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ENDWALKER 歌詞解釈「ファイナルファンタジー14」プレイ日記・36

「暁月のフィナーレ」のメインテーマ ENDWALKER の歌詞が、本編に先駆けて公開された。

jp.finalfantasyxiv.com

いいの? 先に見ちゃっていいの?? と思いつつ歌詞を見て、歌詞を見ながら曲を聴いて、情緒が塵となり燃え殻となった。なんでこんなことするんですか???(自分の墓を掘りながら)

こんなの……サントラ発売を待てないじゃん……ENDWALKER だけ音源買っちゃうよ! えっ、もうすぐ ENDWALKER だけ発売するんですか? やったー!!

 

さて塵となった情緒をかき集めて何か文章めいたものを書こうとしているのは、ひたすら自分のためのセラピーであり、暁月のシナリオを可能な限りの最大火力で受け止めるためでもある(最大火力になるのは自分ではなくシナリオなので、わたしの方はデバフ5スタックに強衰弱がついた状態で受け止めることになる)。暁月公開までもうしばらく時間もできたことだし、この歌詞をゆっくりかみしめながら待とうではないか。

ただ Shadowbringers の歌詞のことを考えると、わたしがこういうことかなという解釈ができるようになったのは5.0クリア後、自分の中で一応の納得ができるようになったのは5.55クリアからさらにだいぶたった後だったので、現時点で何を考えたところで答えにたどり着けるとは思っていない。

※参考:

ssayu.hatenablog.com

しかしあの歌詞を見て現時点で思っていることを書き残しておくのは、未来のわたしの考察のヒントにもなるだろうし、今のわたしのいてもたってもいられない気持ちをどこかにぶつけておきたい気もある。

というわけでいってみよう。

当然ながら5.55までのネタバレ注意!

 

 

 

www.youtube.com(ENDWALKER を流しながらお読みください)

 

歌詞の時系列

新生

ENDWALKER の歌詞は、概ねFF14のたどってきた歴史通りに進行している。

(以下、歌詞引用元はすべて 

https://jp.finalfantasyxiv.com/blog/003236.html

Stories sown along the way
Tales of loss and fire and faith
 旅しながら蒔いてきた、物語の種
 冷たい哀しみと、焦がすような歓び、温かな信頼が実った

これが新生。名もない冒険者が英雄になっていくまでのことを歌っているのかな。

 

蒼天

次の部分男性コーラスは、トレイラーを見たときは何を言っているのかわからなかったけど、これ竜語だったのか。そりゃわからん!

日本語に訳すと「我らの眠りは妨げられた 復讐は我がものなり」という感じなので、これは竜詩戦争時代の竜視点の歌詞ということになる。つまり蒼天フェーズ。

旋律もイシュガルドのテーマがそのまま使われていて、トレイラーではそれにあわせてヴリトラエスティニアンが登場する。熱い。いやこのフレーズの始まりにはちゃんと氷の結晶が映っており、クルザスの「寒さ」もちゃんと示唆されている。

……と思うのだが、本当にそうなのかはまだわからない(疑心暗鬼)。ハルドラスとニーズヘッグ、ラタトスクのすれ違い(竜騎士80クエスト参照)は、「眠りを妨げた」というのとは少し性質が違うような気もするのだ。

 

紅蓮

その次の連は一言目から「紅蓮のリベレーター Stormblood」である。

Storm of blood, born from blood, of our fallen brothers
Thunder stilled, oaths fulfilled, now we yearn for freedom
 斃れた我らが同胞より生み出されし血の嵐
 雷が収まり、誓いが果たされた今、自由を目指さん

トレイラーではヴリトラの吐く「炎」から始まるこの旋律。クガネを初めとする紅蓮のテーマにのせた力強いシャウト。(アサヒの顔をした)ファダニエルとゼノスもここで登場。

この連と次の連は一読して紅蓮の戦いを振り返るもののように見える。

ただチラチラと違和感もあるのだ。

「雷が収まり」の「雷」って何? 「誓いが果たされた」って何のこと? 紅蓮にそんなシーンあったっけ? わたしが忘れてるだけか?

