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血だまりの中で産声を「バルダーズゲート3」プレイ日記32

本日はいよいよ、楽しみにとっておいたカザドールとの対決。

今までにも多くのヤバい敵を倒してきたけど、カザドールは「悪意」がちゃんと存在するという意味でよい敵だった。

ベハルの信者がやることは自分の美意識のためだし、ハグの悪事はたぶん生存本能に近いものだろうし(悪意もあったと思うけど)、彼らに比べると「悪意」をもって悪をなそうという意思が感じられるカザドールはわたし好みだ。

というわけで以下、ネタバレ感想。

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住宅ローン危機

 

いざザール宮殿へ

景観最高の物件

今日は最初からザール宮殿に乗り込むぞ! と気合いを入れてスタートしたのだが、どこから乗り込めばいいかわからず、下層地域内をだいぶさまよった。クエストマーカーは見えているものの、どうすればそこに到達できるのかがわからないんだよな。

城壁の上にあがれたら、あとはすぐだった。いいところに住んでんなー。でもヴァンパイアって日光を浴びることができないから、この立地の恩恵はあまりなかったかもしれない。こんな眺めのいいところに住んでいながら、屋敷の奥に引きこもるしかないなんてもったいない。

 

宮殿の中でいきなり住人と敵対するということはなく、中をゆっくり探索できた。

こんな日記のすぐそばに死体が落ちていた。すぐそばにこんな記録を残していては計画がバレバレだと思うのだが、いいのだろうか。

きっとこいつはあとから起き上がってきて敵対するんだな! と思ったので先にとどめをさしておこうとしたのだが、この死体はターゲットできなかった。聖域と同じ状態になっている。呼んでいたエレメントに範囲攻撃してもらったが、まったく効果なし(普段は死体を範囲攻撃に巻き込んだら肉塊になるのに)。よほど頑丈な死体になる薬を飲んだらしい。

こいつはスポーン虐待用のアンデッドみたい。ずいぶん挑発的だったので、囲んで殴り倒した。喧嘩を売る相手を間違えたようだな。

この人は吸血鬼化を血液疾患の一種だと考えているようだ。アスタリオンの血液を狙っていたあのヤバいドラウと気が合うかもしれない。

この日記に出てくるレオンというのは、たぶんアスタリオンを連れ戻しに宿までやってきたスポーンのひとりだ。

で、ヴィクトリアという子はあの呪われた死体のことだな。

レオンは、ヴィクトリアが血を吸われないように反撃の呪いをかけた。しかしダリリアは吸血鬼化していない若く新鮮な血を取り入れれば、自分の「吸血鬼化」という症状が治ると考えていた。レオンがいない間に(レオンは我々に倒されたしね)ダリリアはヴィクトリアの血を吸い、反撃の呪いが発動したがヴィクトリアも死亡したという流れか。

ヴィクトリアの呪いは「呪いの除去」の巻物で対処でき、死体から「コザクラ語の辞書」とやらを入手した。この辞書はレオンがヴィクトリアに持たせたものだったらしい。この辞書はザール宮殿の奥に進むのに必要だった。レオンはヴィクトリアが宮殿の奥に連れていかれることを懸念して、彼女がいざというときは脱出できるように辞書を持たせたのかもしれない。

ちなみにこっちがレオンの日記。レオンはヴィクトリアを守るために「最良の狩人」になっていい部屋をキープしていたみたい。「最良の狩人」ってつまり、カザドールのために外から人を連れてくる役ってことだろうな。

アスタリオンの感想がこちら。

前にここにいたときはまわりに味方といえる人は誰もおらず、孤独だったはず。今の彼には仲間がいて、アスタリオンのためにここまで同行している。

これは「メインクエスト」ではなく「サブクエスト」だからこそ意味があるのかもしれない。ほかのコンパニオンクエストも同様に、このクエストって「クリア必須」ではないからこそ、パーティメンバーがこんな危険な場所まで来ていることが、彼らがここまで培ってきた友情や信頼関係を思わせてくれる。

「カザドールを倒せると思う?」という質問への答え。一緒にやってやろうじゃないの。

アスタリオンはこんな感じで「今」立ち向かうのだと覚悟を決めていたのだが、封じられた扉を開けて中で戦闘になった後、我々は一度宿に帰って寝ることにした。すまんなアスタリオン。ちょっと魔法の使用回数に不安があるんだ。

で、その晩。

 

 

ウィルのプロポーズ

夜中にウィルが「!」を出しているのを見て「えっ今このタイミングで!?」と思ったものの、何を言いだすか気になったので話しかけてみた。

ウィルは、今まで多くの敵と戦ってきたが、ここにきて「真の敵」がわかったと言いだした。それは「時間」なのだと。

彼の魂はミゾーラに奪われることになってしまったし、そのことで「永遠」ということを考えるようになったのかもしれない。

いいな~~!!

