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ネルソン・ラズボーン卿の萌えポイントを全力で語る「シャンハイナイト」感想

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やっと! やっと見た!「シャンハイナイト」!

もちろんこのお方、ネルソン・ラズボーン卿が目当て!

若き日のエイダン・ギレンの美しさと華麗なアクションを堪能できる一本だった。

主役のお二人についてはすでにたくさん感想もあがっていることだろうから、ここではラズボーン卿の萌えポイントについて好き勝手に語る。

 

なおDVDやBlu-rayについている特典はなかなか豪華で、ラズボーン卿の未公開シーンもそこそこ含まれているので、これから買う方には特典つきのものをおすすめしたい。監督のコメンタリーがかなり楽しく、情報も豊富で、しかも見たあとには監督萌えを発症できるほどだ。

 

しかし何度見てもわけのわからないパッケージである。タイトルには「シャンハイ」とあるにもかかわらず、背景はユニオンジャックとビッグベンだ。「シャンハイナイト」というタイトルでアマゾンを検索してこれが出てきたときは、何かの間違いかと思った。とはいえギャグ時空の話なんだなということだけはかろうじて伝わったため、パッケージとして最低限の仕事はできている。

 

 

1. アクションがすごい

これまでにわたしが見たエイダン・ギレン代表作といえば、リトルフィンガーといいトミー・カルケティといい、頭脳派ではあるがアクションができるタイプではない。(「Blitz」のバリー・ワイスではいい走りっぷりとアクションを少し見せてくれたし、「キング・アーサー」のグースファット・ビルでも剣技や弓を披露している)

ところがラズボーン卿ときたら、イングランド随一の剣の使い手ときた。実際に映画の終盤ではラスボスとしてジャッキー・チェンと対決する。ドニー・イェンジャッキー・チェンの一騎打ちのあとにラスボスとして登場するラズボーン卿のプレッシャーたるや、想像を絶する。

しかし彼は華麗な二刀流を披露し、ジョンを追い詰めていた。そのアクションのほとんどをギレンさん本人がこなしたらしい。カメラがずっとアップでラズボーン卿を追うため、アクションをかなり堪能できる。なお特典にはノーカット版も収録されている。

ギレンさんはこの撮影のために2か月ほど剣の特訓をしたらしい。あの剣技の振り付けを考えたのはジャッキーで、付きっきりで練習を見てもらったとか。インタビューなどによるとアクションはむしろ好きらしいギレンさん、もっといろんな役で披露してほしい!

ちなみに「キング・アーサー」のグースファット・ビル役は、このラズボーン卿とバリー・ワイスでのアクションが評価されて舞い込んできたとか。

 

2. 車がカワイイ

作品世界では、アーティことサー・アーサー・コナン・ドイルがまだ『シャーロック・ホームズ』シリーズを書いていないため、1880年代前半が舞台だと思われる。

しかしラズボーン卿の車は20世紀初頭レベルの技術が投入されているように見える。時をかけるラズボーン卿である。

とはいえこの話の時代考証がガバガバなのは監督自らネタにしており、コメンタリーでは「時代考証がめちゃくちゃすぎてイギリス人に殺されるかも」だの「切り裂きジャックは、この映画において時代考証が正しい数少ない部分だ」だの言っている。ギャグ時空なのだから許される範囲だろう。そしてそんな中でも特に時代のぶれが激しいラズボーン卿をノリノリで演じるギレンさん、かっこいいよ!

ラズボーン卿のクラシックカーがとてもカワイイのが萌えツボ。ジョンとロイに一台持ち逃げされてしまってかわいそう。しかもぶつけてたし。

 

3. えっちな本を持っている

その名も『カーマ・スートラ』。古代インド(4~5世紀)の書物である。

中国に赴任するにあたって、熱心にアジア文化を学ぼうとしていたラズボーン卿の姿勢がうかがえる。

隠し扉のスイッチがアレだったところをみると、単にえっちな人だったのかもしれない。

 

4. トラを自慢してしまう

しかも大英帝国貴族院で。

なんでトラを連れ帰ったの? なんであそこで見せびらかしたの? あとあの映画においてあのトラにはどんな意味があったの?

