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アベラマ・ゴールドと行くバーミンガムの森「ピーキーブラインダーズ」S4感想

さあいよいよ! 「ピーキーブラインダーズ」を見始めた当初の目的、アベラマ・ゴールドが登場するシリーズ4に到達!

ジプシーの暗殺者で金にうるさい危険人物だということは知っていたものの、蓋を開けてみたらとんでもない萌えキャラで10回くらい心臓が止まりそうになった。視聴中にこんなにも休憩を要したのは「シャンハイナイト」以来だぜ……。

そんなわけで以下はやや正気を失ったネタバレ感想。

S1感想はこちらからどうぞ

 

 

 

 

1話

いったい誰だトミー・シェルビーにあんな眼鏡をかけさせようと決めたやつは!! 最高か!! 最高だよ!!! 本当にありがとう!!!! 最初の15分でいろんな意味で取り乱しすぎたよ!!!

今回はバラバラになった家族が共通の敵を前に再結集していくストーリーか、なるほどと思ったらお前…!! そんな…! 1話にしてファミリーから退場者が……。

S3まででジョンのことがすっかり気に入っていただけにショックが大きい。彼の目を伏せた横顔がすごく好きだったのだけど。

ポリーの荒れ方もつらい。亡くした娘さんが見えるという描写は、この時点では気が触れたようにしか見えないし。

赤ばかりで緑のないクリスマスは大変映える。とにかくこの回は「赤」が印象的だ。トミーの部屋にはツリーがあるものの、緑はほとんど見えない。飾ってある赤いリボンばかりが目立つ。

なんといっても血まみれトミーが大変よい。肉の解体場所で格闘になったというだけで本人の流血ではないのだが、それでもトミーがあんなに血まみれになるのは初めてだったしいろいろと暗示的だ。あのイタリア人シェフに迫るシーンの迫力が好きだ。一見まっとうなビジネスマンになったように見えるトミーだが、その実まったくギャングらしさを失っていない。

そして! ルカちゃんこと Luca Changretta(人によって「シャングレッタ」「チャングレッタ」「ジャングレッタ」と発音がまちまちなのだが、そういえばイタリア語のつづりで "cha" はあまり見ない気がする)!! S4はとにかく彼がいい。いや単にわたし好みのというところが大きいのかもしれないが、ピーキー史上最高のヴィランだったと思う。初登場の入国シーンからして只者ではない感がひしひしとして、一目ぼれである。

 

2話

アベラマさん登場シーンで早くもわたしが死亡。あと敵も死亡。

喉をかき切るのかと思ったらザクザクだからなあ! そんなに刺す必要ないだろ、もう最高!! あの後ろから刺す体勢なら返り血もあまり浴びないしいいよね。このときは手袋をしていなかったから、素手が血に染まるのも最高!!

最初に刺す前に唇舐めてるのもわたしの趣味に直撃だし、そのあと短く息を吸う間のとり方も好き!!!

ところでこのシーン、ゲームオブスローンズS7の数か月後に見たリトルフィンガーファンは心の傷を再度抉られることにはならなかったんですかね……。わたしはフラッシュバックで胸をかきむしりながら、それでも「かっこいい……」と思う気持ちが勝って何度も見直しました。

最初のセリフがお会計なのも最高だ。帽子に手をそえる仕草も好き。今までピーキーにはあまりこの仕草が出てこなかっただけに、引き立っている。ポリーとの視線の交わし方もいい。第一印象から決めてました的なあれなのか。

そんなぶっちぎった初登場シーンからの、子煩悩パパ描写。ボニーに向ける声や笑顔がめちゃくちゃかわいい。そして子供のことになるとよく喋る。かわいい。ボニーくんもなんであの環境からこんな素直なスポーツマンが……と思うかわいさ。アベラマさんいわく「父親の強さと母親の癇癪を受け継いだ」とのことだが、アベラマさんと奥さんの喧嘩はさぞ恐ろしかっただろう。

ともかくあらゆる面からアベラマさんの今後に期待が持てる初登場回だった。

後半、今度はオレンジが多用されることになる。1話では赤がキーカラーだったが、今度はトミーの瞳の補色である。本当に美しい。このドラマはつくづくキリアン・マーフィーを美しく撮ることに全霊を傾けている。

 

3話

今度はアーサーお兄ちゃんが赤く染まる回。何の暗示なんだよ~~不吉すぎるよ~~と、慄きながら見ていた。でもアーサーお兄ちゃんの頑張るシーンは全部好きだ。今回もよく頑張りました。

ジェシーは今回のヒロイン枠なのか。グレース以外のヒロイン枠が、みんなブルネットで似たような髪型なのは、トミーの趣味なのか?

