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「医者」の仕掛ける√6×FBR「刻のジレンマ」感想

「刻のジレンマ」クリア!

そして一連の ZERO ESCAPE シリーズを全部クリア! とても楽しませてもらった。

9時間9人9の扉」「善人シボウデス」のダブルパックをきっかけにシリーズをプレイし始め、「刻のジレンマ」まで約1か月でクリアしてしまった。

ネタバレ感想の前にシリーズの出来を比較しておくと、

ゲームとしての洗練度:刻ジレ>善デス>999

クリア時の興奮度:999>善デス>刻ジレ

謎解きの楽しさ(わたしの趣味に基づく):刻ジレ>善デス>999

シナリオの面白さ:善デス>999>刻ジレ

不満点:999>刻ジレ>善デス

グロ度:刻ジレ>>>>>>>>>>>>>>>>>善デス≒999

という感じ。

総じてプレイして楽しかったし、いろいろとここでしか味わえない体験をすることができた。システム的な粗や根本的なゲームデザインにおける粗もあるものの、プレイしてよかったと思える。

これからやる人向けに一言書くならば、

シリーズは最初からプレイすべし。999を買ったら刻ジレまでやりたくなるものと心せよ。ただし刻ジレのみグロ度が段違いに高い(絞殺死体のアップ、動脈からの出血描写、溶けた死体描写など)ので、グロ苦手な人は注意が必要だ。

この点についてはもう少し配慮が必要だったのではないかと思う。999、善デスも流血描写はあったが、あれくらいまでが許容範囲というプレイヤーには刻ジレはきつかったのではなかろうか。シリーズの統一感という意味でも、グロ度は揃えた方が親切な気がする。

以下はネタバレ感想。クリア後の閲覧を推奨。

 

 

 

 

 

前回のキャラ語り形式が思いのほか書きやすかったので、今回もその形式でいってみよう。先に言っておくと、Dチームの安定感が大好きで、Cチームにはいろいろと言いたいことがある感じだ。

 

カルロス

脳筋かと思いきや頭も回るしめちゃくちゃ空気を読んでくれる。ギスギスCチームをなんとかまとめてくれた。シスコン。このシリーズの登場人物のシスコン・ブラコン率は何なの。

10か月前に戻って助けに来る展開は熱かったが、さすがに殺し合いゲームをさせるような企みは、10か月のうちになんとか潰しておいてほしかった。茜や淳平との出会いよりもそっちを優先してくれ。

しかしそれ以外の部分では好感度は高い。みんなの頼れるヒーローであろうとしており、実際にそうあることができている。エンディング後は妹さんといちゃいちゃしている様子も垣間見ることができ、満足。

ゼロが彼をあの場に配置した理由はいまいちわからないのだが、彼がいなければCチームはギスギスしすぎてゼロの目的を達成できなかったかもしれない。そういう意味で空気の読めるキャプテンアメリカもどきを配置したのはよい配慮。

 

刻ジレに対してわたしが抱えるもやもやの大半を担う人物。

君さあ、淳平くんの態度に不満を示すより先に、彼に言うべきことがあるよね? まずは1年前のことを全力で謝るべきよね? 幼馴染を含む9人を命の危険に晒して(ルートによっては幼馴染も死ぬ)、実際に数人殺しておいて(間接的なものも含む)、その相手には一言もなく逃げていたのに、再会した幼馴染(しかも一年間彼女を探し続けていたらしい)に一言も無しってあんまりじゃない?(淳平の態度からして、ゲーム開始以前のDcomでの生活中にも何も言ってなさそうだし)悪いことをしたって自覚があるから逃げてたんだよね? ていうか警察から追われる身のはずなのに、淳平くんと幸せになります(はぁと)エンドでいいの? 本当に??? 罪を償う的発想はないの?

ゼロの「80億人が死ぬのを防ぐために60億人を犠牲にする」理論に対して文句をつける様子にも「お前が言うな」と思ってしまう。いやいや、君も「自分が死ぬのを防ぐために最低3人は犠牲にしたし、ほか数人の人生も犠牲にした」よね? 善デスでも60億人が死ぬのを防ぐためにシグマ、ファイ、四葉、アリスの人生を犠牲にしたよね? 「目的のためには手段は選ばない」とのことだが、それはゼロも同じなわけで、茜はむしろゼロの思想に賛同すべき立場なのでは?

・茜が淳平にきちんと謝る

・茜がゼロの思想に共感する

・そんな茜を見た淳平が「こいつはもはや人間じゃない」とこの時点で善デスの結論にたどり着き、以降は過去を振り切って前向きに生き、老後はクォークと過ごす

こういう展開だったらすっきりできたのにな! と思っている。

あと、善デスの彼女はDcomで何が起こったのか見えないと言っていたため、Dcomには形態形成場へのアクセスを妨害するような仕組みまたは能力者がいるのだろうと思っていたのだが、そんなことはなかったぜ。結局どうして見えなかったんだろう?

