なぜ面白いのか

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「ハデス」クリア後ネタバレキャラ語り・後半

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死因大喜利が毎回面白い

本日は「ハデス」キャラ語りの後半!

前回はオリュンポス勢を中心に語ったので、今回はそれ以外について。

ネタバレ満載なので全員との好感度をマックスにしてからどうぞ!

前回記事はこちら。

ssayu.hatenablog.com

攻略メモはこちら。

ssayu.hatenablog.com

 

 

メガイラ

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復讐の三女神の長女。このゲームのヒロイン。

名前を思い出そうとすると毎回メーガス三姉妹と間違いそうになる。

ザグレウスは三股交際が可能だが、神なのでそれくらいは当然だし全員が寛容である。ギリシャ神話的世界観すげえ。いや原作(原作?)の神々は確かに三股くらいはザラだが、同時に全員嫉妬神といっていいレベルで嫉妬深くなかった??? ていうかメガイラこそ嫉妬担当じゃなかったか? ま、まあいいか、三股攻略楽しかったし。

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メガイラのいちばんぐっときたシーン

驚いたのは、メガイラがザグレウスとかつて付き合っていたらしい点である。えっ、元カノだったの!!??!!? あの態度はそういうことだったの??? いろんな試練を乗り越えて大人になったザグくんは、元カノとよりを戻した……そういうゲームだったの!!??! 「元カノとよりを戻すゲーム」で真っ先に連想したのは「サイバーパンク2077」なのだが、全然違うな。

妹のアレクトとティシポネともよく会話が発生するが、もしかしてこちらとも仲良くなれたりするのだろうか。ネクタルを渡せないのでシステム上の好感度は設定されていないはずだが、会話を重ねると多少親密になるとか? ティシポネは murder しか言わないヤバいやつだが、徐々にザグくんの名前を覚えてくれるのはフラグ……なんだろうか???

 

 

デューサ

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首だけのゴルゴン。このゲームのヒロイン。

どうしてもゴルゴン三姉妹のメデューサを連想してしまうが、英語Wikiaによれば「メイド」の「デューサ」は「メデューサ」の言葉遊びではないかとのこと。なるほどね!

デューサは石化攻撃もしてこないし、それどころか仕事熱心で献身的でザグくんを敬愛している。ザグくんは彼女を愛しているようだが、作中では「永遠にお友達」でいることになったようだ。ううっもっと親密になりたい……デューサかわいいよデューサ。話し方がかわいいよね。

オデュッセイア』ではメデューサはハデス側に所属しているので、そこから引っ張ってきた設定なのかな。

 

 

タナトス

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このゲームのヒロイン。

本来は剣を持った死神のはず。死神が鎌を持つようになったのは、農具の改革が進んだ近世以降ではなかったかな。終末思想が広がってメメント・モリとか言い出した時代には鎌を持ってたはず。「農夫が小麦を刈るように魂を刈る死神」イメージは割と新しいのだ。まあこのキャラデザインはかっこいいのでヨシ!

作中では見事なツンデレぶりを発揮してくれた。仕事熱心な彼が、あえて危険を冒してザグくんを探し、助けてくれている時点で最初からデレ全開だったような気もするが。しかもザグくんが「勝負」に勝ったら「ハート」をくれるし。

そしてネクタルを渡していたときはあれだけ「こんなのダメだ」的な態度だったのに、最終的には自分からザグくんの部屋を訪れて直球アプローチである。Switch でこんな展開大丈夫なのか(しかもザグくん三股だぞ)。ザグくんもザグくんでひたすら紳士。紳士すぎてタナトスに直球で切り出されることになったが。

タナトスのくれる賜物は蝶の標本だが、ギリシャ神話では魂(プシュケー Psyche, Psychology などの語源)は蝶のイメージで語られることからだろう。エリュシオンでも蝶がたくさん飛んでいた。

 

 

ヒュプノス

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かわいい。めちゃくちゃお気に入り。どんなに死んでもこのゲームを楽しく続けられるのは、冥界に戻ったザグくんを彼が明るく迎えてくれるからだ。

