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「ハデス」クリア後ネタバレキャラ語り・前半

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前回の HADES 感想記事から1カ月半。ようやく、およそクリアと言っていい感じのところまできた。およそクリアというのは、全員の好感度が最高になったということだ。

まだ予言書はうまってないものも多いし、冥友は全然鍛えられていないし、やりこむ余地はまだまだあるのだが、シナリオ部分の感想を書くのに必要な部分は大体見られたのではないかというところ。

シナリオの感想を書く前に、これから始める人のための攻略絡みのメモを少々。

 

・日本語・英語の攻略サイトを見ると、シシュポスの好感度をアンロックするためにイワコフにネクタルを与える必要はないと書かれていることが多いが、少なくともわたしのプレイした Switch 版ではイワコフにネクタルを与えなければ話が進まない(イワコフのハートが増えない)ようである。Switch 版以外のどのバージョンでそうなっているのかは不明。シシュポスだけ行き詰まった人はイワコフにもネクタルを試してみるといいかも。

・イワコフの好感度は手帳で確認することはできないが、ネクタルを与えるとハート+1の表示が出るため、好感度が上がっていると思われる。

ダイヤモンドやティタンの血は、各武器で初めて各ボスを倒したときにもらえる。剣で初めてメガイラを倒すとティタンの血を1つもらえるが、剣で二度目に倒したときはもらえない。弓で初めて倒すとまたもらえる。全武器で一通り倒すと、クリア報酬としてのダイヤモンドやティタンの血はいったんおしまい。

・一通りクリアした後も報酬がほしい場合は、「懲罰の盟約」を結ぶ。各武器につき、熱度の段階ごとに一回ずつ報酬がもらえる。たとえば剣で熱度+1の状態で初めて各ボスを倒したときに報酬がもらえる。剣のまま次の報酬をもらうには、熱度を+2にする必要がある。ほかの武器に持ち替えれば、熱度+1の報酬がそれぞれもらえる。

・スティクスにあるカロンの店には、ダイヤモンド(1000コイン)とティタンの血(1200コイン)のどちらかが必ず並んでいる。「懲罰の盟約」を使わずにダイヤや血を集めたい場合は、お金をためながらスティクスまで行くべし。ただしアンブロシアは店売りされていない。

・「懲罰の盟約」を使わずにアンブロシアを集めるには、周旋屋でちまちま交換を繰り返すべし。宝石→鍵→ネクタル→ダイヤ→アンブロシアの順で交換できる。特価品も見逃さない。

・釣りで獲れた魚を酒場に持っていくと、ネクタルやダイヤと交換できることがある。地上でも釣りができる(ラスボス討伐後)のでチェックを忘れずに。

 

アクションが下手な人(わたしである)のための攻略メモはこちら。

ssayu.hatenablog.com

というわけで、前置き終了。

以下、シナリオに関するネタバレ全開につき注意。

 

 

 

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いやあここまで長かった。そしてここからも結構長かった。

キャラの所属ごとに語っていくことにするか。

 

オリュンポスの神々

ゼウス

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いい意味でも悪い意味でもざっくりおおらかで気まぐれな全能神。親戚にいたらちょっと困るかもしれない(まあギリシャ神話の神々はどいつもこいつも親戚にいたら困るタイプしかいないような気がする)。

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言われてますよゼウスさん

とはいえそこは貫禄の全能神、家族の和解の際には、諸々わかった上でハデスの言い分を飲みこみ話を合わせる度量もある。

エクサグリフの「ルシファーの態」を解放する際に「この持ち主も父である神に叛逆したらしい」と語っていたのが印象的。父殺しは神話の定番モチーフ、神話にはよくあることである。まあルシファーの場合はうまくいっていないが。

功徳は雷攻撃が中心で、特にダッシュや通常攻撃にに雷をつけるとビシャーンビシャーンとひっきりなしに雷が落ちることになる。エフェクトが派手で見るからに「厄介な敵」になれるのがお気に入り。

ゼウスはもともと天空の神で雷を扱うそうだから、功徳もそのまんまな感じで強い。

 

アテナ

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智慧や芸術を司る女神なだけあり、理知的なキャラだった。

立ち絵でも光る盾を持っている。ザグくんのアイギスの方が派手だが。

アテナの功徳がリフレクト系なのは、メドゥーサの石化攻撃を鏡の盾で反射したペルセウスのエピソードからかな。持ち帰られたメドゥーサの首はアイギスに取り付けられたというし、この鏡の盾自体がアイギスと同一視されることもあるとか。

 

ポセイドン

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このエピソードは個人的に懐かしい思い出のあるやつ。

ミノスの雄牛=ミノタウロス=本名アステリウスは、母親(ミノス王妃)と雄牛が交わってできた半獣人。その雄牛をミノス王に与えたのがポセイドン。あとでポセイドンへの生贄に捧げますので! ってことで与えたのだが、王はその牛を気に入ってしまい、別の牛を生贄にした。ポセイドンとしては約束が違うやんけ! と怒り心頭。王妃が雄牛に欲情するように仕向けたという流れ。確かに品のいい話じゃないな!! 登場人物全員ダメやないの。

