「ゲームオブスローンズ」感想、お亡くなりになった方についての話が続いたので、少し趣向を変えてみたい。
今日はS4終了時点で、物語開始時点と比べて幸せな状況(本人の自覚として)になったキャラを探してみよう。
えっと……テーマは決めたものの、そんなキャラいたっけ……。大体不幸になっているような。
※ドラマS4までと原作1章のネタバレあり。
ホットパイ
彼は初回登場時はキングスランディングで身よりもなく乞食のような少年だった。アリアの剣を盗ろうとして逆に脅されるシーンは、今見ると新鮮。
それがS4では宿屋の厨房で立派に働き、仕事にやりがいも感じている様子。
それまででの生活や人間関係はすべて捨てることになったが、彼自身は現状に納得しているようだし、この物語では数少ない幸せになったキャラではなかろうか(今後惨殺される可能性がなくはないのがこの話の恐ろしいところだが)。
彼がブライエニーたちと会ってアリアのことを話すシーンがとても好きだ。
ホットパイの成長と納得感がよく伝わってきたし、ブライエニーのドヤ顔も好きだ。
ブロン
わたしの中のお気に入りキャラランクの中ではかなり上位にいる人。でもブランと名前を間違いがち。
彼の戦闘スタイルも、ティリオンと男子高校生のノリで猥談する様子も好きだった。
それだけに、S4での別れは悲しかった。
とはいえ、彼のキャラを考えれば決闘裁判に再び参戦しない方が彼らしいというのもわかる。
むしろあそこで友のために立ち上がるようなキャラではなかったからこそ、ティリオンとの友情が成立していたわけで。
最後の握手はお互いに変わってないことを確かめ合っていたように思われた。ブロンは一貫して「傭兵」であり続け、ティリオンは「ラニスター」であり続けた(S5開始時には「ラニスター」をやめていそうだが)。
ただ、S4で完全退場してしまうとしたらあまりにももったいない。
最後に着ていたきれいな服よりも、それまでの傭兵姿の方が似合っていたとは思うが、あの格好で活躍するブロンも見てみたい(しかし次に出番があったら死亡フラグな気もして、それはそれで怖い)。
客観的に見て、S1の頃より今の方が彼の生活は豊かになっているだろう。
それは間違いないのだが、ティリオンとの別れが本当に彼にとって「幸せ」な結末なのか、少し疑問がある。
ラムジー
彼は作中屈指の幸福度を上げたキャラではなかろうか。
「スノウ」として白い目で見られていたこれまでの人生。しかしリークを育て上げたことにより、忠実なペット、個人的な楽しみの時間、戦での大勝利、さらに「ボルトン」の名字まで手に入れて、人生の春を迎えているように思われる。
あれもこれもリークのおかげ。もっと待遇を上げてはいかがか。
ラムジーは個人的な趣味だけが生きがいで、社会的な意味での承認欲求はあまり持ち合わせていないキャラなのかと思いきや、ボルトン姓を与えられたときの反応を見る限りではそれなりに外の世界への興味もあったらしい。
だが、外の世界に対して個人的な趣味以上に興味を持つことはあるのだろうか? 若干疑問である。
彼が、たとえばハウンドやマウンテンのような「いかにも暴力を振るいますよ」的な見た目、あるいはジェイミーやジョジェンのような目を引く外見ではないのがとてもいい。
最初は本当にシオンの姉の使いだと信じてしまった。
それくらい彼は普通の、言ってしまえばモブ顔というやつだと思う。
そんな普通の青年が残酷さをむきだしにしたとき、あそこまで異常な表情に見えるということに、改めて役者の凄さに驚かされた(このドラマではそう思わされることがとても多い)。
しかし現状の「幸せ」はあくまで登場時→S4終了時を比較した場合の話であり、ラムジーは(そしてボルトン父も)物語終了時まで幸福を謳歌できるとはとても思えない。
ラムジーがどんな死に方をするのかと楽しみにしている視聴者は多いと思うのだが(おそらくラムジーファンすらも楽しみにしているのではないか)、わたしも楽しみである。
現状、七王国の主要人物の生死はリトルフィンガーが握っているといっても過言ではないので、リトルフィンガーが彼を認識するような展開になったらどうなるか見てみたい。