ギラバニアはときどき雷天候になりイクシオンも出る(まだマウントとれません!!)が、それをここで歌詞にするだろうか。

「誓い」もよくわからない。ヒカセンや暁のみなさんが何かを誓ってそれが果たされたような描写ってあった?

ドガルズオルムとハイデリンのことかとも思ったが、あれは正確には「契約」だったはず。「契約」は「誓い」とはちょっと違うような。

ここはもしかしてわたしたちがまだ知らない何かについて歌われていないだろうか。何かとは何なのかわからないけど。

現時点でわたしが知っていることから考えるならば、たとえばここは古代人あるいはファダニエル視点の歌詞だったり、とか。

「斃れた我らが同胞より生み出されし血の嵐」とあの旋律にのせて歌われたら、みんなこの「同胞」とはアラミゴやドマの民のことだと考えるところだけど、古代人が終末について語っているとも解釈できないかな。

その場合、「雷」は終末の獣が生んだものだし、「誓い」は……いや誓いはやっぱりわからんな。十四人委員会がゾディアークと交わした、あるいはヴェーネス派がハイデリンと交わした何かだったり?

そう考えると、↑の蒼天フェーズで歌われた「眠りを妨げ」「復讐」云々の部分も、竜詩戦争以外のことについて歌っている可能性もある。竜詩戦争よりずっと前、あるいはこれからのこと?

わたしはまだどういう経緯でヴリトラエスティニアンが一緒にいるのか知らないのだが、竜族がこれから起こる終末の戦いに乗り出す理由がここで歌われていたりしないかな。特にこの「Death comes 死は来たれり」なんか、ちょっと終末っぽい感じではないか。

 

漆黒

その後シャーレアンパートをはさんで、かすかに漆黒パートが挿入されている。

One brings shadow, one brings light
Two-toned echoes tumbling through time
Tumbling down to the never
 一人は影を、もう一人は光をもたらす
 二色の残響が時を転がり落ちていく
 ――永久に転がり落ちていく

おなじみのあのフレーズなのだが、最初はこれに気づかなかった。おそらく意図的にこの部分は囁き声にされ、楽器のボリュームにかき消されている。

しかし直前のシャーレアンパートで higher, oh higher とあれだけ高らかに歌ったあとなのに、「永久に転がり落ちていく」ときた。そもそも Shadowbringers が We fall をリフレインしているのに対して ENDWALKER は higher, oh higher で、ここははっきり対比になっていると思うのだが、まさにその影になるように漆黒の歌詞も隠れていた。どういうことなんだ、わからん(即堕ち)。

しかもね、higher, oh higher と歌いながら、トレイラーのその場面ではカメラはどんどん下降していくわけ。特に二度目の higher, oh higher は地下書庫に潜っていくシーンなのでわかりやすい。普通の人がこの曲を普通に演出するなら、絶対カメラワークは逆にするでしょ? これは何を意味してるんだ? わからん(即堕ち)。

暁月でも We fall な展開は絶対あるだろうという確信はあるのだが、それだけではなくて、たとえば……。

暁月は「月」という higher に行くことがもうわかっているわけだが、もしかして行くのは上方向だけではないのでは、そして重力方向に進むというのは必ずしも「降りる」という行為ではないのでは、みたいなことは考えられないだろうか。

なぜそんなことを考えるかというと、先日公開されたローンチトレイラーの影響である。

www.youtube.com

この中でエメトセルクの声が「せいぜい惜しんで進むがいい。その旅の先、星と命の沈む海底に真実は待つ」と言っている。

また海底に行くんですか?! 原初世界にも「冥き海の底」があるんですか?! 「星と命が沈む」場所って冥界のこと?! とかいろいろ聞きたいことはあるのだが、とにかくわたしは higher だけが暁月じゃない説を推していくぞ。

このナレーターをしているエメトセルクがいったいいつのどういう状態の彼なのか、本編で判明するといいと思っているが、仮に「今」のエメトセルクが冥界からヒカセンをリアルタイムで見てペラペラしゃべっているものとするならば、彼は「真実」を知りながらヒカセンたちにすべてを語ってはいなかったことになる。