これは別にリュヒテュちゃんのキャラに合わせてつくられたイベントではないのだろうけれど、リュヒテュちゃんはドルイドだ。ドルイドが信仰するのはシルヴァナス、オーク樹の父だ。その大樹のもとでこんなふうに話をするのは、リュヒテュちゃんにぴったりではないか。

今まで「父」の話は何度も聞いたけど「母」の話は初めてかも?

指輪ではなくドングリを渡してプロポーズかー!!!

そうかー、これがウィルの「ちゃんとやりたい」の中身だったんだな。

なんかもうドルイド主人公のためのイベントとしか思えないくらいできすぎていて嬉しい。ウィルとお付き合いしてよかったな。

リュヒテュちゃんの反応もめちゃくちゃかわいい。

シルヴァナスとセルーネイが見てる!!!!

ここではおそらく大樹が「父的なもの」、月が「母的なもの」の象徴として描かれている。ウィルが一連のプロポーズの中で「父」と「母」に言及したのも、作り手側が意図したことだろう。

ウィルの示した愛情は、両親にたくさん愛されて育った人のまっすぐな愛で、そういう時間の積み重ねの末に「今」があり「未来」があることを思わせてくれる。

たぶんこれって、ウィルが父親と和解できないと発生しないイベントなんじゃないかな。父親との関係や過去に起こったあれこれに一区切りつけられたからこそ、ウィルはリュヒテュちゃんとの未来について考えられるようになったのではないかと思う。

 

宿に帰ってからもう一度話しかけると「お前にとって私は何だ?」の質問の答えが変わっていた。

いいねー! そうなるといいな! まずは眼前の問題をいろいろと解決しないといけないけども。

 

 

ザール宮殿の地下を探索

素敵なイベントが終わったあとは、再び血なまぐさいザール宮殿へ。エレベーターを使って地下に潜っていく。

そこで見つけた頭蓋骨のディスプレイ。建物の中に頭蓋骨が置いてあるくらいはよくあることなので驚かないが、その頭蓋骨が巻物を咥えていたので近づいてみた。

どうもその頭蓋骨は、カザドールを吸血鬼にした、ヴェリオスという名の「先代」のものらしい。

虐待の連鎖じゃねーか!!

このヴェリオスというのが何者か知らないけど、こいつもろくなもんじゃねーな。で、ヴァンパイアとは「こういうもの」だと学んだカザドールは、自分も立派に「そういう」ヴァンパイアに育った、と。

で、最終的に「反逆」に成功したってことかな?

スポーンは主人の血を飲めば正式なヴァンパイアになれるが、そんなことに成功したスポーンはいないという話を聞いた覚えがある。実際はカザドールが成功していたということだろうか。

アスタリオンがスポーンにされたのが200年前くらいだっけ。それならカザドールがヴァンパイアになったのはさらに前で、もしカザドールがもともとスポーンだったとしたら、それはさらに数百年前だったりするのかもしれない。

なんかこう、カザドールはカザドールで同情されるような過去があったみたい。それはそれとして、今のカザドールがだいぶ胸糞な性格なのも間違いないんだけど。でもそれはある種の「適応」だったんだろうな。

 

地下には牢があって、ここにもスポーンたちがとじこめられていた。

このセバスチャンという人は、アスタリオンが口説いてこの宮殿に招いた人らしい。しかも何年も前に。

カザドールは彼ら「犠牲者」の血を吸って殺しているのだとアスタリオンは長年考えていたが、どうやら違ったらしい。彼らは全員スポーンにされ、特別な7人以外のすべてのスポーンはずっと地下に閉じ込められていたようだ。

