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エデンあるいはディストピア「ハーヴェステラ」感想2

「ハーヴェステラ」はたぶん中盤の盛り上がりにさしかかり、おそらくこのへんから後半ということになるっぽいところ。

相変らず連日の緊急事態は続いているが、主人公にとって何よりも優先するのは仲間の危機よりも世界平和よりも睡眠時間である。次が畑と家畜の世話。次が魚釣りで、その次くらいに仲間とのサブイベント、それから仲間の危機を救うこと、くらいかな。もうこの主人公の倫理観はこれでいいことにしている。

仲間のサブクエストもメインクエストも、いよいよ話がSFめいてきた。

なんか若干この前やったゲームのシナリオに近いのではないかという気がしているのだが、どうなのかな。

たぶんこの世界の人々には突拍子もないSFなのだが、プレイヤーにとってはある程度なじみのある「いわゆるSF」的な世界観なので「登場人物たちとプレイヤーの間の知識レベルの差を楽しむ」のを前提にしながら作られているようだ。

つまりプレイヤーはどちらかというと「魔族」側に近い視点から、無知蒙昧な人類の右往左往を楽しむことになる、みたいな。

それが行きつく先はどこになるのかはまだわからないが、この手の生産系ゲームはクリア後もやりこみ的な形で永久に生産を続けられることが多い。このゲームもその類いのものであれば、シーズライトとこの世界は永久にこのままということで収まるのだろうか。それで本当にいいのかどうか。

よくわからないまま、冒険は続く!

以下、第6章開始時点までのネタバレ感想。季節は冬の1日目。

 

 

 

 

本当に腹の減るゲーム

 

 

 

月なのでは?

このゲームをやっていていちばん驚いたのがこのシーン。

海底にアメリカ国旗が刺さっていた! という発見。

発見したハイネはこれを「過去に海底まで到達した誰かが残した足跡」と受けとめ、冒険を続けるためのきっかけにしたようだが、そんな前向きなイベントかこれ??? どう考えてもこれ人類が滅んだ後の世界でしょ。ハイネも科学者ならまずは「過去に海底まで到達した文明はなぜ今存在しないのか」を気にしてくれ。

このイベントの前からすでに、アリアや魔族がチラチラ漏らしてくるセリフからポストアポカリプス的な世界であることは察せられたのだが、これが割と決定的だった。

この旗がわたしの知るものであるならば、この世界は月だということになる(実際にはもうすでにあの旗は太陽の紫外線に晒されて真っ白になっているようだが)。「ロストガイア」という言葉から察するに、地球の文明が滅んだか、滅ぶのが確定的な段階で、人類という種と文明を保存するために月に移住したということだろうか。

それも人類自身の選択というわけではなく、「魔族」=機械生命体っぽい彼らによって計画・実行された感じだ。

「魔族」にも黒いのと白いのの二種類がいる。この計画を計画・実行したのは白いのっぽい。で、人工的に作られた文明を管理・運営していくためのサポートチームが黒いのってことかな。

月よりも人類が暮らすのに適した大きさや大気、土壌構成の星を探して移住した可能性もあるが(というかそちらの方が現実的な気はするが)、そうだとしたらあんな有名な旗をわざわざ出す意味がないしなー。

 

 

場所移動なのでは?

そう考えると必然的に、アリアが来たのはこの世界の「未来」ではないことになる。

時間移動ではなく単に場所移動しただけなのでは?

あるいは人類が滅ぶ前にコールドスリープか何かで保存された肉体がこの時代・場所で目覚めたということでは?