たぶん農産業に関する新技術をめぐるトラブル(というか戦争?)がもとになってできた神話ではないかと思われる。

この話の何が懐かしいかというと、小学生の頃ギリシャ神話の本を片っ端から読んでいたわたし、このエピソードを読んで「大昔は人間と牛で子供ができたのだろうか」と考えこんだのだった。

ポセイドンの功徳は吹き飛ばしが便利で(特にビームを撃ってくる敵は吹き飛ばすとしばらくビームを止めるので)愛用していたが、パンチの通常攻撃に吹き飛ばしをつけてしまったときは目も当てられなかった。連続で殴りたいのに、どんどん遠ざかってしまう敵。つける前に気づこう!

 

ディオニュソス

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初めて対面したときからなんていいデザインなんだと思っていたが、最後までお気に入りだった。

和解の宴にノリノリで乗り込んで誰よりも酒を飲んで、記憶を飛ばして帰っていったお騒がせおじさん。ハデスからも「冥界をめちゃくちゃにするにはディオニュソス一人でも十分」とか言われていたし。

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ディオニュソス絡みで印象に残っているイベントはこれ。デタラメな話を作るにしても、何それ!?

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お前もノリノリかよ! 「似ていることには気づいてただろう?」って別に似てないわ! むちゃくちゃ言うな!

でもこのエピソードにもちゃんと元ネタがあって、実際にディオニュソスとザグレウスが同一視されるケースもあるんだなあ。

 

アルテミス

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カリストの話をよく聞かされたが、そのカリストはゼウスに奪われてしまう人なので悲しい気持ちに。百合の間に挟まるおじさん、ゼウス。

わたしの場合、なかなかカリストの話を切り出してくれないものだから、アルテミスの好感度をアンロックしたのはだいぶ後だった。

ちなみにアルテミスとアキレウスにつながりがあったのは知らなかった。トロイア戦争絡みで知り合ったんだな。

授けてくれる功徳の中では、「祈り」で確実に命中させてくれる攻撃が重宝した。わたしのようなアクション下手にとっては、「狙わなくていい」というだけでありがたいのだ。

 

アレス

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どの功徳にもお世話になった! どの功徳も強くて使いやすいのがありがたい。ダッシュ辛苦を重宝した。

敵1万回撃破で好感度アンロックのはずなのだが、1万を超えてから何度会っても一向にアンロックイベントが起こらない。イベントはランダム発生だから仕方ないにしても、いくらなんでも発生しなさすぎでは?? と不安になり、ひょっとして1万ではなく10万だったのでは??? と疑い始めた頃にやっとアンロックイベントが発生した。たぶん2万5000撃破を超えていたと思う。なかなか心を開いてくれない神である。

とはいえ、いろいろなフィクション作品のアレスを見ていると、このアレスはこれでもだいぶ落ち着きのある大人な印象。

ただこのアレスとあのアフロディテが夫婦のイメージが全然わかない。

 

アフロディテ

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ザグレウスがお付き合いできる全員(タナトス、メガイラ、デューサ)と交際を始めなければ好感度がアンロックされないため、仲良くなれたのは家族和解イベント後であった。

ザグくんが新しい人と付き合い始めるたびに察知してコメントをくれるのが面白い。メガイラには深入りしてはダメなのか……。

オリュンポスのほかの神々に対しては割と露骨に辛辣。きみたち仲が悪いな!

功徳には腕力低下効果がついているが、もともとゴッドモードでダメージを半分以上カットされている状態だとそれほど恩恵がない。ただしアフロディテの「祈り」攻撃を当てると、ハデスの頭にでかいハートマークが出るのがビジュアル的に面白かった。

全然関係ないのだが、かつてドイツで入ったギリシャ飯屋で「アフロディテプレート」なるワンプレート定食(ほかにも「ポセイドンプレート」みたいな名前の定食がいろいろ)を注文したところ、とんでもないボリュームの肉オンザ肉定食だったことがある。

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そのときの写真

うん、たしかに皿1枚にどうにかのってるから「ワンプレート」と言い張れるな! ちなみにハンバーグ、薄切り肉、串焼きの三種が重なっている。

それ以来、アフロディテという名前を聞くたびにこの肉オンザ肉プレートを思い出してしまう。

 

ヘルメス

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ザグくんを「ボス」と呼び、初期から諸々知った上で協力してくれたいいやつ。

早口のおしゃべりも気に入っていたので、おしゃべりを止めるなんてとんでもない!(2回くらい止める選択肢が出た)

ヘルメスといえば伝令の神だけど、そういえば冥界との行き来もできる設定だった。なるほどなあ。

どの功徳も地味に役立つのだが、部屋に入るたびにお金が入ってくるのがいちばんありがたくて多用していた気がする。商人の守護神でもあるので、お金をくれるのだなあ。カロンとも仲がよさそうだったし。

 

デメテル

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見事な「雪の女王」ぶり。デザインも言動も。ちゃんと穀物を背負っているのが面白い。人間に穀物の栽培を教えたのが彼女だよね。

最初にギリシャに到達したときは、その雪景色っぷりに驚いた。地中海性気候は!?

