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競い合う蒼の美「ピーキーブラインダーズ」S1感想

前から見たい見たいと思っていた(おもにエイダン・ギレン的理由で)ピーキーブラインダーズをとうとう見始めた。

BBCの映像美がすごい方向に特化して襲ってくるすごいドラマだった。

ギレンさんが出てくるのはS4からなのでまだ先だが、せっかく感想をメモしておいたのでS1分を振り返りながらまとめてみたい。

ネタバレ全開につき注意。

 

 

 

 

競い合う蒼の美

ピーキーブラインダーズいちばんの見どころはやっぱりこれでしょ。

キリアン・マーフィのあの人工物っぽいというか人外っぽいあの瞳の薄い蒼色!

監督さん、カメラマンさん、照明さんたちが一丸となって「俺がいちばんキリアン・マーフィの瞳を美しく撮れる」選手権を開催している感じ。

このドラマ、キリアン・マーフィの瞳の色以外に青色はほとんど出てこない。空の色さえほとんど灰色である。それくらい徹底して青を排除した世界の中で美しく輝くあの瞳の蒼。アップになるたびに溜息が出る。ハァ~もっと見ていたい……。

 

横並び行進

もうひとつの見どころはこれ。

出陣シーンで毎回やってくれる、横並び行進。しかもスローモーション。

灰色の空をバックに、はためくコートの裾。帽子の下から見える物騒な眼光。かっこいい音楽。

並々ならぬ美学を感じる。

これを撮りたくてこのテーマを選んだんじゃないかと思うほど。

 

1話

「この変な髪型はなんなの」が第一声だった気がする。

次いで「このアクセントはなんなの」だった気がする。

バーミンガムアクセント、というのだろうか。S1を見終える頃にはだいぶ慣れてきたが、最初は何を言ってるのかさっぱりわからないし、そもそも発声の仕方自体がなんだか独特だし、ふしぎな感じだった。

そしてあの髪型は当時のバーミンガムでの流行だったんだろうか。あの髪型もしばらく見ているうちに慣れてきたが、最初は奇妙に思ったものである。

1話で驚いたのは、グレースがスパイだということを最初から明かしてしまったことだ。物語中盤で明かして盛り上げるようなことはしないのか、と。

しかしS1をとおして見て、これは1話で明かして正解だと思った。最初に明かしたおかげで、どの場面にも良い緊張感が生まれている。出し惜しみしない脚本、良い。

 

2話

酒場がまったく憩いの場でないことに驚く。物騒すぎんだろ。

そしてあの町でまだ酒場を経営しようなどという命知らずがいることに驚く。命がいくつあっても足りんだろ。開店3年目にして15代目店長だったとしてもおかしくない。

命が紙きれのように安い世界観を理解し、この世界にエイダン・ギレンを投入しようと考えた人に感謝した。早く登場回が見たい。

 

3話

よし、ドラマのタイトルを「トミーに学ぶ! 格上相手の交渉術」にしよう。

それで #ビジネスマナー とかのタグをつけて配信しよう。新たな需要を開拓できるに違いない。

毎回毎回、トミーの交渉シーンが楽しすぎる。基本は強気で、しかし譲歩すべきポイントはおさえる。沈黙や呼吸のタイミングも計算ずく。交渉術がご専門の方、誰か解説サイト作ってください。

グレースのピンチにかけつけるトミーを見て、えっ……かっこいい……ってなったけど、オチで噴いた。梅毒wwwリアルwwwwwグレースかわいそうwwww

 

4話

よし、ドラマのタイトルを「グレースに学ぶ! 面接にパスする方法」にしよう!

彼女は本当に優秀な諜報員。あの町の警官はダースで束ねても彼女一人にかなわない。

それにしても、このドラマはアカペラの歌の使い方が抜群においしいなー。歌詞と場面もうまくリンクさせていて、毎回楽しませてもらっている。

あの結婚シーンを見て「レッドウェディング案件だったらどうしよう……」と思ったゲースロ民は少なくないはずだ。だって割と悲劇フラグがビンビンに立ってたじゃない……。いやまさかウェディングではなくその後の家族団らんがレッドになるとは思わなかった。

フレディ逮捕で、トミーがポリーおばさんとエイダと完全に修復不可能になった気がして、しばらく胃痛で見るのを中断するわたし。

なお、あの髪型には慣れたがバーミンガムアクセントにはさっぱり慣れないというメモが残っている。

 

5話

ひとついいことが起こるとひとつ悪いことが起こる、すべての陣営に「勝ちすぎない」ための配慮が行き届いた脚本だ……。この話は「状況がどんどん悪くなる」転落タイプではなく、等価交換で進んでいくタイプのようだ。

窓から外を見るグレースの頬に、窓ガラスを伝っていく雨の滴が映って涙のように見える演出がとても美しい。このあとの悲劇を予感させるものなのか。

現場とチャーチルの間で板挟みな警部さん、割とお気に入りだったのだが、ここに来て清々しいまでの自爆フラグブレイカーっぷり。ていうか全然フラグ立ってなかったのにどうしていけると思ってしまったの? そんなに察しの悪い人のようには思っていなかったのだが、恋心の前には無力だったのか。

一方、シェルビーパパの清々しいまでのクズっぷり。これは逆に気持ちいい。アーサー……! きみってやつは……!

 

6話

S1でここまで話を進めるのか……! と驚愕。

トミーとグレースの仲とか、もっと引っ張るのかと思ったら一気にそこまで! そして何? ここでグレースは退場なの!? マジで!!!?!?

……と、かなり息を呑んだシリーズ最終話。

等価交換の法則はきっちり適用され、左辺と右辺のバランスのとり方はもはや数学的といってもいいレベル。物語を推進する内燃機関が美しい。

視聴済み勢による「アーサーは萌えキャラ」という論調を、わたしもそろそろ理解しつつある。彼はギャングで重鎮をやるにしては、あまりにも不器用だし素直だしおっちょこちょいだしうっかりものだし……あの世界においては癒し枠である。トミーのお兄ちゃんでなかったら開始30分で死にそうだが、どうか長生きしてほしい。

 

そんなわけで大変盛り上がったS1最終話だが、これを書いているわたしはすでにS2を見始めている。冒頭の出落ちに注ぐ出落ちを見たわたし、よく顎がはずれなかったな。

S2も相変わらずトミーの瞳が美しく、話もいい感じに不穏なので、今後も楽しく続きを見ていくつもりである。

 

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