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期待以上のファンブック「ハンニバル」レシピ本レビュー

「FEEDING HANNIBAL」が発売されたぞ!

ハンニバルのレシピ本が出版されるらしい」という噂が流れたとき、世界中が恐怖に包まれた。

「材料はどうやって調達するの?」

「まず名刺を集めるところからでしょ?」

「無礼な豚はご家庭でご用意くださいってことかな」

などと予想した者は少なくないだろう。

Amazonに上がっていた画像を見ると、レシピだけでなく番組に協力したフードスタイリストによるコンセプト絵、作中の料理画像、撮影場面などが載っていることがわかった。それならレシピ本としてだけでなくファンブックとしても楽しめるのではないかと考え、わたしは本を予約した。

ようやく本が我が家にも届き、わたしはおそるおそるページをめくった。思っていた以上に、これはファンブックだった。というか素晴らしいファンブックだった。

現在Amazonの洋書料理本カテゴリのランキング1位になっている。試しにランキングページを覗いてみると、この本以外はまっとうなレシピ本(いやこの本もちゃんとしたレシピ本なのだが)で、違和感が凄まじい。

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1位の不穏さ。

ではここから、本の中身について「ハンニバル」ファンが喜びそうなポイントにしぼって紹介してみたい。一応、ネタバレ注意。

ハンニバル関連記事目次はこちらから

 

材料について

まずいちばん気になるであろう部分について確認しておくと、記載されている材料は合法的に手に入れられるものばかりである。

ただし日本のスーパーでは入手難易度が高いものもある。フォアグラやエスカルゴなどは序の口。牛の心臓、羊の脳、羊の睾丸などが材料欄に並んでいる。人間の内臓を用意できない人は牛や羊で代用してねという意味だろう。

ちなみに本の裏表紙には「この本はFannnibalsとグルメのためのものであり、カニバリズム趣味の人のためのものではありません。お友達を食べないでね!」と念入りな注意書きがある。普通の料理好きにも安心のレシピ本でございますよ。

面白いのは、ドラマの中では「そういう料理」に見えなかった料理にも、実はそういうものが入っていたことがわかる点だ。たとえばオムレツにまで脳や睾丸が入っていたなんて、レシピを見ないとわからない。実はあのシーンも、あのシーンも…とわかると面白さがアップしそうなので、またドラマ本編を見直したくなる。

あとは、博士がウィルに最初にふるまった「卵とソーセージ」(これがレシピ本の筆頭にあるのも嬉しいところだ)の「自家製ソーセージ」はハニーガーリックフレーバーだということがわかったりする。「卵とソーセージ」の時点で意味深だったが、ハチミツは媚薬でニンニクは精力増強の効果がありますなあ(棒)。

 

画像について

かなり豊富。ドラマ本編の写真だけでなく撮影風景の写真も挿入されている。フランベ中のハンニバル画像をいつでも見られるのは素晴らしい。

ただしレシピ本にもかかわらずブルーフィルターはかけっぱなしなので、肉や野菜の色鮮やかさは失われ、一部グロ画像に見える部分も(もちろん彼らは意図的に「料理をおいしそうに撮影する定石」の逆をやっているわけだが)。

本編では未公開になったボツ料理たちもここで公開されている。「壊れたティーカップのパルフェ」などは本編に出てこなかった気がする。繊細な色合いと悲劇的な盛り付けがとても美しい。「撮影では使われなかったけどマッツやヒューが喜んで食べてくれた」などのエピソードつきなので、これらを読むのも楽しい。

しかし美しい料理たちに目を奪われていると、いきなり切断された腕が出てきたりするので油断はできない。

 

レシピについて

そもそもこの本を参考に実際に料理してみようというつもりはなかったので(あんな手間がかかりそうな料理、わたしは日常的に作らない)レシピ自体はそこまで気にしていなかったのだが、よくよく読んでみると結構面白いことが書いてある。

「脳の下ごしらえ」とか「睾丸の下ごしらえ」とか。睾丸を「cut」だの「slice」だの、塩水につけるだの書いてあるので、男性が読むべき本ではないかもしれない。

マッツ・ミケルセンは仕上がりチェックで一通り読んだかもしれない)

 

コラムについて

上記の内容だけでも買ってよかったと思えるのだが、この本は思いがけずコラムが豊富である。

まず前書きがマッツ・ミケルセンによるもの。

ハンニバル」撮影前に彼が最初にやったのは、フードスタイリストさん(この本の著者である)との猛特訓。そもそもフードスタイリストなる者に会ったことがなかったマッツ、大荷物を抱えてわくわくしながら彼女のキッチンに向かい…(続きは購入して読みましょう)

 

そして本文には、レシピの前に著者からの短い紹介文がついている。ここには撮影時の思い出や、レシピ誕生エピソードなどが書かれている。「この料理の盛り付け案はマッツが…」なんて書かれたら、そのシーンを見返したくなるではないか。

「予期せずFBIが家に来たときのための、脳みそと睾丸抜きバージョン」なんて書いてあることもある。それは重要な情報だね。

 

さらにレシピの余白には撮影こぼれ話コラムまで載っている。

たとえばS2E5「向付」でハンニバルが披露した、卵をヘラで受け止めて割るシーン。フードスタイリストさんは12ダースもの卵を用意して撮影に臨んだそうだ。

「僕は何をすればいいのかな」とカジュアルに尋ねてくるマッツに「めちゃくちゃ難しいアクションなんですけど…」と説明する著者。マッツができなかったときのためのハンドダブルも用意されていたらしい。

ところがマッツはヘラを手にするなりさくっとアクションを決めてみせ、「こんな感じ?」と言ってにやりと笑った。「若い頃ジャグリングをやってたから、これくらい簡単だよ」だそうで(しかも「簡単だ」の言い方が「breeze そよ風」)。おいおいかっこよすぎるだろう。

とにかく一文字たりともこぼさず読み取りたい一冊である。ファンなら買うべし。

 

 

ところで、現在huluからわたしへの「おすすめ映画」が大変なことになっている。

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「僕の顔をお食べ」つながりでこうなったのだろうか。

 

ssayu.hatenablog.com