戦争でフランスに行く前のトミーの過去が判明したわけだが、想像できないようなできるような。理想に燃える若者が、戦争で変わってしまったと言えばよくある話なのかもしれないが……。

ルカちゃんと部下たちのコント(コント?)、お約束なのだがああいうシーンは必要だ! もうルカちゃんの顔が好きでたまらない。なんなのあのディズニーヴィランみたいな顔。わたしが絵描きなら絶対似顔絵を描いているところだ。

そしてポリーとルカちゃんの密会。もうね、完璧に騙されたから。ポリー、キレが戻ったのは嬉しいけどそんな……! って軽く絶望したから。恐ろしい魔女ですわ、ポリー。

 

4話

アベラマさんがまた敵の喉をかき切っている……!

そして「変な髪型」と言われてしまっている……! うん、わたしもキービジュアルを見たときからジェームズ・メイかよと思っていたけど言わなかったのに!ww

ジェームズ・メイの参考画像。

で、そのシーンのトム・ハーディエイダン・ギレンキリアン・マーフィの三つ巴シーンの見応えがありすぎて、もうどこに視線をやっていいかわからない。

しかしこんな興行のためにはるばるバーミンガムまで来てくれるソロモンズさんも人がいいな。いや、6話で言ったことが本当ならトミーの顔を見ておきたかったのかもしれないな……。

メイの再登場は嬉しい!(ジェームズ・メイではない)去り方もかっこいい。化粧の仕方、変わったね……。

暇だからって新ビジネスを始めてしまうトミーはさすが。特製ジン、全種飲みたいです。拙者、甘いジンも好きでござる!

共産主義がこのあとどんな道をたどるのかを知っているというのは大変なネタバレなような気もするが、視聴者がそれを知っていることくらいは作り手も知っているわけで、その上でどんな展開を入れてくるのかがやはり楽しみである。

で! マイケル!! お前まで……。

今までマイケルは何を言われてもファミリーのビジネス優先で、トミーはそこのところの度胸をすごく買っていたと思うのだが。やはり処刑されかかる+殺されかかるのコンボはその気持ちを変えてしまうのに十分だったということなのか。いや普通はそうだろうけどさ! でも今までのマイケルがああいうキャラだっただけに、ここはかなり衝撃だった。たぶんトミーにとっても。

 

5話

BBCよ、わたしを何度昇天させれば気がすむのかね???

マイケル視点で、アベラマさんと一緒にバーミンガムの森を放浪する30分番組を作ろう!! 森で生きていくための生活の知恵とか語ってもらおう!!

アベラマさん、あの体勢からいちばん取り出しやすいナイフを選んで渡しただけで実際あといくつも体に仕込んでるでしょ……。あのナイフの取り出し方!! くそっあざとい!!

うさぎを捕まえるアベラマさんが見たかった。うさぎと戯れるアベラマさんの30分番組も作ろう? エンディングで「うさぎはアベラマさんがおいしくいただきました」ってテロップが出るの。

四つん這いからのあの手の動きでまた5回くらい死亡するでしょ??? アベラマさんのポリーへの態度は、トミーからほかの女性たちへの態度と対称的な気がする(ほかのヒロインたちに比べてポリーが強すぎるというのも一因だけど)。彼女を「ジプシーのヒーラー」と認め尊重し、敬意を払って大切なもののように触れるアベラマさん。何が極悪人だよ~今までピーキーに出てきた男性の中でいちばん女性に優しい気がするよ……。

この回、トミーとルカちゃんの攻防もすごく見応えがあって全体としてすごく盛り上がったのだが、割とアベラマさんのシーンで全部吹っ飛んだ感がある。

ポリーがトミーを裏切ってなかったことがわかって、ほっとしてからのアベラマさんとの絡みだったから余計に。

一方、安定のソロモンズさん。本当、息をするように裏切ってくるよなソロモンズさんは。わたしの中ではもう峰不二子ポジション扱いだ。事が終わったあと彼が何と言うか今から楽しみだ、とメモには書いてあるが、当然ながら最終回では愕然とした。半年以上ネタバレをせずにいてくれたみんな、本当にありがとう。

また一方で、アベラマさんとは逆に女性を罠にはめようとしているトミー。彼は今、S1のグレースと同じことをしているのだが、その自覚がどこまであるだろうか。

 

6話

アーーーーーーサーーーーー!!!!

