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NO ONE CAN KILL THE NIGHT KING「ゲームオブスローンズ」8-3感想

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https://twitter.com/GameOfThrones/status/1113123930456248320

一晩たって、やっと少し気持ちが落ち着いてきた。

いややっぱり落ち着いてない。落ち着いている人は二日連続でドラマの長文感想を垂れ流したりしない。

これが落ち着いていられるか、戦争だったんだぞ!!!!

今日は最初からお酒を片手に(待てよ昨日も飲んだ後だったわ)よくわからないテンションでお送りします。

当然のようにネタバレ注意!!!

 

 

 

No one can kill the night king, and a girl is no one.

現在、英語圏で何人もの人がこんなツイートをしている。

これを見たときは心底ぞくっとした。英語って面白い! これは日本語ではどうしようもない!

以前からこの no one を使った言葉遊びはときどき出てきた。

アリアとブライエニーが剣を合わせたあと、ブライエニーに "Who taught you how to do that?" と聞かれたアリアが "No one." と答えたりとか。字幕泣かせである。

www.youtube.comこのときに短剣持ち替えも披露してるんだよな、アリア……。ナイトキングを倒す直前のカットで「あっ!!!!!!!!」ってなったよね。

アリアのここまでの道のりは本当に丁寧に描かれていて、特にS1での描写がここにきて活きるのはなかなか胸が熱い展開。

"Not today" と画面に向かって叫んだ人が全世界に何人いたことか。わたしである。もしかしてシリオも光の王に導かれてアリアと出会ったのかなあ。

ウィンターフェルを駆け回ってあらゆる抜け道を知っていたり、ネコとの追いかけっこで音をたてずに移動するスキルを身につけたり(ワイトたちは音に反応する設定があったしなあ)、そういう諸々が結実してたどり着いたあのシーン。シリーズを追ってきてよかったと思えた瞬間だった。

 

サンサがジョンに向かって口にした "No one can protect me. No one can protect anyone." も、「アリアなら守れる」という意味で捉えることもできる(当時のサンサはそういう意味で言ったわけではないが)。

 

ナイトキングさんの目的は?

一言もせりふがないにもかかわらず、圧倒的な存在感を示したナイトキングさん。

言葉は話さないけどときどきドヤ顔は見せてくれる、意外と表情豊かなナイトキングさん。

そしてあまりにも役に立たなかったホワイトウォーカー諸君。お前、キングの背後を守る気ゼロかよ! そりゃ WORST BODYGUARDS EVER って言われますわ! アリアのスニーキングスキルが高すぎたんだな。

結局何が目的だったのか、わたしはいまいちわかっていない。人生の夢や目標をペラペラ語ってくれるヴィランも興ざめなことがあるが、一切語ってくれないヴィラン(と言っていいのかどうかもよくわからないんだけど)というのも難しい。

一応公式設定では、ホワイトウォーカーたちは「長い夜」をもたらそうとしていたことになっている。

gameofthrones.fandom.com

ちなみに「長い夜」というのは「ずっと朝がこない」という意味ではなく「めちゃくちゃ長い冬」のことらしい。

gameofthrones.fandom.com

ただ「長い夜」が来ると、ホワイトウォーカーたちにとってどんないいことがあるのかがよくわからない。寒い方が過ごしやすいとかかな。

最初のホワイトウォーカー=ナイトキングは、森の子たちが「ファーストメン(今のウェスタロスに住む人々の祖先)」の一人にドラゴングラスを突き立てることによって生まれた。森の子たちの防衛装置がホワイトウォーカーである。

しかしあるときホワイトウォーカーは作り手に反逆し、人を襲い始めた……というのが数千年前のこと。それから森の子とアンダル人たちは協力してホワイトウォーカーを押し返し、森の子の魔法とブランドン建築王が協力して壁を作った。