この動画のラムジーとシオンの小芝居(5分くらいのところ)、好き。
サム
S4終了時点で幸せといえるか判定が微妙だが、壁に来る前と比べれば、自分の居場所や生きがいを見いだし、仲間を見つけ、友人をつくり、自分を頼ってくれる女性もできて、そういう意味では人生は上向いていると思われる。
ただしせっかくできた仲間の多くを失ったことと、壁周辺の現状を鑑みれば、彼の「幸せ」はかなり割り引いて勘定しなければならないだろう。
サムのようなキャラがホワイトウォーカーを最初に倒すことになるのも、この物語の面白いところ。
ぜひメイスターから知識を吸収して、壁の新世代参謀になってほしい。
ちなみにサムは最後まで生き残りそうだと思っているのだが、どうなるだろうか?(何も信じられない目をしながら)
マージョリー
彼女は一見すると夫を続けて亡くした不幸な女性だが、実際のところ夫としてはいまいちな男性(二人とも「いまいち」ですませられる範囲ではないかもしれないが)を、彼女自身の手を汚すことなく退けることに成功しており、現状ではこれまでに比べれば最良の夫候補の好意を取りつけ、順調にいけば王妃におさまることができるわけで、調子が上向いている方である。
国民としては、マージョリーが王妃になるのは歓迎できるのではなかろうか(少なくともジョフリーが王位にあり続けるのと比べれば)。
彼女は賢く美しく、他人の意見に耳を貸せるし、政治的なバランス感覚も備わっているように見える。
ティリオンとリトルフィンガーに、マージョリーに対する正直な印象を尋ねてみたい。
ちなみにマージョリーの祖母オレナもまた、わたしのお気に入りキャラである。
S1前半を見ていた頃、「バイオレットさんのいないダウントンアビーみたい」(群像劇大河ドラマ的な意味で)だと思っていたので、オレナ登場時はわたしの求めていたおばあちゃんキャラ来た!!! と喜んだものだった。
あの年齢であの行動力、タイレル家は彼女の目が黒いうちは安泰ではないだろうか(フラグ)。
ポドリック
敬愛するティリオンと離れ離れになってしまったので「幸せ」と言っていいかは微妙なところだが、何の役も与えられていないところからスタートして、ティリオンの従者になり、女性経験もすませ、現在はブライエニーの従者。
慣れないことをさせられて苦労しているようだが、ブライエニーとポドリックのコンビはドラマの中の数少ないなごみパートだし、比較的幸せな方と言っていいだろう。
彼の娼館でのエピソードというかあの設定はいつかまた活きる日があるのだろうか。
そういう方向でキャラを立ててくるとは予想しておらず、あのときのティリオンとブロンの慌てぶりも含めてあのエピソードは好きだ。
彼が死んだら絶望するファンは多そうである。
リトルフィンガー(ピーター・ベイリッシュ公)
彼の現状も「幸せ」と言っていいかどうか不明だが(何しろ真意がまだ判然としないので)、ともかくS1の頃と比べれば、アリン家の基盤を乗っ取ったも同然であり、キャトリンの娘は自分の手元にある。何よりも彼の計画したことは大体上手くいっているため、一定の満足感は抱いていると思われる。
彼についてはこのブログで散々語ってきたが、今後が楽しみなキャラナンバーワンである。次に彼がどう動くのか見当もつかない。
今のわたしは、原作で語られた子供時代のキャトリンとのキスエピソードにどきどきしているところだ。
それから、原作では1章で既にライサからピーターへの好意もほのめかされていることに驚いた。
しかしそれらすべてが、おそらくライサからピーターへの好意にほとんど気づいていないキャトリン視点で語られるため、先を知らない場合はスルーしてしまう読者もいそうだ。
登場人物のほとんどが不幸になっているような気がしていたが、実はそうでもないということがわかった。
しかしここであげた人物たちのうち、何人が物語終了時まで幸せでいられるかと考えれば、あまり楽観視はできない。
huluでのS5配信日が近づいている。早く続きが見たい!!