200年も? ただ監禁? つらいな……。200年の奴隷生活もつらいけど、何もないところでただ飢え続けるだけの生活もきつい。

セバスチャンがこう言うのもわかるけど、ショックを受けるアスタリオンの表情もつらい。アスタリオンにとって、彼らの存在は shame なのだという。直視したくない、過去の自分の恥。だから消してしまいたくなる気持ちも、わかる。

許されないことをしたという自覚や後悔と、彼らを助けたい気持ちと、彼らを解放すれば血を求めて人を襲うだろうという予想と、彼らの魂を利用すれば自分自身がアセンダントになれるという打算と、今のアスタリオンの中にはさまざまな感情がめぐっていたはず。わたしの中にもあった。何を選べばいいのか、これもまた重い選択だ。

絶対死んでるだろうと思ってたガー人の子供たちも、まだ生きていた。生きていたというか、スポーンにされていた。

チェサは「家族を傷つけることになるから、私たちは外に出ない方がいい」と言っていた。自分が人外になってしまったことを自覚している。本当にきついな……。

 

 

カザドールとの対決

そういうわけで、カザドールとご対面。

しょっぱなからわたしの思っていたことを口にしてくれた。カザドールとアスタリオンもまた、疑似親子の一種だ。それも相当だめな種類の。

ウィルのクエストは、親子のすれ違いを描き、最後は和解で終わった。

シャドウハートのクエストは、シャー(とシャーの信徒)との疑似親子関係を描き、最後は実の両親の愛を受けとって終わった。

カーラックのクエストでは、ゴータシュとの疑似親子関係が問題になっている。カーラックの実の両親は彼女を愛してくれていて、その記憶もある。カーラックが困難な状況でもまっすぐに生きてこられたのはその影響だろう。おそらくゴータシュという疑似父性を倒すことで、カーラックの物語は終わる。

レイゼルのクエストは、ヴラーキスとの疑似親子関係が描かれている。面白いのは、ヴラーキスという「女王」が、子の前に立ちふさがる「父性」的なものとして描かれ、ヴォスという男性性を顕現したような軍人が、彼女にとっては助け船となる「母性」的なものとして描かれていることだ。

やっぱりゲイルだけ異質なんだよな。彼にとって立ちふさがる「父性」的なものはエルミンスターで、おそらく彼と喧嘩したり対立したりしながらの「成長」もあったのだろうけど、それはこの物語が始まる前に終わっている。ミストラはあくまで「元カノ」であり、ゲイルが彼女に「母性」的なものを求めていないとは言わないけれど、彼の物語の中でミストラが「母性」的な存在かと言われればそんなことはないような。

ちょっと横道に逸れすぎたが、とにかくアスタリオンにとっての「父性」がカザドールなのは間違いない。物語における「父」的なものは、「子供」に乗り越えられるために存在している。カザドールが用意した昇格の儀式は、アスタリオンにとって乗り越えるべき「通過儀礼」だ。

アスタリオンがこんなふうにカザドールと対峙し、はっきりと彼に対立することを言えるようになったのは、ここまでの旅で彼が遂げた成長ということになるのだろう。だってAct 1の頃には、アスタリオンはできる限り逃げることしか考えてなかった。

被虐待者が虐待者に対峙するなんてとてつもない恐怖だろう。アスタリオンがここに立つための勇気に、リュヒテュちゃんも少しは力添えできているだろうか。

しかしカザドールの力はすさまじく、問答無用で儀式が始まってしまう。アスタリオンも、用意された魔法陣の中に放り込まれてしまった。

わたしはしばし考えた。

アスタリオンは「救出」することで戦線復帰できるだろう。しかしカザドールは儀式の影響か、すごいパワーアップしているし、なんだかめんどくさそうなギミックもありそうだ。

よし、アスタリオンの勇気にはまことに申し訳ないが、やりなおそう!!!

すべてのやりとりはもう聞かせてもらったから、あのクソ野郎の視界外から不意打ちしてやろう! うまくいけば儀式開始前に戦闘開始できるのでは?

だってそうしたら、アスタリオンも最初から好きなだけあいつをぶん殴れるでしょ? そうしたいでしょ? 