ギリシャに雪を降らせたのは彼女の仕業だったんだな。デメテルが不機嫌だと地上が飢えるので、今後も家族関係は良好であってほしい。

功徳による「悪寒」はわたしの場合それほど重宝せず(継続ダメージのようなものの方がありがたい)、さらに魔弾にデメテルの功徳をつけるとなかなか命中しないビームになってしまうため(まあわたしの設置が下手なのだが)あまり積極的に会わなかった。

でもずっと頑なな態度だった彼女が、娘との再会がかなって態度を軟化させるのはこのゲームの山場のひとつだったように思う。

 

カオス

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素っ頓狂な外見と言動に反して、なかなかの常識人。

HADES ではさまざまな家族が登場し、その関係を修復することになるが、カオスとニュクスの親子もそのひとつ。再会できてよかったなあ。

「タルタロス」もニュクスの兄弟なのだが、そっちは人格のある神としては登場しなかった。

カオスの功徳はどれも強力だが、リスクが大きくて序盤で手を出すのはなかなかきつかった。「〇〇攻撃のたびに自分に〇ダメージ」のリスクを自分で負っておきながら何度うっかりダメージを受けたことか。

なんだかんだでもらえるお金が増える功徳をいちばんたくさんもらっていたように思う。最後のカロンの店で1200コインを支払えるようにするためには、現金収入が増えるのは常に歓迎である。

 

ニュクス

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このゲームの良心。おかあさんありがとう。

彼女がこういうひとでなければ、ザグくんはもっと悪いグレ方をしていたのではないかな。ザグくんのあの人並外れて(まあ神だし)高いコミュニケーション能力も、彼女によるところが大きいのではないかな。お父さんはあんなだし。

悩める息子に助言を与え、時に励まし、時に窘め、感謝も謝罪も率直。めちゃくちゃいい母親だ。

ニュクスが実の母親ではないと知ったザグレウスの混乱も慌てず騒がず受け止め、彼が前に進めるよう見守ってくれた。

ペルセポネが冥界に帰ってきたときも、彼女を立てる振舞いに徹した。神格としてはニュクスの方がはるかに高いからこそではあるのだろうが、難しい立場のなかでできることを精一杯やってくれたように思う。シシュポスもオルフェウスアキレウスも、彼女に救われたようなものだ。

作中に登場した彼女の実子はタナトスヒュプノスだけということになる。もともとはザグくんも彼らと兄弟扱いで育ったんだなあ。その頃の暮らしももっと見てみたかった気もする。

 

210824追記:作中に登場したニュクスの実子にはカロンもいた!

 

ペルセポネ

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ペルセポネが冥界のザクロの実を食べたことにより完全に地上で生きていくことができなくなったことから、一年の半分(三分の一という話も)は冥界で、半分は地上で過ごすことになった。これが四季の始まりである――という神話エピソードに落ち着くのかーー!! と察したときのワクワク感よ。

母と息子の感動の再会はよかったが、その後たびたび息子が苦しんで死ぬのを見なければならないというのもずいぶんきつい話である。

いかにも女神然とした地上での服装から冥界モードの服装に変わったときはちょっと驚いた。似合ってるじゃないの。

ペルセポネからの賜物も「ザクロの花」。しかも「6/5/4の戦闘ごとに、ランダムな功徳のレベルを1上げる」の回数部分が、1年のうちペルセポネが冥界にいられる月数とリンクしていて気が利いている。

 

ハデス

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このゲームのタイトルにしてラスボス。

二又の槍はハデスのシンボル。姿を消すことができるのも神話どおり。

いろいろと事情は抱えているものの、なんだかんだでクソ。対話が足りんよ、対話が! どうしてこうも察してちゃんなのか。まあ身内が全能の神だったりするからコミュニケーション能力が育まれないのは仕方なかったのか。FF14のハーデスが見たら「お前とその息子はもっと対話をしておくべきだった」と諭してくれるに違いない。

結局この親子関係は息子の動きによって徐々に修復され、やがてペルセポネの帰還によってどうにか家族らしさを取り戻していく。お父さん仕事ばかりしててあんまり家族の修復に貢献してない!

ハデスはわかりやすくこの作品の父性であり、英雄譚における「父殺し」「神殺し」両方の役割を果たしている。ゲーム序盤におけるモチベーターとしての役割もある。だからこそのキャラクターであろう。

ペルセポネ帰還後、デレを見せ始めたハデスは若干かわいらしい。あとザグくんが宮大工にあれこれ注文するときの「なんでそんな発注を?」のコメントが毎回面白い。

これからもザグくんとバトりながら仲を深めていってほしいものである。そしてたまにはザグくんを表彰してあげてほしい。びっくりしてたけど喜んでると思うよ!

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という感じでひとりずつ語っていたら、オリュンポス勢だけでかなり長くなってしまった! 続きはまた後日!

 

 

続きました。

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