「実は茜こそが狂信者だったが淳平と結ばれたのでテロは起こらない」可能性は1%くらいあると思っている。

 

淳平

最初は「誰?」という感じだったが、わかる、わかるよ、君の変貌。そりゃね、あんなことがあったら人間不信にもなるし、茜にもサンタにも逃げ続けるだけではなく出頭して罪を償ってほしいよね。なのに茜は何事もなかったかのように幼馴染面してくるし、イラっとするよね。

と思っていたのだが、あれ、そういうわけじゃなかったの。1年間裏社会で生きてきた影響+単に素直になれなかっただけだったの? あれ? え? それだけなわけないよね?

と思ってたら、本当にそれだけだった。いやいやいやいやいやいや。

善デスの淳平はクォークとの出会いによってマイルドになり、茜以外にクォークという大切な存在ができ、パンデミックが起こった歴史をなかったことにしようとする茜の思想を否定した。わたしというプレイヤーはその淳平の視点にとても共感したし、あのシーンはとてもお気に入りだった。

その彼が! 茜と結婚してハッピーエンド!? この時点ではまだクォークと出会ってないとはいえ、クォークと出会う歴史を否定することになるんだけどいいの!?

そう、この時点ではまだ淳平はクォークと出会っていない。だからかろうじて納得できなくもないのだが、善デスのあのシーンが気に入っていただけに、もやもやが残る。

 

ショーン

双子が生まれた直後に、いちばん右端のディシジョンゲームで「デルタ」と入力したせいで「ショーンって誰? ていうかあの子がショーン?」と混乱し、最終的に何もかも察してしまった。こういうプレイヤーは多いはずである。作り手側も、その時点で真相にたどり着いてOKというつもりだったのだろう。

「誰を撃つ?」という質問に「ジブン」だと「自殺はできない!」、「キュウ」だと「本名がわからない」と表示されるため、自分≠Qなの?? という疑いが芽生えたが、本当に四人目が存在したとは。あの場面、「ショーン」ではエラーが発生してしまうのだが、そこは何か入れておいてほしかった。「ヤメル」という答えがわからず、あそこは確か攻略を見てしまった気がする。デスゲームにおいて、殺害を思いとどまるキャラがいるなんて!

あのヘルメットをつけていたら飲食が不可能で、時間がたつにつれて「この子、空腹も喉の渇きも訴えないな」と不思議になってきたが、食事とかいらない子だったので納得。ただしミラやエリックは少しくらい疑問を持つか心配するかしよう。

声からして中身は耽美系美少年だろうとわくわくしていたのに、ヘルメットがとれたらアレってあんまりだ。ゼロは実在のショーンくんをもとにきちんと顔もデザインしておくべきだった。

 

エリック

ヘタレ石田ボイスってちょっと珍しいのでは!(強キャラなイメージだった)石田彰ファンなので、熱演を聴くことができて嬉しい。

めちゃくちゃ歪んで育っていそうな割りに、なんだかんだで真実の愛を持っていたらしい。自分の母親を殺した犯人と結婚か。周りからはいろいろ言われそうだが、真実の愛で乗り切ってほしい。

カルロスと同じく、なぜあの場に配置されたのかやや謎。しかもカルロスと違い形態形成場へのアクセスもできない。配置される必然性があるのはミラだけのはず。展開によってはショットガンを振り回してまわりのキャラの危機を生み出す(=形態形成場へのアクセスを促す)ので、それを見越した配置か。あるいはXパスのとおり「道化」としての存在か。

 

ミラ

あれは治らないでしょう。

改心とかそういうのが見込めるキャラではないと思う。

ミラエンドの語りはとても好き。瞳の色が印象的だった。

しかしいくらサイコな連続殺人鬼だとしても、あの環境でホイホイ殺しにいくだろうかという疑問はある。デルタはミラを自由にしていただけで、彼女と打ち合わせをしていたわけではないわけで。自分が疑われる可能性も高い閉鎖環境で無差別殺人に励むほど非理性的な人には思えなかったのだが……(別ゲームの某「できるだけたくさん殺したかった」連続殺人鬼ならともかく)。

 

ダイアナ

どこまでが演技なんだ……!

