なぜ面白いのか

見たもの触れたものを保存しておく場所。映画、ドラマ、ゲーム、書籍の感想や考察。

自由意思と基本衝動の書き換え「ウエストワールド」シーズン2感想

「ウエストワールド」シーズン2も完走した!

見る前は「物語構造全体を使ったどんでん返しは一回しかできなくない? シーズン1よりも面白く作れる?」と心配していたのだが、今回もがっつりやってくれた。しかもシーズン1よりも難易度が上がっている。すげーな!

しかしシーズン1はそれ単体で物語としてきれいに完結しているのに対して(というかおそらくパイロット版として単発で終わることまで考えて作られたのであろう1-1があまりにも完成度が高く美しい)、シーズン2はシーズン3以降の展開を想定しながら作られている部分があると思われる。その分物語に広がりは出るのだが、現時点では意味がわからないところもある。

そんなわけで今すぐにでもシーズン3を再生したいのだが、シーズン1を見た時点での作品理解を言語化しておいたおかげでシーズン2の理解がだいぶ楽になったため、それなりに難解であろうシーズン3を見る前にシーズン2について考えたことをまとめておきたい。

シーズン1の時点でわかりきっていたことだが、この作品は明確な入れ子構造を持つ。

シーズン1ではそのいちばん内側、すなわちパークを描いた。

シーズン2ではそのひとつ外側、パークの外の世界を部分的に(パーク関係者の視点からのみ)描いた。

そしてシーズン3ではさらにその外側(パーク関係者のさらに外側の環境、あるいは時間的な意味での外側)を描くのだと思われる。

入れ子の内側から外側を見ることはできない。パークの外の世界について、視聴者はホストとまったく同程度の知識しか持てない

次第に広がりを見せることが必然の構造のため、物語の途中では情報が制限された状態で考えるしかない。が、そこが面白いということもわかっている。

そういう前提で、以下シーズン2のネタバレ全開での感想と考察。

 

シーズン1の感想はこちら。

ssayu.hatenablog.com

 

 

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ブラッディプリンセス「ハウスオブザドラゴン」1-3感想

トリーモア森林公園(アイルランド)です

「ハウスオブザドラゴン」3話も見た!

3話の前半は「王の森」が舞台となったが、あの森はゲースロ時代にも何度もロケに使ったトリーモア森林公園ではないだろうか。木々やシダ植物がそれっぽい気がした。

2018年の夏にウィンターフェルツアーに参加したときのレポがある。

ssayu.hatenablog.com

こちらに写真がたくさんあるので、今回の森のシーンと見比べてみてほしい。

しかしあの旅ももう4年前か。振り返ってみると、あのとき行っておいてよかったとつくづく思う。また気楽にヨーロッパ旅行に行ける世の中になってほしい。

 

では以下、3話のネタバレ感想。

 

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王の小指は誰のもの?「ハウスオブザドラゴン」1-1,2感想

いよいよ始まった「ハウスオブザドラゴン」、本日2話まで見てわくわくが止まらないので感想というかメモ書きを残しておく。

先日久しぶりに過去の「ゲームオブスローンズ」記事を読み直して、炎上しないようにものすごく言葉を選びながらむちゃくちゃ慎重に書いてんなー、と面白くなってしまった。

ssayu.hatenablog.com

しかしこれはこれで、当時の熱狂を今に残す資料のひとつにはなっていることと思う。

「ハウスオブザドラゴン」も、ゲースロと同じくらい……とまではいかなくても、わたしにとって刺激的な、心揺さぶられるドラマであってほしいと期待している。

また気づいたことや感想はぽつぽつとここで綴っていきたいと思っているので、お付き合いくださる方はぜひ一緒に楽しみましょう。

なおわたしは原作設定の家系図はあえて見直さず、今のところはなるべく前提知識を入れずに楽しんでいるので、コメントからのネタバレもなしでお願いします!

 

というわけで以下、本編のネタバレ注意。

当然ながら「ゲームオブスローンズ」のネタバレも注意。

 

 

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神から自己へ「ウエストワールド」シーズン1感想

「ゲームオブスローンズ」前日譚である「ハウスオブザドラゴン」が公開された当日だが、わたしは週末に一気見した「ウエストワールド」の感想を先にまとめようとしている。

これを書いたらHotDを見るからな!!!

