なぜ面白いのか

見たもの触れたものを保存しておく場所。映画、ドラマ、ゲーム、書籍の感想や考察。

期待値爆上げの結婚式「ハウスオブザドラゴン」1-5感想

「ハウスオブザドラゴン」5話もよかった!!

よかったというか、群像劇である以上は当然かもしれないが、話が広がりを見せるほどにどんどん面白くなっていく。

特に今回は「ウェディング」が描かれるということが事前にわかっていたわけで、基本的に視聴者が「ゲームオブスローンズ」を履修している(レッドウェディングやパープルウェディングを通ってきた)ことを前提とした作りになっているのがめちゃくちゃ上手いし巧いし美味い。

もちろんわたしも期待値マックスで見たのだが、本当に面白かった。

いや実にいい披露宴だった。いやこれはいい披露宴だったという意味ではない。

集まってきたさまざまな家や人々の思惑が交差する様子が存分に描かれた、非常に見ごたえのある描写の披露宴だった。

たぶん今後の展開をふまえて改めて5話を見ると、気づくこともあったりするように作ってあるのだろう。

そんな5話、以下はネタバレ感想。

 

 

 

 

 

 

結婚式の死者ノルマ

ノルマ3人(ドスラク水準)は未達成だがとりあえず死者は出たな!

死者は1人だけだったけど結構な破壊力だったしヨシ!

やっぱりヴィセーリスの結婚式がカットされてしまったのは、死者ノルマの達成が難しかったからだよな!!!

 

 

期待爆上げのアリセント

わたしは今まで「ハウスオブザドラゴン」感想記事で何度も「面白いけど小指枠がいない」ことを不満だと書いてきた。

だがようやく気付いた。

これアリセントが小指枠の可能性あるな???!!?!?!

マスターオブスパイになる可能性あるでしょ!?!!?!!?!?!

いやもう今になってようやく気付くわたしの目は節穴だった!!!(大の字)

 

今回、彼女はレイニラが自分の子供たちを殺す未来を現実的に感じ取った。

父親のオットーは追放された。

このままレイニラが女王になれば、民はエイゴンを王にしろと求めて戦争になりかねない。そうなればレイニラはエイゴンを殺すだろう。

これまでの彼女は「レイニラはそんなことはしない」と思えた。彼女を信じられた。

だがレイニラはアリセントに嘘をついていた。それも玉座をめぐる問題に発展しかねない重要なことで。アリセントはそれを知ってしまった。

レイニラは玉座をめぐる問題において、平然とアリセントを騙せる。

アリセントはようやくそれを理解し、認識した。ここが彼女のスタートラインだ。

狼煙をあげろ。ハイタワー家の戦の狼煙はグリーンだ。

 

よくよく考えると、アリセントは現時点で最終形態サンサに近いのだ。

キングスランディングでの長期間にわたるストレスフルな生活(ただしキングスランディングにいた頃のサンサほど命の危機には晒されていない)、強制的に男をあてがわされ、結婚させられ(ただし結婚相手はラムジーほどヤバい男ではない)(いやラムジー以上にヤバい男はなかなかおらんやろ)、信用していた相手から裏切られる(ただしサンサはアリセントがレイニラを信用していたほどにはピーター・ベイリッシュを信用していなかっただろうし、レイニラはピーターくんほどのひどい裏切りをしたわけでもない)という過程を経て、今のアリセントはかなりの強さを備えていると思われる。

(ただしこうやって書き連ねてみるとサンサを襲った試練に比べればやわやわで、やはり最終形態サンサにはまだ及ばないだろうとも思う)

今のところ彼女の側につきそうなのはクリストン(今回のラストの流れからすると)、ラリス(王の手の息子)がいる。それにひょっとしたらもともとオットーが使っていた白蛆(ミサリア)を初めとしたスパイ網も引き継いでいるかもしれない。

とりあえず次回、アリセントはレイニラに加えて、クリストンからレーナーの秘密も知ることになるだろう。その情報はどんなふうに使われるだろうか?

王の手という後ろ盾を失った今のアリセントは、あの城で孤独な立場だ。その意味ではキングスランディングにいた頃のサンサに近い。

だが彼女……というか「ハイタワー」の持つ力、それに「王妃」という立場の持つ力はそれなりにありそうだ。それがあの披露宴での入場シーンに現れている。多くの参列者が彼女のために起立した。

披露宴で着ていた彼女のドレスは素敵だったが、その袖はリトルフィンガーのコートみたいに長かった。

現時点で最終形態サンサに近いアリセントだが、まだ変身を二回残しているぞみたいな顔してるやん!!!

期待したい……期待していい?

 

ちなみにアリセントがサンサではなくサーセイルートに乗る可能性もなくはないが、今のところわたしはサンサ寄りな気がしている。

サーセイとアリセントの共通点は子供がいて彼らを守ろうとしていることくらいだ。

サーセイは「ジェイミーがいればほかは全員死んでもいい」くらいのメンタリティで、「ゲームオブスローンズ」シーズン6での彼女の発言はほぼ快楽殺人鬼みたいだった(「楽しいから殺した」云々)。ついでに守ろうとしていた子供も結局自分の手で殺したようなものである。

アリセントにはジェイミーにあたる人はいないし(強いて言うならそれがレイニラだったわけだが、そのレイニラが彼女を裏切っているわけで)、現時点での描写で彼女が快楽殺人鬼タイプだとも思えない。

ただもしサーセイがジェイミーに裏切られたと考えた場合にどういう行動に出るかという脳内シミュレーションは、アリセントの今後を考える上で役立つかもしれない。

 

