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過去と現在とその救済「TRUE DETECTIVE」S1感想

TRUE DETECTIVE 海外ドラマ

このブログに来た人の使った検索ワードをアクセス解析で眺めていたら、「ゲームオブスローンズ」S6のネタバレらしきキーワードを見てしまった。

まさかこんなところでネタバレを目にしてしまうとは。

ネットとは恐ろしいものである。

 

 

さて、刑事ものでバディもの。

そんなドラマは日本にもたくさんあるが、今回見たドラマはそれらと少し毛色が違った。

「TRUE DETECTIVE」とは直球すぎるというか、大胆というか、思い切ったタイトルである。しかしそこにこめられた製作者の矜持はしっかり感じられた。

今日の感想はS1まで。内容に触れているが、大きなネタバレはなし。

 

こんな人におすすめ

  • 「刑事ものでバディもの」が好きでたくさん見ている
  • 映画好き
  • 1シーズンできっちり完結させられるドラマを見たい
  • アメリカ南部方言がわかる

こういうのが苦手な人は注意

  • グロ少しあり
  • 謎が残る

 

バディのあり方

このドラマにおけるバディのあり方は、ありがちな形で紹介することができる。

すなわち、頭脳担当は生活力がなく一般人と話が合わない。

相棒役は最初は混乱したり反発したりしつつも、次第に彼を理解しサポートするようになっていく。

こう書くとシャーロック・ホームズ以来のテンプレである。

 

が、この話の二人はそのテンプレに少しひねりを加えている。

たとえば、両者とも一般的な価値観からみるとかなりダメな部類の人間だ。

「頭脳担当」ラストはアルコール依存気味だし、麻薬もやっている(麻薬犯罪の潜入捜査をしていた経験があるという事情もあるが)。

同じくらい、というかそれ以上にダメなのが相棒のマーティンで、こっちは浮気をしていてそれを自分に対して正当化している。夫としても父親としてもあまり良い描かれ方はされていない。またこちらが心配になるほど堂々と飲酒運転する。そのあたりにほとんど罪悪感を持っていない分、マーティンの方がダメっぽく見える。

 

そして、ここが面白いと思うのだが、二人の関係はドラマの中でさまざまに変化する。というか二人の関係の変化こそがこのドラマの主軸と言ってもいいくらいだ。

いわゆるバディものにおける「二人の関係の変化」とは、大抵の場合一方向的だ。関係が深まる方へと流れていく。

しかし「TRUE DETECTIVE」においてはそれが異なる。

90年代パートでは、二人の関係はテンプレ的だ。次第にうまれていく信頼関係が描かれている。

しかしそれと並行して描かれる現代パートでは、二人の関係が断絶していることが匂わされる。

二人の間に何があったのか。視聴者はそういう緊張感を持ってドラマに臨むことになる。

 

多層構造

このドラマの前半は現在と過去を対比させながら進行する。

つまり90年代パートと現代パート(といってもこの「現代」とは2012年である)だ。

こういう物語構造の場合、大抵主人公たちは「現在」に問題を抱えている。その問題の原因は過去にあり、過去に未解決あるいは保留にしていた問題を解決することで、現在の問題も解決に至るというのがお約束だ。

このドラマも基本的にはその構造にあてはまる。

特にマーティンの物語はわかりやすい。

 

ただラストの抱える「問題」は非常に難しい。

彼は解決しようのない問題を抱えている。過去から現在に至るまでずっと。

このドラマはある殺人事件とその解決を描くのだが、それ以上にラストを救済する物語でもある。

だから「殺人事件」を扱うドラマとして見ていた人は、ひょっとしたら結末に納得できないかもしれない。

だがわたしはこの結末に救いを感じたし、こういう閉じ方もあっていいと思えた。何よりわたしの想像していたありがちな結末よりも美しかった。

 

言葉

いわゆる南部方言というのだろうか、とにかく話している言葉が聞き取れない。

このドラマを見る直前に「Downton Abbey」を見ていて、そちらの英語はかなりわかるので(上品だし)わたしもだいぶ聞き取れるようになってきた! などと思っていたのにこちらでは全然だめである。

そしてきちんと聞き取れる言葉は大抵罵倒語である。ヴァイオレット様がこのドラマを見たら常にあのしかめっ面になることだろう。

 

出演者

わたしは映画に疎い(というか見る映画が非常に偏っている。そして恋愛映画を見ない)ので、マシュー・マコノヒーウディ・ハレルソン初見である(と思っていたが、念のため彼らの過去の出演作を確認したら「セブン・サイコパス」は見ていた)。

このドラマはしばしば配役の妙が話題になるようだが、彼らの旧来のイメージというものをそもそも持たないわたしにはそのあたりの新鮮さや面白味はもちろんわからない。

 

知識のない一視聴者としての率直な感想を書いておくと、マシュー・マコノヒー中禅寺秋彦か! と言いたくなるくらい「葬式を二十ばかり梯子したかのような極め付きの仏頂面」に見えたし、「この世の終わりが十回続けて訪れたかのような」話し方だった。

この人が恋愛映画に出ているところなんてまったく想像できない。

そして90年代パートと現代パートの変化が著しく、最初は同一人物と思えないほどだった。

それくらい彼にとってラストははまり役だったし、逆に今から彼の過去の出演作を見るのも面白いだろうと思っている。

 

 

huluでS2の配信が始まったが、その前に「The Wire」を見始めてしまったので(リトルフィンガーの中の人が出ていると聞いたから!)そちらが先になりそうだ。

 

ネタバレありの感想はこちら。

ssayu.hatenablog.com