終末が起こってからゾディアークが召喚され、ハイデリンが召喚され、世界が分割される流れの中で、離反したアゼムはいったい何をしていたのかという部分について、エメトセルクは何も語らなかった。

「聞かれなかったから」なのかもしれないが、「話すと何か不都合があったから」あるいは「ゾディアークに禁じられていて話すことができなかったから」という可能性もある。海底にある「真実」というのは、何かゾディアーク側にとって都合の悪いものなのかもしれない。

今のエメトセルク、おそらく魂を砕かれてゾディアークのテンパード化が解け、WoL戦ではゾディアークに「叛逆」することすら可能になった彼なら、ヒカセンが「真実」に触れることも許容できるはず。

 

シャーレアン

で、ここに漆黒フェーズがあるということは、だ。

紅蓮と漆黒の間にシャーレアンがあるということになる。

この構成にしたことには絶対に意味があると思うのだが、それが何なのかはまだわからない。紅蓮と漆黒の間のシャーレアン要素……エウレカ?(わたしはまだピューロス編である)

これまで数々の人が、古代とシャーレアンの間のつながりを指摘してきた。アナイダ・アカデミアにはシャーレアンの巻貝を思わせる意匠があるし、アニドラス・アナムネーシスで手に入るのはイディル装備の色違いだ。アナイダ・アカデミアで生育されていた生物は、モシャーヌ植物園にいたものと共通点が多い。誰がどう見ても「何かある」のだ。

シャーレアン黒幕説、シャーレアン箱舟説、シャーレアンヴェーネス派説などいろいろあるようだが、わたしもシャーレアンは古代から何らかの使命を帯びているものだと思っている。そしてこの歌詞を見る限り、その使命は「希望」のあるものだと思えるのだ。

Our song of hope, she dances on the wind higher, oh higher
E'er our vows endure, and remain forever strong
Standing tall in the dark do we carry on
 希望の唄は風に乗り、天高くへ舞い上がる
 約束はいつまでも消えず、確かに残り続けるだろう
 困難の中でも、胸を張って生きてゆけ

On wings of hope, you rise up through the night higher, oh higher
Carrying our song, cradled fast within your arms
That its chorus might ring for all
 希望の翼に乗り、あなたは夜空へ舞い上がる
 その腕に抱き、私たちの唄も運んでいって
 すべてに響き渡るように

ENDWALKER を最初に聴いたとき、higher, oh higher のところでぶわーーっと泣いてしまったのを覚えている。初めて見る場所のはずなのに「ずっとここに来たかった」と感じ、その感情にこの曲がのって、感極まったのだった。以来、ここを聴くたびに涙腺が刺激される。それくらいこのシャーレアンフェーズはインパクトが強い。

歌詞にある「約束」というのは、誰と誰が交わしたものなのか。それが古代から現在に至るまで守られ続けたものであり、シャーレアンの「知」の根幹をなすもののはず。それは in the dark とか through the night の部分から察するに、いずれ再び来るであろう「終末」のときに「何か」をする「約束」なのだろうが、具体的に何なのかはまだわからない。

それが暁月のシナリオの最大の盛り上がりのひとつだと思っているから、ここであれこれ予想はしないでおく。わたしが気になっているのは別の部分だ。

繰り返し出てくる our song というフレーズ。それに続く its chorus というフレーズ。

これを見てわたしが真っ先に思い出したのは、To the edge のこの歌詞である。

パッチ5.3討滅戦の歌詞を紹介します! | ファイナルファンタジーXIV: 公式ブログ

As our song wends dead underwater
We're forgotten for now and evermore
 我らの歌が水底で死んでいくように
 かつての人は忘れられるのだろう、永遠に