 

いやとにかく1話目から面白く、引きが強く、ヒントを散りばめながらそれを順番に回収していく手際も見事、そして洋ドラには珍しいくらいわかりやすい(答えをある程度明確に示す、比喩表現がストレートという意味で)ドラマだった。10話分を一気見なんて久しぶりにやったぞ。

家に遊びにきた友人が「おっと、こんなところにU-NEXTでウエストワールドを視聴できるノートパソコンが……」と言うので(わざわざ持参してくれた)「それならこの機会に1話くらい見るか」と再生したところ、そのまま全部見ることになった。1話ですむわけがなかったぜ! なお友人は初見のわたしの驚きやつっこみや予想を聞きながらほくそえんでいた。

いったいこのあとどうシリーズ化するのか見当もつかないが、続編も近いうちに見るつもりである。まずは現時点での感想を残しておきたい。

ちなみにわたしも友人もFF14をプレイしているため、共通の前提知識を使って作品理解を試みることになった。このウエストワールド世界(重複表現か)の管理・運営・ゲストのあり方は、MMO世界の管理・運営・プレイヤーのあり方に近いものがあり、MMO経験のある視聴者には理解しやすいものである。そんなわけでこのへんの話題も入れつつの感想となることを先にことわっておく。

エストワールドの中身については全面的にネタバレ注意。

 

 

 

 

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「メンタリスト」はなぜ面白いのか

先日、ドラマ「メンタリスト」を完走した。

1話ずつさくっと見ることができて後味さわやかないいドラマだった。

そして「だんだん予算が増える」のはシリーズドラマのお約束だが、「だんだん面白くなる」というのはなかなか稀有な例ではないだろうか。メンタリストはそんなドラマだった。

今日はブログのテーマにのっとって、このドラマはなぜこんなに面白くなったのか主観全開で考察してみたい。

以下、最終シーズンまでのネタバレあり。

 

 

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#RenewBlueBook 「プロジェクトブルーブック」2-10 メインブレース演習

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https://twitter.com/davideoleary/status/1242648898977402887

「プロジェクトブルーブック」S2が終わってしまった。

しかもとんでもないクリフハンガーで終わってしまった。

そしてS3の制作はまだ決定ではないらしい。マジか。おいマジか。勘弁してくれ。頼むから続きを作ってくれ。

いろんな意味で喪失感が半端ない終わり方だったので、ファンは阿鼻叫喚である。

制作側も #RenewBlueBook のタグを作ってヒストリーにファンの声を届けてね! と呼び掛けているので、これはひとつ協力せねばならない。

どう考えてもS3を想定した話の作りになっているとは思うのだが、もしかしたらこのコロナ禍の影響で撮影スケジュールの目途が立たないのかもしれない。それだけなら全然いいんだよ……待つよ……。いろいろな事情で人気があっても続きが作られないドラマはたくさんあるから心配だが、とりあえず希望を持って待つことにする。円盤も出たら買うぞ!

 

さて最終回の事件はメインブレース演習。史実解説はこちら。

予告はこちら。

 

 

以下最終回のネタバレ感想

 

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「プロジェクトブルーブック」2-9 ブロークンアロー

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https://www.historystore.com/collections/project-blue-book

プロジェクトブルーブック2-9がすごい。

もはやバディもののお手本のような脚本。S1から積み上げられてきた信頼関係が、ふたりの最大の危機(社会的な意味での最大の危機は2-6のロバートソン査問会だが、今回は物理的な生命の危機である)に立ち現れる。全編にわたって萌えの塊が怒涛の勢いで押し寄せ、見終える頃には瀕死である。

毎週言っているが、こんな素敵なエイダン・ギレンを見せてくれたヒストリーさんには感謝するばかりだ。もう裏切りの代名詞ではなく知的さとセクシーさのシンボルである。ソースはSBS

さて今回も先に予告編を。

https://twitter.com/davideoleary/status/1240095926930161664?s=20

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 以下、ネタバレ含む。

 

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