そんな些細な疑問はもはやどうでもいい。中国から帰る船の中で「みんなびっくりしてくれるかな」とわくわくしながらトラを眺めるラズボーン卿を想像するだけであなたもわたしもにっこりである。

 

ついでに、コメンタリーによれば本来ラズボーン卿はパンダイングランドに連れ帰る予定だったらしい。許可がおりなかったためトラになったとか。パンダがだめならホワイトタイガーにしようかという案もあったらしいが、これも許可が出なかったらしい。普通のトラの毛をペンキで塗ろうかと言いだした監督、「やるならご自分でどうぞ」と言われてあきらめたらしい。監督かわいい。

中国を離れるにあたりパンダと涙の別れをするラズボーン卿を想像すると、シャンハイナイトが感動の動物ものに思えてくる(こない?)。

 

5. 話し方が上品

クイーンズイングリッシュのギレンさんをこれだけ堪能できるのって、結構レアではなかろうか。貴族院でのスピーチの話し方なんてほれぼれしてしまう。

品の良さと嫌味な感じがうまい具合にブレンドされた、たまらないアクセントだ。

 

6. 冗談みたいな髪型と衣装

あれはいったい誰の性癖が爆発した結果なの?

我々には惜しみない称賛を贈ることしかできない。

あの衣装とメイクにゴーサインを出した人に。

そしてあんな冗談みたいな髪型と衣装を完璧に着こなすギレンさんに。

どうしてあんな衣装を「普段からこの格好ですけど?」みたいな顔で着こなすことができるのか。というかギレンさん、どんな衣装も「生まれたときからこうですけど?」な感じに見えるのがすごすぎる。リトルフィンガーの衣装を着ていると、もともと美しい所作の人なのかと思わされてしまうし、バリー・ワイスを見ると普段から裸族なのではと思わされてしまう。役者さんの仕事とはそういうものだと言ってしまえばそれまでだが、わたしから見ると単純にすごいとしか言いようがない。

ラストの剣技のシーンでもジャラジャラと装飾をつけており、あの状態であれだけのターンを入れるのは大変だっただろうと思わされる。

 

7. しかし外見をけなされてしまう

ラズボーン卿が「あの青白い顔もスカしたアクセントも気に入らない」と言われているのを見て、またかよwwwと思わず笑ってしまった。リトルフィンガーも、しばしば「お前の顔が気に入らない」と言われていたものである。

そんなことない、かっこいいよ、ギレンさん……。でもその役が顔をけなされているのを見るのは好き。

 

8. 吸血鬼っぽい

特にオープニングの中国でのシーンで羽織っていたマント。冗談みたいな衣装の筆頭なわけだが、吸血鬼っぽさがたまらない。

どうやら監督もラズボーン卿は吸血鬼を意識していたらしく、特に画面の外から音もなく近寄ってくる登場の仕方は「吸血鬼のよう」とコメントしていた。

エイダン・ギレンにどことなく人ならざるものの妖しさとか美しさを感じてしまうわたしとしては、監督さんの感性に諸手をあげて賛成するばかりである。

ちなみに主要キャラにはそれぞれテーマカラーが設定されていたらしい。

ジョンが緑、ロイが青、リンが赤、そしてラズボーン卿は黒である。

 

9. 悪い笑顔がいっぱい

やっぱりこれだね!

記事のいちばん上にも貼ったとおりの、ギレンさんの悪い笑顔をこれでもかと見ることができる。「悪役」といってもリトルフィンガーやバリー・ワイスの笑顔とはまた質の違う笑顔だ。悪い笑顔の引き出しの多い役者さんであることよ。好き。たまらん。

表情だけではなく全体的に「ギャグ時空の悪役」感が漂っていて、このラズボーン卿の一挙手一投足が作品の盛り上げに大いに貢献している。新しい作品を見るたびに新しいギレンさんの発見があって、とても楽しい。

 

10. 悪だくみキャラなのに考えが顔に出過ぎ

特にアーティとラズボーン卿が話すシーン。アーティの言葉に一喜一憂する内心が全部顔に出てしまうところが最高にかわいい。リトルフィンガーの爪の垢を煎じて飲むべき……と思ったりもするのだが、「シャンハイナイト」という作品の悪役としてはこのラズボーン卿のキャラはベストマッチしており、リトルフィンガーのように表情どころか脈拍までコントロールできそうな悪役はお呼びでないのだ。

しかし仮にラズボーン卿がキングスレイヤーならぬクイーンスレイヤーに成功していたとしても、大量に証拠を残している気がしてならない。アーティにすぐ捕まってしまうのではないだろうか。やはりもう少しリトルフィンガーあたりに計画を添削してもらってからとりかかるべきだったのでは。

 

 

まったく「シャンハイナイト」の感想ではないものを書いてしまった気がするが、もともとギレンさん目当てで見始めた割にきっちり内容を楽しんで、しかも監督コメンタリーと脚本家コメンタリーまで3回ぶっ通しで見てしまうくらいにははまってしまった。「シャンハイヌーン」も見たい! あ、続編はいつでもお待ちしております。

 

 

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