だからこそ彼女は「魔王」、つまり「魔族」=機械生命体っぽい連中を作って彼らに命令を出した「人類」の生き残りということになるのでは。

黒魔族たちはロストガイアがロストしていることを知らないままこの世界の管理を任されていて(そんなことってある? という気はするのだが)、世界の真実とやらを知ったガイストさんは「偽りの世界を滅ぼして人類再建だ!!」と決意してしまった感じかな。

前回の感想で「大人はどいつもこいつもディスコミュニケーションが過ぎるし、子供はどいつもこいつも理路整然としすぎている。大人と子供にグラフィックの差はあるが、能力的にはほぼ同一の存在なのではないか」と書いたが、魔族によってアベルがそういうふうにデザインされ、管理・運用されているのなら納得できる。

 

魔族たちは人類が戦争を起こさないように食糧生産を安定させ、シーズライトを与えて便利な生活を実現させ、宗教を作りだすことで倫理的規範を与えた。戦争は発明の母であり、戦争が起これば文明が発達してしまう。彼らは人類をこのままの状態で保存しておきたいっぽいので、こうしておけば戦争は起こらず文明も発達しないということらしい。日常に不便がなければ、たしかにこのまま文明は発達しないかもしれない。

しかし平和で食糧供給が安定した社会でまず起こるのは人口爆発だ。そして人口爆発から起こることは結局、食糧と土地の奪い合いだ。もし本当にここが月なのであれば、人口爆発に耐えられるだけの土地はすぐに尽きるだろう。

だからもし本当にこの世界をこの文明水準のまま1000年以上キープしているのだとすれば(というか月面で文明の再建→滅亡の試行を数百回繰り返していてももう驚かんぞ。そういうゲームをやったばかりだし)、ほぼ間違いなく魔族は人口の間引きを行っている。

あの世界の文明水準を現実の中世~近世程度だとすると、ひとりの女性が5人以上の子供を産むのも珍しくない(乳児死亡率が今とはくらべものにならないほど高く、成人できるのはわずかである)。その中で2人以上が育てば儲けもの。

レーテの村にはひとりっ子しかいない。

そして子供はみんな後先を考えず危険な場所に行こうとする。

そういうふうにデザインされてるってことかなあ。あるいは何か危険な場所を好むような価値観がこの世界に浸透させられているとか(まあ現実の若者も割とそうだが)。後先考えず危険な場所に行こうとするようにデザインされた子供たちは、普通は死亡するから人口抑制になるっていう。

あと受精率がコントロールされてたり、実際には現実世界の中世と同程度の乳児死亡率がキープされてたりするのかも。衛生状況がそこまでよくなさそうだし、医療の専門家も多くはなさそうだし、「母子ともに健康な出産」は難しいのかもしれない。

「食料生産の安定と人口抑制」を両立させるための人類の管理って、考えれば考えるほど恐ろしいディストピアなんだよな……。

 

この「知らなくてもいい」という態度こそが「死に至る病」ってことだな

 

主人公は何者?

話がこうなってくると、主人公が何者なのかが気になる。

死季の日にふらっと現れて、以前の記憶がなく、倫理観は壊滅、謎の少女と会話している。睡眠時間さえ確保すれば、何日も飲み食いしなくても稼働可能。

アリアが過去の人類の生き残りだと仮定するなら、主人公はまた別の存在ではなかろうか。医者に診られても異常なし、魔族に観察されてもアベル認定だったから、人類ということで間違いはないのだろうけども。

真っ先に思いつくのは、人類が遺した人口生命体、とか。ほらあのドラゴンコントローラーみたいな。文明再建のためのパーツだったり、あるいは主人公も兵器としての存在だったり?

人と交流しただけで相手の能力をコピーできるのだから、やはり特殊な戦闘を想定した兵器かもしれない。魔族が誰も主人公の存在を特殊だと認知していないのは、ごく少数による極秘プロジェクトだったから、みたいな。

あとはなんだろ、あの羽虫たちと同じような妖精さん的存在とか。ていうかあの羽虫は何なんだろ。アリアにもよくわかっていないということはアリアの時代にも一般的でないようだが。あれもシーズライトの管理用に作られた人口生命体なのか?

ローレライやペガサスも人口生命体っぽい。ペガサスは実験室云々と言われていた気がする。羽虫がローレライの言葉を理解できるのは、人口生命体同士は言葉が通じるというか、同一のプログラムで運用されてるみたいな?

いろいろ気になるところはあるものの、今後も農業最優先で(とはいえ、冬はあまり育てられる作物がなさそうだが)ぼちぼち冒険を続けていこうと思う。

 

 

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