というわけで、まずはシャドウハートに光を召喚してもらい(ヴァンパイアが日光に弱いのは、アスタリオンを連れ戻しにきたスポーンたちとの戦いで知っているので)、カザドールの視界外ギリギリのところからリュヒテュちゃんの炎の壁を設置して開幕!

そうしたら、我々に気づいて近づいてきた時点でもうボロボロ!

だいぶ削られている

やった!!!!! 儀式が始まってないしアスタリオンもこっちにいる!!

もうね、遠慮なく4人とエレメントちゃんでボコボコにしてやりましたわ!!! アスタリオンが二度とこんなやつに恐怖を抱かずにすむように!!!

そういうわけでカザドールは割とあっさり倒すことができたし、ほかのザコどもも炎を突っ切ってこっちに来ようとするものだから、途中で焦げたり燃え尽きたりして簡単に掃除することができた。

わたしにとって謎だったのは、7人のスポーンのうち4人は、以前アスタリオンを連れ戻しに宿に来たときに始末してしまったはずなのに、普通にここで儀式用に待機していたことである。たしかに宿に死体は残らなかったが、そんな簡単に復活できるものだったのか。

 

 

アスタリオンの選択

カザドールは棺桶に入って回復しようとしていたが、そんなのを許すわけがない。「起きろ!」と棺桶をひっくりかえすアスタリオン。

たぶんイベント的には儀式をやったことになってるから脱いでるんだな

そんな二択。

「もうお前を恐れることはない」「ずっと誰も恐れなくてよくなる」か……。

アスタリオンは儀式を自分で完遂したかったみたいだけど、わたしは以前からずっとそれには反対だった。カザドールが集めた7000の魂と7人のスポーンを犠牲にしてアスタリオンがアセンダントになれば、それは彼こそが「恐怖の対象」そのものになることを意味する。

アスタリオンはずっと力を求めていたけど、それはカザドールに対抗するだけの力がほしかったのであって、自分が恐れられたいわけじゃなかったと思うんだよね。彼がほしかったのは「自由」であって、それは彼以外の人を「不自由」にすることで得られるわけではない。

そうでしょ?

わたしは「説得」を選んだ。

積めるバフは全部積んでアスタリオンを説得した。シャドウハートもバフをかけてくれた。アンダーダークでキノコにもらった「説得」に補正がかかる装備も使った。

今までに旅してきた経験がリュヒテュちゃんに力をくれたみたいで、エモいなって思ったりした。

説得は成功した。アスタリオンがこんなふうに言ってくれたことが嬉しい。

「すごい力」がなくても、アスタリオンはそのままでカザドールを超えられる。リュヒテュちゃんたちもついてるし。

ここの血の飛び散り方、すごかったな。

「男根の象徴」を正面からカザドールに突き立てるアスタリオン。これはやっぱり「父性」に対して「男性」として正面から立ち向かったことの象徴だろうな。このあとのことを考えると、あるいは「切開」の象徴だったりするのかな、と思ったりもする。

アスタリオン、泣いてたね。この慟哭シーンはカメラワークも相まってすごかったな……。

感極まったとか、「父親」を失ってしまったとか、もう儀式をして自分が昇格することもできないとか、得たものと失ったものの大きさに途方に暮れたとか、いろいろな感情があったのだと思う。

でもね、これはやっぱり産声なんだよ。

アスタリオンは今、新しく産まれなおしたのだと思う。

カザドールに虐げられていた彼とはまた別の存在に。カザドールに抗うために力を求め続けた彼ともまた別の存在に。そして「アセンダント」ともまた別の存在に。

産まれなおして、そして生きなおすのだろう。これから、自分の人生を。

 

さて、アスタリオンとスポーンたちは生存することができたが、7000人のその他のスポーン問題をどうすべきかはだいぶ迷った。実際、解き放つのは危険だろうとは思う。でもここで彼らを殺してしまったら、結局アスタリオンが儀式をしなかった意味が薄れてしまわないだろうか。

アスタリオンとは思えないセリフ……。

いや、以前の彼ならこんなことは言わなかったんじゃない?