これはエリディブス、あるいは古代人みんなの嘆きだ。シャーレアンパートのあの歌詞は、この嘆きに呼応するものではないのか。

彼らはこんなふうに嘆いていたけれど、実際には彼らの歌は「約束」とともに忘れられることなく、remain forever strong なのだ。きっと。

またこの song が単数形になっているということは、古代にうたわれた歌全般ということではなく、何か特定の歌のことなのかもしれない。その特定の歌が「約束」とも関係していたりするのかも。

さらに、それはひょっとしたら、ENDWALKER の日本語タイトルに「フィナーレ」と音楽用語を使ったこととも関係があったりするのかも。

 

暁月

漆黒フェーズの後の部分はそのまま暁月で起こることの示唆だと思われる。

Every step we take
Echoes in our wake
Winding 'round our fate
To forge ahead
 足跡を一歩刻むたび
 この背に響く声
 『私たちの命運も巻き込んで
  前へ進め』と

この「私たち」というのは、普通に考えれば同時代に生きるヒカセンの味方のことだろうけれども、漆黒をクリアしているとここに古代人も含まれるように思える。

 

歌詞の時系列はだいたいこういうことになっているわけだが、そうなるといちばん初めにすっとばした曲の最初の部分はいったいいつのこと? という疑問が残る。

この歌詞がFF14の歴史をたどっているのだとしたら、新生の前部分は第七霊災以前のこと? という気もするのだが、歌詞を見る限りなんだか違う(わたしは旧版はやっていないので正確にはわからないのだが)。

Heart of ember, autumntide
Cooling swiftly, bleeding light
Smold'ring softly, biding time
Marching forward, left behind
 暮れゆくころ、燃え尽きかけの心
 疾く冷まし、炎は消して
 穏やかに燻り、時を待つ
 進んでいながらも、取り残されているかのよう

なんだろうこれ? 「autumntide 暮れゆくころ」っていつ? 「時を待つ」って何を待ってるの?

曲調は穏やかながら、歌詞を見るとなんかこう、「終わり」が示唆されているようではないか。曲の冒頭なのに。

Fire as shadows clash
Forgotten footfalls engraved in ash
Fire will be repaid
'Fore our echoes begin to fade
 死にゆく者が散らした火花
 灰に刻まれた忘れられし足跡
 いつかまた炎は灯るだろう
 人々の声が聞こえなくなる前に

 

Fade away... Fade away...
 消えていく......失せていく......

ここだけ見ると、第七霊災時代の歌に見えなくもない。

でもむしろ古代の「終末」をうたっているものと捉えた方がしっくりこないだろうか。

この冒頭部分、ひょっとしてアゼム視点だったりしない? つまり十四人委員会から離反して、ハイデリンに分割されるまでのどこかの時点のアゼム。

で、ここまで考えて思いついたのだが、フルトレイラーの冒頭で月を歩いてるフードの男って、ひろしではなくアゼムの可能性はない?(つまりひろし時空のアゼム)トレイラーの冒頭とラストの間に12000年の開きがある叙述トリック的なやつだったりしない? ひろしとアゼムなら顔が同じだったとしてもアンフェアではないだろう的な。

そう思ってトレイラーをガン見したのだが、決定的な証拠はない。両者の違いといえば、最後のひろしが身に着けているマントのフードには青いステッチが見えている(5:24)が、冒頭の男がかぶっているフードにはそれが見えない(0:30)くらいだろうか。あとフード生地の材質も微妙に違うように見えるが、意図的なものかどうかはわからない。

あとは冒頭で月から見える星は検閲でも受けたみたいに真っ白だが、最後に見える星は青い惑星だ。前者は終末を迎えつつある星(あるいは14に分割されようとしているところ?)、後者は現在の惑星ハイデリンだったりしないかなあ。

冒頭で月を歩くあの男のシルエット(0:32)が非常にアシエンめいているというのは誰もが認めるところだと思うが、もしかして本当に古代人だった可能性もあるのでは。

ちなみに歌詞が「灰に刻まれた忘れられし足跡」とうたうとき、トレイラーの画面でも足跡が刻まれている(0:42)。本当にこれが「忘れられし足跡」そのものなのだとしたら、やっぱりひろしではなくアゼムっぽくない?

