして死亡時間が工作された可能性とその方法に気づく。

 

死亡時間工作を証明するために

ベイツは真犯人に罪を着せられたのだと考え始めるトムとフィル。しかしそれを証明するには彼らだけでは難しい。地元警察の協力が得られない以上、二人でなんとかするしかない。

フィルくんは、死体を見に行ったときに話を聞いた昆虫学者リアム・サウスワースのことを思い出す。彼はフィルくんのことを性的な意味で気に入っていたようだった。

彼なら調査に協力してくれるかもしれないと思ったフィルくんは、大学まで出かけて色仕掛けで彼に迫ることを決める。

「本当にいいのか、あいつお前のタイプじゃないだろ」と確かめるトム。

「でもやらなきゃいけないんだろ」と心を決めているフィル。

「お前が犠牲になるつもりか」とトムが食い下がるが、

「ただのセックスだし、あの家のソファは寝心地が悪いし」と、大して悲壮感もないフィル。

そんなわけでトムと別れてドクター・サウスワースを誘惑するフィルくん。ちなみにこの昆虫学者もフィルくんのことを「ドクター・ヘンドリクス」と呼ぶ。

フィルと別れてから数分後、トムのところに電話が入る。

「ちょろいもんだったよ」

「マジかよ」

「明日の朝迎えにきてね♡あと20ポンド持ってこいよ」(うまくいくかどうかトムと賭けていた)

フィルくんかっこいい……。

トムと一緒にしばし呆然としてしまった。

だがこのことが、フィルくんの今後を大きく変えることになるのだ(たぶん)。

 

フィルのハッピーエンド

ミッションを難なくこなしたフィルくん、昆虫学者の調査協力を取り付けたあとも彼の家に泊まることに。なんとすでに彼の家の鍵をもらっている。

「彼の家のテレビ、すっごいの」

とトムには説明していたが、その翌日の朝チュンではリアム(いつのまにか名前呼びに)とフィルくんがベッドでいちゃいちゃする様子が拝める。

リアムのダブリン訛りって世界一セクシーじゃないかなと思い始めるフィルくん。

あんなにガツガツしてないセックスって久しぶりだったけどすごくよかったなとか思ってるフィルくん。

「調査結果が出たら真っ先に教えろ」と警察に言われ、フィルやトムが気を悪くするのではと心配するリアム。

「そんなことない、俺もトムも全然気にしないよ、そんなことであなたが仕事を失うのはだめだよ」と笑うフィルくん。

なんかものすごくいい雰囲気なんだけど……。

 

このあとトムがリアムの家までフィルくんを迎えにくると、リアムは出勤後で、フィルくんがタンクトップにジャージ姿で「あがって~」と出迎える。

「裸足なのかよ」

「昨夜はあんまり足で立つことはなかったけどね。だいたい膝で」(お察しください)

「いや詳細の説明はいらないから」

「全部お前のためにやったって忘れるなよな」

というやりとりのあと、二人はフィルくんの淹れたコーヒーを飲みながらリアムの家でくつろぐのであった。シュールな状況だな……。

「別にお前のためにやったんじゃないんだからな!」的ツンデレの正反対をいくフィルくんはたいへん男前。

 

そしてラストシーンではなんと、この昆虫学者さんがロンドンに引っ越してくることが示唆される。リアムから「ロンドンでの新しい仕事のオファーがあって、前向きに考えてる」と連絡をもらったフィルくん(当然のようにこのときトムの部屋にいる)、リアムとロンドンでまた会えること、もしかしたらこれからずっと近くで暮らせるかもしれないことへの不安と喜びをトムに漏らす。

トムは「きっと大丈夫、うまくいくよ」とフィルを励まし、「カレー食べよっか!」とベンガルランサーに電話するのだった。- Happy End -

 

という、まさかのフィルくんに新しい彼氏ができるオチの話だった。

The Bones Beneath でひどい傷を負ったフィルくん、今回は幸せが見つかって本当によかったね……! そしてトムとの友情も変わらず続いていきそうで、こっちもよかった!

 

ちなみに事件は

ちゃんと解決した(こっちの内容は一応伏せておく)。

地元警察に真相を伝えるにあたり、もう解決したと思い込んでいる刑事さんは、トムとフィルに散々ひどい態度をとる。だがこのときフィルくんがトムの肩に手を置き、

「俺の面の皮は厚い(I've got thick skin)から罵倒も平気だけど、ここには俺の友達もいるんだよね」

から始まり逆に相手を追い詰めていく。休暇中の刑事であるトム相手ならあしらえると思っていた地元刑事、スキンヘッドにピアスとタトゥーだらけで言葉遣いも過激な病理学者であるところのフィルくんにはたじたじ。なんて男前なんだフィルくん。

そしてフィルの皮の厚みについては誰よりも自分が知っていると考えるトム。そうね……物理的な意味でよく知ってるね……。

 

改めて、トムとフィルのコンビは素晴らしい。

今後もぜひコンビで謎解きを続けてほしい!

リアムはひょっとして新レギュラーになるのだろうか……?

 

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