うーん、これならナイトキングさんがターガリエンの遠い遠いご先祖さまな可能性はなきにしもあらず(ナイトキングさんがドラカリスを耐えたシーンがまだ気になっている)。

何が気に入らなかったんだろう、ホワイトウォーカー。

人に使役されるだけの人生に嫌気がさしたのだろうか。自分たちの住みよい世界を作り、子孫を繁栄させたかったのだろうか。彼らがそういう「普通」な目的で動いていても面白い気はする。彼らが「生命」なのだとしたら、生存と子孫繁栄は本能なわけで、目的とか理由とかをわざわざ考える必要はないのかもしれない。

 

しかしホワイトウォーカーが「長い夜」をもたらせるという現象が、またよくわからない。地軸をどうにかできるってこと? それとも太陽に影響できるってこと?

そもそもウェスタロスの夏冬システムが本当に謎である。あの世界の地軸ってどうなってんだ。というかあの世界は惑星なのか??(そこから)

現実の歴史における近世は小氷河期時代と呼ばれ、当時は現在の平均気温より約4℃低かった。このため作物は育たず川は夏でも凍り、葡萄酒までが凍ったという。

ウェスタロスで過去に発生した「長い夜」を語り伝える「おとぎ話」の描写を見ると、現実の小氷河期時代をモチーフにしているということは明らかだ。そういう話、なのだろうか?

ドラマの描写を見る限り、ウェスタロスの夏冬システムは、四季のサイクルを維持したまま年間平均気温が高い時期と低い時期が交互にくるというレベルではないように見える。夏が来たら当分は夏、冬が来たら数年間は冬、という感じで、その間に春と秋が来るような。何がどうなったらそんな気候が成立するというのか。わたしはあの夏冬システムにも魔法が絡んでいる気がしてならない(だってあまりにも科学的に説明がつかないから!!)。

森の子たちがファーストメンから自分たちを守るために魔法で夏冬システムを作ったとか……ホワイトウォーカーはその副産物だったとか、その夏冬システムを守るのがホワイトウォーカーだったとか……うん、なんであの夏冬システムを作ったら森の子たちが守られることになるのかはわからない!!!(森の子たちの方がアンダル人よりも気候の変化に弱そうな外見だしなあ)何かのエラーでそうなっちゃった、とかかなあ。

ナイトキングを倒したらウェスタロスに普通の四季が訪れるようにならないかなあと思っていたのだが(ブランのオオカミの名前が「サマー」だったし)、今のところ特にそういう予兆もなく、あの夏冬システムはこのまま維持されるのかどうかは現在のわたしの関心事のひとつである。

 

ところで結局ブランは「僕はもう行くよ」宣言後にどこへ行っていたのだろうか。

鴉を飛ばしてナイトキングに近づいたように見えたが、ナイトキングの現在地を探っていた? おびき寄せをはかった? なんだかいまいちぴんとこない。現在地がわかってもまわりに「そろそろ来ますよ」とか言う様子もなかったし、わざわざおびき寄せなくても彼らはブランの場所を掴めるというのは先週話があったとおり。

ブランはすでに「戦後」を見ていて、その布石を打っていたのだとしたら面白い。バトルオブウィンターフェルの結末が最初から見えていたのなら、その可能性は大いにある。あのときあのタイミングでやらなければならない布石があるとすれば、何だろう。サーセイ絡みか? それともウィンターフェル再建のための何か? それとも夏冬システムにかかわる何か?

 

リアナ・モーモン

彼女に関しては本当に不意打ちだった。予想してなかった。心構えができてなかった。

そういえばGoTってそういうドラマだったよな!!!!

女の子だろうが男の子だろうが、容赦なく無残な死に方をするドラマだったよな!!!

ごめん、覚悟が足りなかったよ!!!!