ずっと助けを求めていたのに誰も彼を救わなかった。だから彼は英雄的な言動が嫌いなのだと思っていた。でもこれは明らかに「英雄的な言動」だ。「生まれ変わった」アスタリオンは、自分より弱い立場の人を思いやることができるのか。

きれいだったな

こうしてアスタリオンは7000人のスポーンたちを解放した。

とはいえ彼らを完全に自由にするわけにもいかない。アンダーダークに向かうよう、アスタリオンが指示していた。

なるほど、今のアスタリオンは幼生に寄生されているから日光の下でも平気だけど、彼らはそもそも日のささないところでしか生きられない。アンダーダークはぴったりかもしれない。友好的な知り合いもいるし、ちょうどグリムフォージみたいなたまたま空き家になったばかりの施設もあることだし。

 

なおカザドールの持っていた剣の説明を読むと、やはりヴェリオスの影響など些細なもので、ナチュラルボーンサイコ野郎だったのではないかという気もしてきた。

 

帰ろうとすると、ガー人のみなさんと鉢合わせになった。

スポーン7000人を解放したことを責められたが、その中に彼らの子供たちもいたことを知ると態度を改めてくれた。ていうかさっき入口でスポーンたちとすれ違わなかったの? あのエレベーターで7000人をピストン輸送するのはめちゃくちゃ時間がかかりそうだけど、そんなにスムーズに終わったのか。

 

ちなみに仲間たちはみんな、アスタリオンが儀式をしなかったことを喜ばしく思っているようだ。

この言い方を見ると、もしかしてヴラーキスが強いギスヤンキの戦士を「昇格」させて魂を食っていたのも、今回のこれと似たような現象だったのかという気がしてくる。実際、どうなんだろ? 同じ現象だったりするのかな?

一応ヴラーキスは強い戦士の魂を食うのに対して、カザドールが集めていたのは子供を含む一般人だから、少し違うような気もする。

ほんとそれな!

カーラックってこういうイベントのたびに「接触」を伴う行為の示唆をするよね。微笑ましいというか、それだけ接触に飢えてたんだなというか。

 

宿に戻ると、アスタリオン自身も今回のことを落ち着いて考えられるようになったみたい。

カザドールもまた、恐怖から逃れるために「安全」を求めて昇格しようとしたのかな。少なくとも今のアスタリオンにはそう感じられるってことかな。

そうか、アスタリオンは彼ひとりの前に立ちふさがる父性を倒しただけではなくて、「鎖の破壊者」でもあったのか。地下で拾ったヴァンパイア継承表を見ると、ヴェリオス以前にも何人ものヴァンパイアがいて、綿々とその血が継承されてきたっぽいし。

たしかにリュヒテュちゃんもだいぶ本気で説得したけど、最終的に決断してくれたのはアスタリオンだよ。彼は「自分で自分を救った」というのは正しい表現だと思う。

ああ、もしかしたらこれがいちばん彼にとって大事なことだったのかもしれない。

自己肯定感か。

「今のままの彼がいい」って、わかってくれたんだな。「すごい力」がなくても今の彼で十分だって、今まで何回かあのヤバい血液研究者を前にしたときにも伝えてきたつもりだったけど、やっとわかってくれた。

今の彼が言う「自由」は、幼生を入れられて得た「自由」とは質が違うもののはず。

恐怖に縛られることなく、自分の意思で、自分が「正しい」と思ったことを選べる、そういう種類の「自由」のはず。

彼がこんなふうに率直に気持ちを打ち明けてくれることも、まっすぐにお礼を言ってくれることも慣れないからちょっと戸惑いはあるのだけど、それでも嬉しい。こういう結末を迎えられてよかったな。

たぶん、アスタリオンひとりではこの結末にたどり着くのは難しかったんじゃないかな。まあゲームシステム的にアスタリオンソロプレイでこの結末を迎えることは可能だろうけども。

やっぱり彼が仲間に助けを求めることを覚え、彼を連れ戻しにきたスポーンたちを仲間の協力を得て撃退し、仲間たちと一緒にザール宮殿に乗り込んだからこその結末ではないかと。

自信とか自己肯定感とかって、結局ひとりで得られるものではないから。誰かに、それも自分の認める誰かに認めてもらって初めて得られるものだから。

もしかしたらカザドールは、スポーンを7000人つくってもまだ自己肯定感が得られなかったのかもね。だから昇格しようとしてたんじゃないかな、とか。

 

 

今回のオチ

とりあえず着せた。

(次はハルシンに着てもらうか)

 

 

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