いつも大変お世話になっているので、早々に寝具をプレゼントした。大喜びしてくれて嬉しい。

最初は双子のタナトスとの仲が険悪だったが、次第に関係が修復されていく。やるべきことの優先順位をうまくつけられないというヒュプノスに、「お前は何でも書きとめるのが好きなんだから、やるべきことを書きだしてリストを作り、それに優先順位を割り振って行動しろ」と超絶まっとうなアドバイスをするお兄ちゃん。お兄ちゃんの言うとおりとにかくやってみようと挑戦するヒュプノス。勤務評価が上がって本当によかったね! 彼が表彰されているのを見たときはちょっと泣いちゃった。

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それにしても「同じ墓穴に入った遺骨同士」とかいうパワーワードよ。「死」と「眠り」を双子の兄弟とするギリシャ神話の世界観、好きだな。

 

 

シシュポス

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親切で常にへりくだった態度ながら、二度にわたって「死」を欺いた大罪人。

テッサリアの王子で、コリントスの町を作ったとされる。そのへんの話もチラチラとしてくれるのだが、今のシシュポスにとっては何もかも黒歴史になってしまっているのだろうか。

今の彼は諸々の罰に納得し、罪を免じられた後もタルタロスにとどまることを決めた。好感度アンロックにめちゃくちゃ時間がかかったんだがな!(イワコフにネクタルをプレゼントしていなかったため)

日本語版だとあの「シシュポスの岩(=徒労を表すことわざになっている)」は「イワコフ」という名前だが、英語版だと Bouldy という名前。Boulder というのが「大きな丸い岩」という意味なので、そのまんまかよ! なネーミング。「イワコフ」とは思い切った翻訳だけどイイなあ。

 

 

オルフェウス

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あまりにも有名なタブー破りの神話の主人公。イザナギイザナミといい、鶴の恩返しといい、タブー破りの神話、民話は多い。

最初に顔を見たときは、ハジけた髪型に驚いた。メデューサがとりついてね? みたいな。

歌えなくなった彼がエウリュディケと再会し、再び歌を取り戻す流れはなかなか感動的。子供の頃に読んだ神話の続きを見られた気分。

ペルセポネの冥界帰還にまつわる「正しい噂」についても、彼がうまく広めてくれるだろう。

オルフェウスの影響で竪琴を始めたザグレウスだが、実はまだ十分に上達していない(今二段階目なのだが)。予言書に竪琴の上達が書かれているということはもっと上達するのだろう。ザグくん、竪琴が上手くなったらどうするんだ?? 恋人たちに歌をプレゼントしたりするのか?

 

 

エウリュディケ

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オルフェウスの髪型がメデューサなら、こっちはブロッコリーである。なんとなく森のニンフかと思っていたが、海のニンフだったのか。

オルフェウスの歌のインスピレーションはエウリュディケからもらっていた設定は面白い。人外だしなあ。海(というか水辺)の精が歌をうたうのも神話や伝承の定番だ。

毎回ザグくんに美味い料理をふるまってくれるのだが、あんな暑いところで食材は大丈夫なんだろうか。

 

 

アキレウス

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このゲームの真のヒロイン(異論は認める)。

師匠……師匠!!

ゲーム開始直後、手帳の中のアフロディテの記述に「失恋の痛みに比べたら、荒ぶる大波や雷の大嵐が可愛く思えてくるのだ」とあることから、師匠はいったいどんな失恋をしたんや……と思っていたのだが、相手がパトロクロスとはね! なるほどね! 一緒に埋葬されてるくらいだもんね!

アキレウスパトロクロスを再会させるためにせっせと会話を重ねたのだが、なにしろ師匠は師匠なので、師匠としての発言も多い。メインストーリーが展開するたびに丁寧なコメントもある。そのためなかなか再会話が進まず、もどかしい日々が続いた。

「自分が出陣を拒んだ戦で、恋人が自分の鎧を着て出陣して討死」ってなかなかきついシチュエーションだ。その後仇は討ったとはいえ、それですっきりするわけもなく。結局自分も討たれてしまうし。

エリュシオンに自由に行き来できるようになったアキレウスだが、律儀にハデスの館での仕事も続けてくれるとのことなので(オルフェウスも同じく)これからもよろしくね。

 

 

パトロクロス

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最初はなんだこの陰鬱なおじさんは……と思っていたのだが、話を聞いてみればそうなるのも無理はない。

エウリュディケがからっとした態度で彼女なりにひとりの死後生を楽しもうと料理の腕を磨いていたのに対して、こちらはひたすら鬱々としている。よい対比になっていたようにも思う。

しかし死に別れたふたりの双方から話を聞いて関係を修復させる名人のザグレウス、これはもはやカウンセリングの神といえるのではないだろうか。

 

 

スケリー

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わたしにとって作中最大の謎がこの人物。

その正体はクレタ海軍の艦長「スケレミウス」であると明かしてくれたが、その後「あんなの嘘でごぜぇやす」とひっくり返されてしまった。どっちを信じればいいんだ! ミノス王はたしかにアテナイに攻め込んだことはあるが、スケレミウスという名前をわたしは知らない。神話にちゃんと元ネタがある?

