なぜ面白いのか

見たもの触れたものを保存しておく場所。映画、ドラマ、ゲーム、書籍の感想や考察。

成長する「探偵」にして主人公「ダンガンロンパ霧切」シリーズ

ダンガンロンパ霧切」の5巻、読了。

今回は露骨なネタバレは避けて、これからロン霧シリーズに手を出してみようかという人のための参考記事として書いてみたい。

とはいえ「中学生の霧切さんが見たい」と思う熱心な霧切さんファンであれば、とっくに全巻そろえているはず。シリーズは好きだがキャラ萌えしているというわけではないとか、とりわけ霧切さんのファンではないという人向けのつもりで書くことにする。

ダンガンロンパ本編はすべてプレイ済みであることを前提に書くため、過去作のネタバレは普通にあり。

 

 

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ファウスト型物語として読む「昭和元禄落語心中」感想

前回の続き、「昭和元禄落語心中」の感想。

どうやらコミックス10巻には特装版というのが存在し、本編を補完する小冊子がついているとか。なんですのそのやらしい商売。調べてみたところ本日時点でアマゾンではプレミアがついているが、ほかのオンライン書店では普通に扱いがあるようだ。仕方ない、買いなおすか!

以下、コミックス10巻までのネタバレ感想。

アニメのみ視聴中の方は、見終わってからまたどうぞ。この話、ネタバレせずに見た方が絶対にいいから。

感想前編はこちらから。

ミステリィとして読む「昭和元禄落語心中」感想 - なぜ面白いのか

 

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ミステリィとして読む「昭和元禄落語心中」感想

「人を笑わせるのは泣かせるよりも難しい」という価値観が、わたしの中に歴然と存在する。それはわたしが音楽という「芸」をやっているときに言われた言葉で、なるほど確かにそのとおりだと感じて、今でも覚えているわけだ。

たとえばシェイクスピアの悲劇であれば、小学生にだって「これは悲しいお話だ」と理解できる。一方シェイクスピアの喜劇は、当時の価値観や慣習、時事ネタの類をそこそこ知っていなければわかりにくい笑いどころもある。

基本的に悲劇とは何らかの「喪失」を描くもので、この「喪失」を悲しむという感情は、ある程度人類共通のものと言えるだろう。だから泣かせることは簡単なのだ(「泣かせる話」というのは大抵「喪失」か「悲願成就」、あるいはその組み合わせに分類できるように思う)。

一方「笑い」は難しい。まず共通の価値観を持つ者同士でなければ笑いは共有しにくい。知識や教養を要求する笑いもあるし、他人を不愉快にする笑いだってある。笑いとは何かという話題については、土屋賢二先生の初期エッセイ集でいろいろと語られていたのが印象深い。

 

これこれ。

まあこのような前口上はさておいて。本日語るのは「泣き」と「笑い」の両方を扱う落語のお話。

先日アマゾンプライムで「昭和元禄落語心中」なるアニメを見た。このアニメが発表された当時、結構話題になったのを覚えている。何しろ石田彰山寺宏一のお二人がオーディションで勝ち取った役だというのだから。声優には疎いわたしでも、このお二人の名前は知っている。お二人が挑戦する落語なら、ぜひ聞いてみたいと思った。

で、見てみたところ、実に耳が幸せなアニメだった。ストーリーも気に入ったので原作(10巻で完結している)も購入したところ、後半のストーリーで号泣し、結末にはかなりうならされた(現在、アニメはまだ放送中で、完結までいってない)。これはぜひ感想とわたしなりの考察を書き残しておかねば、ということでこうして書き始めたというわけだ。

以下はネタバレ感想になるため、これから原作を読もうという方、アニメだけを追っている方は閲覧非推奨。この話はきちんと順を追って、ネタバレなしに結末を見た方がいい。

 

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期待以上のファンブック「ハンニバル」レシピ本レビュー

「FEEDING HANNIBAL」が発売されたぞ!

ハンニバルのレシピ本が出版されるらしい」という噂が流れたとき、世界中が恐怖に包まれた。

「材料はどうやって調達するの?」

「まず名刺を集めるところからでしょ?」

「無礼な豚はご家庭でご用意くださいってことかな」

などと予想した者は少なくないだろう。

Amazonに上がっていた画像を見ると、レシピだけでなく番組に協力したフードスタイリストによるコンセプト絵、作中の料理画像、撮影場面などが載っていることがわかった。それならレシピ本としてだけでなくファンブックとしても楽しめるのではないかと考え、わたしは本を予約した。

ようやく本が我が家にも届き、わたしはおそるおそるページをめくった。思っていた以上に、これはファンブックだった。というか素晴らしいファンブックだった。

現在Amazonの洋書料理本カテゴリのランキング1位になっている。試しにランキングページを覗いてみると、この本以外はまっとうなレシピ本(いやこの本もちゃんとしたレシピ本なのだが)で、違和感が凄まじい。

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1位の不穏さ。

ではここから、本の中身について「ハンニバル」ファンが喜びそうなポイントにしぼって紹介してみたい。一応、ネタバレ注意。

ハンニバル関連記事目次はこちらから

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【更新】「ゲームオブスローンズ」原作『氷と炎の歌』リンク集

最近「ゲームオブスローンズ 原作」で検索してブログを訪れる人が多いので、ここで今後の自分の買い物メモも兼ねて原作情報を整理しておこうと思う。

 

 

現在手に入る日本語版『氷と炎の歌』は、早川書房の単行本(古い巻については新品の在庫がない模様)、文庫版、Kindle版である。最新の『竜との舞踏』は2016年5月現在、単行本しか出ていない模様。

 

【ゲームオブスローンズ関連記事目次はこちら】

ネタバレの存在しない歴史ドラマ「ゲームオブスローンズ」(S3前半まで)感想 - なぜ面白いのか

 

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「聖典」の伝道師の愛が重すぎて最高「詳注版シャーロック・ホームズ全集」

このブログでは初めて書籍を取り上げることになるのだが、その記念すべき一冊目はこちら。

www.amazon.co.jp

ちくま版の『シャーロック・ホームズ』全集である。
「詳注版」とあるように、とにかく注が詳しいことが特徴だ。

 

 

こんな人におすすめ

  • というかマニアな人

あっ、シャーロキアンな方はもう既にこの手の本はお持ちだと思うのでこの記事は読む必要がありません。このブログ記事は「ホームズ」にちょっと興味があるくらいの人が対象です。

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