アル中描写はあの状況を考えれば仕方ないような気もする。シグマの本命は彼女だったか。ルナはロボットで、ダイアナは人間。人間だから追い詰められれば錯乱もする。シグマがルナに錯乱モードを搭載しているのかどうかが気になる。わざわざ搭載する必要はないのだが、錯乱モードにならなければファイも生まれなかったわけで、あの彼女を否定することはできないだろうなと。

しかしすべてを終えて意識が未来に戻ったシグマを待つのは、壊れたルナの残骸である。気の毒すぎる! シグマを追って月まで行った彼女も、そこにいたのは善デスモードの若シグマなわけで、彼女の知るシグマとはもう二度と会えない。このカップル、考えれば考えるほどつらい。

それとも、未来が変わった時点から未来へと意識が戻った場合、「月に行かずダイアナは死なずルナも作られていない未来」に「戻る」可能性もある? 少なくともそういう未来の可能性を、ダイアナもシグマも知覚できる可能性はあるか。もしそうなら、少しは救いがあるのだが。

 

シグマ

999組と比べて善デス組の安定感よ。やっていていちばん楽しかったのがDチームだ。

善デスのシグマに比べて多少落ち着いているが、にゃ~んは健在。どちらかというと今作のシグマの方が好みだ。達観と諦観を抱えた彼は魅力的に見える。ファイに老人扱いされるのも楽しい。

そして研究者にしておくのがもったいないようないい体だ。焼却室で拘束された際、ダイアナ視点で全身をぺたぺた触ってしまった。あのときはそれどころではない緊迫したシーンだったはずなのに、じっくり堪能するダイアナであった(「違うんです! なぜか手が勝手に……!」)

善デスにつながる世界線に至ったときはかなりゾクゾクした。善デスにつながるルートも一つはあるのがお約束だとは思っていたが、あれがああなってそうなるとはね!

 

ファイ

ファイが生まれるためにはファイが死ななければならないという、ひどい運命を背負ったキャラだった。シグマへの感情は親子愛だったのか。そうわかると、これまでのファイからシグマへの言動がすべて微笑ましく見えてくる。

善デスの彼女は、自分が生まれないルート上のものだったことになるわけか。ふしぎだが、あの世界ではそれも有効ということがわかる。そしてやはり、善デスの彼女はノナリーゲームとは無関係に、それ以前からラジカル6に感染していたのだった。というか彼女こそが感染源だった。症状が進行するのを防ぐために、彼女は自らコールドスリープに入ったのだろう。

刻ジレの彼女は善デス後の意識が入っているから、全部終わったあともともとの彼女に戻った状態でコールドスリープに入ったのであれば、シグマを知らないことになるのか。ややこしいな。

今作では序盤に死んでしまう展開が多く、彼女不在の謎解きが多かったのは少々寂しかった。それだけに、後半の展開は燃えた。

彼女のペンダントの起源は結局謎なのだが、あの流れで持たせることになったのなら、ラテン語ではなくギリシア語で言葉が刻んであった方がよかったような。

 

デルタ

ゼロのコスチュームがペスト大流行時の医者の格好だったことから、ラジカル6をばらまく者としての皮肉か、あるいは本当に「病気を治す」ためにゲームを始めたのかと思われた。実際にはどちらの意味でもあったわけだ。彼はラジカル6をばらまいた張本人であり、ラジカル6の蔓延から世界を救おうとする者でもあった。

ラジカル6をばらまきたいだけなのであれば、あんな面倒なことをする必要はなかった。特に予告もなく適当にまいておけばパンデミックになっただろう。しかしそもそもラジカル6はどこでどうやって発見(開発?)されたのか。ついでにアクセラビルもどうやって開発されたのか(FBR=アクセラビル?)。そのあたりがまったく語られず、ややもやもやが残る。それもデルタが一人(+オリジナルショーン?)で開発したのだろうか。量子コンピューター開発の片手間に? 万能すぎる。

長寿なのは危機的状況下で発現した特殊能力の一つであると納得するとしても、シグマがなぜ大戦前のドイツというやたらと危険な時代・場所に子供たちを送り込んだのかがよくわからない。「今」でなければいつでもよかったわけで、もう少し平和で安全な時代・場所に設定してあげてほしかった。

フリーザソウルについても、さすがにもう少し説明がほしかった。今回の計画のための資金を集めるための教団だった? それとも最初は本当に弟レフトの死だけがきっかけだった?

善デス感想で、フリーザソウルとCRASH KEYSの結託疑惑について書いたが、あれはどうやら当たっていたようだ。あのルートでは茜はデルタにいろいろ聞いて、さらに技術提供も受けていた可能性がある。あの量子コンピューターがあるなら、善デスももう少しスマートな計画を練られたように思うのだが。

 

 

というわけで、いろいろと「もっとこのへんがこうだったら…!」と思うところはあるものの、1か月間たっぷり楽しませてもらったことには違いない。こんなふうにフローチャートを埋めていく形のアドベンチャーゲームは428以来二度目で、そういう意味でも新鮮で楽しくプレイできた。

さて、ここ半年アドベンチャーゲームに偏っていたので、ここらで別ジャンルのものを遊んでみたいと思っている。さて何をするかな。

 

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