わたしはむしろ「スケリー Skelly」という名前は、メガラの王女スキュラの別名スキュレー Skyllē のアナグラム ではないかと思っている。スキュラはミノス王に恋をしてメガラを裏切った末に溺死しているので、スケリーの語った「過去」と関係がなくはないかも。

いったい誰の差し金でスケリーはザグレウスのもとにやってきたのかという部分も相当引っ張る謎だった。口が固いんだよなあスケリー!

「言わないなら俺はもうお前を殴らないぞ!!」と言い出すザグくんには笑った。なんだよその脅し文句! スケリーも動揺しまくりだし。脅しが効いてんじゃねーか!

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「永遠に平和な空気が漂うことになる(脅し)」

もうクッソ笑った。

結局最初の家出でザグくんのおかれている状況を察したカロンが、いろいろ手配してスケリーをザグくんのところに送ったという話だった。最初から「給金」をもらっているという話だったから、もっと早くカロンだとわかるべきだったな。冥界で働いているアキレウスオルフェウスもデューサも、給料の話なんかしたことなかったし。

 

 

カロン

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カロンの画像を保存してなかったのでこれで

前の記事で、作中に登場するニュクスの実子はタナトスヒュプノスだけと書いたが、カロンもニュクスの子だったか! 親戚多いな!

ペルセポネを冥界に連れ帰るエンディングのときに、カロンが舟を出してくれたのがすごくよかった。あのゆったりした舟旅は親子で初めてゆっくり過ごせる時間で、ザグレウスを影から支えてきたカロンがそれを見守っている構図がとてもいい。それだけに、ハデスが負けたときにカロンを呼ぶのがちょっと笑える。

カロンの店でお金を「借りる」と彼と戦えるらしいのだが、めちゃくちゃ強いと聞いたので恐ろしくて手を出したことがない。一度くらい挑戦してみるべき?

 

 

ケルベロス

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「番犬」ケルベロスとどこかで戦う展開があるのかと思ってたんだ、序盤のハデスのセリフを聞いて。いやあ、あんな感じでうまく丸め込まれてくれる子でよかった! 「ハデス」は犬に優しいゲームです。

しかしあの袋には毎回何が詰められてるんだ……。

 

 

ザグレウス

ギリシャ神話の中ではマイナーな神で、わたしも今作で初めてその存在を知ったのだが、彼を主人公にすえたのが今作のいちばん最初の成功ポイントかもしれない。神々の親戚関係の中のいいポジションにいるし、何度死んでも冥界に帰ってくるがゆえのローグライクシステムと相性抜群だ。

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性格的には、このセリフが彼の好青年ぶりを端的に表している。

ザグレウスは会う人みんなに手を差し伸べ(襲ってくるやつは別である)、問題を共有し、解決に導こうとする。それは「自分がそうしたいから」であり、見返りを求めての行為ではない(なおプレイヤーは見返りを求めている)。誠実で真摯な彼に誰もが心を開き、力になりたいと思わせるのも頷ける。

神々に供物を捧げるときのコメントも、オルフェウスアキレウスら悩める男たちから話を聞きだすときの言葉の選び方も、恋人たちへの態度も、最初からコミュ力カンストしている。プレイヤーがコミュ力に闇の結晶を割り振る必要すらないのだ。もはや気配りと献身の神といっても過言ではない。

いったい誰に似たのか。いやニュクスと師匠のおかげだな、たぶん。

ヴァリエーション豊富な彼の軽口や皮肉は、繰り返し遊ぶこのゲームを毎回楽しいものにしてくれた。魚を釣ったときのガッツポーズがかわいくてたまらない。実はザグくん、相当な魚マニアだろ?(初めて釣りあげた魚を見て一瞬で名前がわかる人は多くないのではないか)

オリュンポスでの宴会がかなわないのは残念なのだが、これからも末永く、家族仲良く、冥界脱出というミッションに励んでほしい。

 

 

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