この曲のタイトルが Endwalker - Footfalls だということを考えると、この「足跡」はとても大事なもののように思える。ヒカセンがゲーム本編で月に行った際、かつてつけられたこの足跡を見つける展開があったりしない?(この灰の質感だと足跡が12000年も残るのは無理がある気もするが)

問題は、「月」が生まれたのはゾディアークがハイデリンに放逐され封じられたとき、つまり世界が14に分かたれたときで、そのときアゼムの魂も14に割られたはずなので、アゼムが月を歩いたことはなかったはずでは? ということか。

だとするとやっぱりあれはひろし……(ふりだしに戻る)。

(211113追記)

いや、でもハイデリンキックとぴったり同時に月ができて世界が分割されたわけではなくちょっとタイムラグがあったかもしれないし、世界の分割は徐々に起こったのかもしれないし、アゼムが月に行った可能性もなくはないとも思うのだ。

それくらい、あのトレイラー冒頭は「あのフードにステッチがあるか?」を凝視する人がいることを前提としたギリギリのカメラワークになっていて、冒頭のフードの男と最後のナイトが別人では? と考える人がいることを作り手が想定しているのは間違いないと思っている。

(追記ここまで)

 

Heart of ember, autumntide
Burning brightly, hot and white
Kindred severed neverwhere
Sorrow's silence, we needn't bear
 そして結実のころ、まだ微かに燃えている心
 熱く白く、明るく盛りだす
 絆はもはや断たれることなく
 悲しみの静寂を纏う必要もない

ただやはりこのへんの歌詞を見ると、十四人委員会とは別に何かをしていたアゼム視点ではないかなとも思える。そのときの「結実」がシャーレアンだったりとか。

Heart of ember, autumntide というフレーズは二回出てくるが、一連目では「暮れゆくころ、燃え尽きかけの心」と訳され、四連目では「そして結実のころ、まだ微かに燃えている心」と訳されている。autumntide とはもともと「秋の頃」というくらいの意味になるが、そういえば暁月は本来2021年秋発売予定だったな。

 

先日公開されたローンチトレイラーでは、わたしたちが見ることになる「終わり」とともに「始まり」についてもチラチラと言及されていた。これから訪れる終末を止める前に、まず「前回の終末」(形容矛盾な気もするな、このフレーズ)を知ることになるとは誰もが予想するところ。この歌詞の最初と最後は「前回の終末」と「今回の終末」をうたったものではないかな、というのが現時点でのわたしの予想だ。

 

 

日本語の人称代名詞の多様性

ここまでですでにだいぶわたしの情緒は塵となっているのだが、暁月では墓まで燃えつくされることになりそうだなと確信したのはこの歌の最後、転調したあとの部分だ。

Fearless hearts ablaze
(When the world comes crumbling down)
No more time to waste
(Know I'll be there)
No, it's not too late
(Though our fleeting moment has gone)
To forge ahead
(You're not--you're not alone YEAH)
 果敢な心が燃え上がる
 (世界が崩れ落ちるときにも)
 もうぐずぐずしている暇はない
 (お前のそばにいる)
 遅すぎるなんてこともない
 (私たちは過ぎ去ったけれど)
 ただ前へ進め
 (君は決して、独りじゃない)

ふたつのパートがかけあいになっているこの歌、メインでうたわれているのはヒカセン視点の歌詞だろうか? この後の部分では一人称複数主語 we が使われているから、ヒカセンだけではなく暁や、この戦いに臨むみんなの歌なのかもしれない。

しかしそれにしてもこの和訳の妙よ。

「お前」「君」そしてこの後の連で出てくる「あなた」と、二人称代名詞がきっちり使い分けられている。

日本語の人称代名詞の多様性についてはわたしが語るまでもない。単なる文法上の人称代名詞としての機能だけではなく、それぞれが独自の意味、ニュアンスの違いを持つ、ほとんど一般名詞のようなものになっている。どの場面でどの人称代名詞を使うかは、自分と相手との社会的な関係性によって決定される。