アルフィーーーーーーーーー!!!!

BBCにいいように心を揺さぶられるばかりの1時間だった……。

アーサー、死んでないよね?? と思いながら見ていたのだけど、トミーがあまりにも真に迫っていたから……。ボニーの勝利にはしゃぐアベラマさんとの対比があまりにも鮮やかだったから……。

うう……生きててよかったアーサー……。彼までいなくなったらどうしようかと……。

そしてソロモンズさんがまさかの退場……。それは予想してなかった。なんだかんだでまたもとの関係に戻るものだと。どうせ死ぬならトミーの手で、と思ったりしていたのだろうか。なんとなく、彼はトミーを殺す気で撃ったのではない気がしている。トミーに引き金を引かせるための銃だったのではないかなと。

いや、でもあそこで油断しきって死ぬようなトミーだったら殺されてやらねーぞ! という気持ちもあったかもしれない。

ガンの話自体が嘘で、ガチで逃げるつもりだった可能性も考えた。だが本当に逃げる気だったなら、マーゲートのことをトミーに告げなければよかったのだ。それは「追ってこい」というアルフィーからのメッセージだったのだろうと、今のところは考えている。

で、いぬーーーー!!!!!?? シリルちゃんどうなるの……。かわいそうなわんこ……。

そして5話の時点で危惧していたことだが、マイケルはまさかここで実質退場になるのだろうか。それともS5ではアメリカもがっつり舞台になるのだろうか。それともファミリーを抜けたマイケルがアメリカで力をつけ、トミーの最強の敵として立ちふさがったりするのだろうか。せっかくここまで育った彼があっさり退場してしまうのはもったいない気もする。また出てほしいものだ。

 

そしてルカちゃん、良いヴィランだった……。今までは最終的にチャーチルが事態を収拾するオチだったが、今回はアル・カポネとかまた別方向から大物が登場しましたなあ。さすがに彼にはかなわないのか。

ルカちゃんの一挙手一投足がツボだった。特に帽子のかぶり方。登場のたびに、あの表情にほれぼれした。エイドリアン・ブロディのほかの出演作がいくつかネトフリにあるから、今後チェックしてみるつもりだ。それくらい彼が気に入った。

帽子のかぶり方がかっこいいといえばアベラマさん(あの帽子に手をそえる仕草、本当に好きなんだ……)なわけだが、最終回にしてとうとう彼が帽子を取った! うん、なんかくたびれたねこみたいだな。

エイダン・ギレンは割といろんな役でネコ科の印象を残しているが(リトルフィンガーについてはギレンさん自身がネコのイメージでやっていたそうだし)、アベラマさんは特筆すべきねこっぷりだ。狩りもするし、音もなく忍び寄るし、なんか四つん這いシーンもあったし。

 

で、オチ。

トーマス・シェルビー政界に進出!!

そのうちそうなってもおかしくないとは思っていたが、もうそこまでいっちゃうのか……! まあマフィアやギャングが政治家やってるのって、今でもそんなに珍しい話じゃないしな。あり。ありあり。

ひょっとして今後はもっと政治絡みの話になっていくのだろうか。メディアと戦ったりとか。いろいろと期待が高まる。

ただ政治家がアベラマさんみたいなヒットマンを雇って政敵を潰すのはまずいような気もして、今後アベラマさんの扱いはどうなるの? という心配はある。ボクシングで息子と世界を目指すキャラになっていくんだろうか……。もっと武器を使う物騒なアベラマさんも見たい!

 

というわけで、アベラマさんをじっくり堪能するつもりだったのにほとんど一気見してしまった。S4はアベラマさんを抜きにしても本当に面白い作りで、シリーズ最高傑作という評価も頷ける。

すでにS5の撮影は始まっているようだ。今後はしばらく、放送を楽しみに待つことにしよう。

最後に、公式ツイッターが上げていた動画を自分用にぺたっと。

笑顔がアベラマさんと全然違う……。

 

何度見てもいい、このシーン。

 

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