でも誰よりも小さなリアナ様が巨人相手にたったひとりで立ち向かう姿は、なんというか、「レディ・モーモント」というキャラクターを最後までぶれさせなかった

モーモントの兵はひとりで10人分働く」と言ったリアナ様の言葉は嘘ではなかった。彼女が誰よりもそれを示してくれた。

しかしその後彼女の瞳を蒼く染める演出、HBOは鬼か

 

ジョラー・モーモン

モーモントの兵はひとりで10人分働くんですよ……。本当にね……。

モーモント家、断絶確定じゃないですか……。

グレイスケールを治療された時点で、これはデナーリスを守って死ぬフラグ確定だなと覚悟は決めていた。

実際に彼はデナーリスを守って戦い、彼女の腕の中で息耐えられて、彼は満足して死んでいったかもしれない。でもこれからの時代に彼は必要な人だったはず。リアナ様だってそうだ。生きてほしかった。

 

ドスラク

彼らの剣に火が灯る演出にかっこいいーー! とこちらのテンションも爆上げだったのだが、その後、遠目に炎がひとつずつ消えていく演出に今度は絶望感が爆上げである。

8-3でいちばん「上手すぎるだろ……」と思ったのがここだった。だってあれ、ほかのシーンほど予算を食っていないはず。ロケ地に明かりを持った人を並べて遠くから撮影すればいいだけのはず。なのにあの圧倒的絶望感。

派手なスタントやCGを駆使しなくても、あんな演出が可能なんだなあ。

まあ全編あの遠景では何が起こっているかわからないので、要は緩急のつけ方ということなのだろう。

しかしドスラク人はほとんど全滅しているように見えたのだが、カリーシは大丈夫なのか。彼女にとっては最初期からいる重要な戦力だったのに。

 

ベリック・ドンダリオン

アリアに望みを託すために七回分の命をつないだベリック。

なんかもう、彼の人生の意味とは……彼の自己実現とは……って泣きたくなるんだけど、彼は彼の運命を自分で納得して受け入れて、あの場に立っていたんだな。宗教パワーってすごいよな、という言い方もできるのかも。まあ自分が何回も生き返ってたらそりゃ信仰も芽生えますわ。

やっぱりあのシーンはキリストの受難のアナロジーなのだろう。「復活」「十字」「後光」「腹を刺される」とモチーフがそろっているわけで。人間の救済のためにその命を投げ出したというストーリーも同じである。

 

エディソン・トレット

エッドってそういう名前だったの……。

彼についてはできればもっと丁寧に死を描いてほしかった。ちょっとあっさりだったよね……。「嘘だろ」って自分の死を受け入れられないまま死んでしまったのもつらかった。

サムよ、きみは命を託された。バトルオブウィンターフェルを後世に残すのはきみだ。

再三言っているが、ブランと協力して The Song of Ice And Fire を書き残すんだ。

 

サーセイ・ラニスター

一秒も登場していないにもかかわらず、Twitter でトレンド入りを果たしたサーセイ。

ラスボスサーセイに期待高まる。まさにこの展開を望んでいた(本当に見たかったのはラスボスリトルフィンガーなのだが、それが無理ならこれしかないだろ!)ので今後がめちゃくちゃ楽しみだ。

でもこのドラマ、ゲームオブスローンズなんですよね……。

来週いきなりティリオンがブロンに殺される展開くらいは覚悟しておいた方がいいよね……と、3話のリアナ様を見て思った。

いや、本当にそんな展開が来たら視聴者の闇堕ち待ったなしである。

タイレル家のマネーパワーによって増強されたラニスター軍に、ボロボロガタガタの ICE & FIRE 連合軍はどう対抗するのか! 人間相手だったらドラカリス一発でなんとかなりそうな気もするが、そこはサーセイも何か対策を打ってくるはず。ワイルドファイアを使うのはS2とS6でもうやったから、もうないかな? でも使い方次第で面白い見せ場を作れる可能性はまだある気がする。

ユーロン対ヤーラの海戦も見られるといいな!

 

 

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