日本語のわかる人なら自然と、この()の中の歌詞は、それぞれ別の人物の言葉なのではないかと想像するだろう。それも「私たちは過ぎ去ったけれど」から察するに、全員死者なのではないか。

すでに「過ぎ去った」人物の中でヒカセンを「お前」呼びする者といえば、まずエメトセルク、それにオルシュファンが思い浮かぶ。「君」と呼ぶのはパパリモだし(ヒュトロダエウスは「キミ」って呼ぶんだよな)、「あなた」はミンフィリアだろうか。

蒼天でエスティニアンを救ったときのように、彼らのエーテルの残滓は今もヒカセンを見守っていてくれるはず。「そばにいる」がいったいどういうレベルでの「そば」なのかはわからないが、彼らともう一度、何かつながりを感じられる演出があったらとても嬉しい。

あと we'll be there ではなく I'll be there なのは気になる。見守ってくれている人は複数いそうな雰囲気なのに、そこにいるのはひとりだけなのか? 「世界が崩れ落ちるとき」、そこにいるのはやっぱりエメトセルクなのか? 

 

そして最後のこの連。

As we ride again
(As you turn your eyes to the stars)
To another end
(Oh, I'll be there)
Where it all begins
(With my chorus guiding you)
Forge ahead
(Forge ahead)
 再び乗り出そう
 (あなたが星を見上げたとき)
 別の終わりへ
 (きっとそばにいる)
 新たな始まりでもあるその場所へ
 (この唄が導くから)
 ひたすらに進め
 (前へと、進んで――)

気になるポイントは三つ。

ride という動詞を見ると、もう自動的に Shadowbringers の Home riding home を思い出してしまう。つまり As we ride again と言われると、古代人の帰るべき場所に「古代人として(つまりアゼムとして?)」乗り込むように聞こえてしまう。このへんは「海底」云々と絡んでくるのかも。

「Shadowbringers」の歌詞を公開します! | ファイナルファンタジーXIV: 公式ブログ

 

(211114追記)

歌詞が頭に入った状態でローンチトレイラーを見直すと、「光に佇む淑女(Lady of light で LOL 呼ばわりされているのが面白い)」が「前へ進め forge ahead」と言っている。もしかしたら最後の4連は彼女視点の歌詞だったりするのかも。

彼女がそのまんま古代人だとしたら、As we ride again とか To another end とか言うのも納得である。

(追記ここまで)

 

それから To another end とは何を指すのかという点。第八霊災とは別の結末なら、もうすでに決定されているはず。「終末」の行きつく先、という意味だろうか。「前回の終末」とは別の結末へ、という意味かな。

 

最後に With my chorus guiding you、これ。

ここでまた歌なのか。

わたしの先入観は、どうしても歌と古代を結びつけてしまう。

しかも my chorus っていったいどういうこと? chorus って合唱のことだよね? ひとりでは無理だよね? どうして our chorus じゃなくて my chorus なの? 今まで our song と歌ってきたのにどうしてここだけ一人称単数?

どうしよう、エメトセルクが急に歌いだしてミュージカルみたいな感じでヒカセンを導いたりしたら……。

わからん……暁月が見えない……。

でもわたしの情緒が塵となりプレイの翌日が燃え殻となるのは確実だということはわかる。

長々と書いたおかげで歌詞も大体頭に入った。これで暁月本編に似たようなフレーズが出てきたときにギエーーー! と叫ぶ準備はできた。

もう……早く……ひと思いにやってくれ!! という気分だが、もうしばらく待つしかない。

わたしは暁月の発売延期のおしらせを聞いてから、思いがけずできてしまった空白の時間をうめるために『はじめてのプラトン』とかいう本を買ってきてお勉強している。古代の思想にはプラトンイデア論の影響が明らかなので。ギリシャ哲学とギリシャ神話のおさらいをやっていれば、そのうち暁月の発売日になるだろう。

ヒカセン各位も体調に気をつけて、暁月を無事迎えられますように(暁月後の情緒が無事とは言ってない)。

 

ssayu.hatenablog.com

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