 

ラリス・ストロング

5話の前半を見ていたときは、ラリスが小指枠かな? とも思った。少なくとも彼のぴったりして裾がひらひらした衣装は、ピーター・ベイリッシュを彷彿とさせるものになっている。

いやむしろティリオン枠では? という気もしている。

「ゲームオブスローンズ」世界においては、戦う力がない男性は強力なプロットアーマーに守られていた。ティリオンも、ピーターくんも、サムも、ブランも。そういう意味でラリスくんの活躍にも期待できるかもしれない。

今はまだ描写が少なすぎて彼のキャラは読み切れないが、自分にできるのは「観察すること」だけだという彼は、キングスランディングという政争の場においては最強のスキル持ちな気もしている。「観察すること」によって得られるのは知識であり、知見だ。彼は人間関係の推移や人の抱える秘密を炙り出す。

ラリスがアリセントの「味方」になるのなら、強力な手札になりそうだ。どちらがどちらの「手札」となるのかはともかく。

そのうち Knowledge is power. とか言い出さないかな。

 

 

サー・クリストン

あー、きみそういうキャラだったの……

という失望がレイニラの顔からありありと読み取れたしわたしも若干そう思った。

クリストンが急にジョフリー(友人いわく「結婚式で死にそうな名前だ」)に殴りかかった理由は意図的に伏せられている。それはもしかしたら次回以降に語られるのかもしれないし、伏せられたままかもしれない。

現時点で想像できることは、

・騎士の誓いを破った罪悪感を抱えていた

・自分の名誉を汚してしまったと考え、名誉を取り戻す必要を感じていた

・自分の名誉についてレイニラが考慮する気がないことに苛立っていた

・レイニラのことを理解しているつもりだったのに全然見当違いのことを考えていたことがわかった

・それはそれとしてレイニラと堂々と結婚できるレーナーのことは気に入らなかった

・自分はレイニラと破局しそうなのにレーナーと愛人関係を続けているジョフリーのことも気に入らなかった

・アリセントにレイニラとの関係がバレて(あのコントみたいなやりとり、笑っていいのかどうかわからなかった)(実際には爆笑した)死を覚悟していた

・どうせ死ぬならレーナーの愛人も道連れにしていいと思った

という感じだろうか。

それに加えて、ジョフリーがクリストンと会話して離れていった後、クリストンの方から口止めしようと話しかけ、何か挑発的または失礼なことを言われた可能性もある。

たとえばレイニラを揶揄するようなこと、あるいは「レイニラだけじゃなく自分とも遊ばない?」的なこととか。

何かしらスイッチが入るようなことを言われた可能性はあるが、それが明かされるかどうかはわからない。

 

これは1話から指摘されていたことだと思うが、サー・クリストンは明らかにジョン・スノウの外見的特徴をなぞっている。今のところあの世界であんな黒髪はクリストンだけだ。髪型もひげも似ている。

そしてクリストンは何も知らないムーブまでジョン・スノウをなぞっている。

彼は彼なりに女性の気持ちを思いやっているつもりでいるが、だいぶ見当違いである。ジョン・スノウも同じだった。彼らはどちらとも「自分の考える女性像」を持っていて、その女性像への思いやりを働かせている。目の前にいる本物の女性が何を考えているかについて正確な洞察はできない。またその結果、事態を悪い方へ進展させる。

さて今回アリセントに自害を止められたクリストンだが、今後はどこまでジョン・スノウをなぞってくるのか。

 

 

王の小指

今週の王の小指コーナー。

ていうか小指がどうとか言ってるレベルじゃないくらいに王が死にそうなんだが。

まあここまで毎週王の小指コーナーをやってきたんだから、王が死ぬまでは続けるか。

もう小指も薬指も完全にダメな感じ。手のひらの方にも腐食が進んでしまっている。

王が死ぬのが先かレイニラの結婚が先かみたいな展開になってきたが、とりあえず今週で婚姻の儀はすんだのかな。

今回、横たわった王の姿勢が1話での出産時のエイマを思わせて「もうアカン……」という気にさせてくれた。

ヴィセーリスは「宴で何百年も歌われる」王になりたかったようだが、お前そんなキャラじゃないやろ。

というかそんなキャラじゃないからこそここまで数十年間(一応は)平和な時代を築けたわけだろ。王の手の言うことが正しいと思うぞ。

試練は望むものではなく降りかかるもの。もしヴィセーリスにサンサやアリアみたいな試練が降りかかったら序盤(人生の)で死んでるだろうし、戦乱の世で狡猾に生き延びるタイプの王にも見えない。

まあ、そういうことも自分でわかった上でのあの言葉だったのかも。つっこみ待ちというやつだったのかもね。王の手はあんまりノリがよくなかったが。

 

で、誰が毒を盛ったんですかね?

もしあれが誰かの意図したことだったとして、それが判明するのはやはり数シーズン先かもしれない。

いややはり「王を拒絶する舞台装置としての鉄の玉座」だったということなのかもしれない。

ここまでそれっぽい示唆のあるキャラが全然出てこないので舞台装置説が有力なのだろうか。

近いうちにレイニラの役者さんが大人バージョンに交代するようだが、そのときにまた時間が大きく過ぎるなら、その前に王が亡くなることになるのかな。

ヴィセーリスがときどき見せる「ニコッ」という人懐こい笑みが好きだった。あれが、王としてヴィセーリスが持つ唯一にして最大の武器だったのかもしれない(もう死んだみたいな言いぐさ)。

 

ssayu.hatenablog.com

ssayu.hatenablog.com