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デナーリスとサーセイを比較する「ゲームオブスローンズ」S8E1感想

2年前、S7終了直後のわたしはこんな記事を書いた。

ssayu.hatenablog.com

見た直後でないとこんな熱の入った文章は書けないよなあ、と今でも思う。

で、8-1を見た直後のわたしは最初、今度はサンサとデナーリスを比較して何か書いてみたいと思った。二人の出会いとサンサの冷たい美しさが最高で、いろいろな意味で今後に期待できそうだったので。

だが考察を組み立てる途中で、今のデナーリスと比較するならまずはサンサよりもサーセイの方が面白いかもしれないと思った。そんなわけで今日はこのふたりについて書いてみたい。

最初に断っておくがわたしは公平、中立な記事などというものは端から目指しておらず、全力でピーター・ベイリッシュとサンサを推している。そんな人が書いた記事だと思ってお読みください。

ネタバレ注意。

 

 

 

三人の子供

デナーリスとサーセイには、ともに三人の子供がいる。

デナーリスにはドロゴン、レイゴル、ヴィセ―リオン

サーセイにはジョフリー、ミアセラ、トメン

どちらの子供もめちゃくちゃ人を殺す。ジョフリーについては言うまでもない。ミアセラは殺していないが、トメンは国を乱れさせて結果として大量死を招いたとも言える(なお大量死の主犯はry)。

しかし殺した数でいえば、ドラゴンたちの方が多いと思われる。戦争とは無関係にエサになってしまった無辜の民もいましたなあ。

そして母としてのふたりはどちらも、子供たちのことを愛している。その子がどんなに人を殺そうとも。ただしサーセイは最終的に自らトメンの死を招いたが。詳しくはこちら。

ssayu.hatenablog.com

 

子供の利用

デナーリスもサーセイも、自分のためにめちゃくちゃ子供を利用する。

サーセイは王宮の中での立場を保持するために、スタニスではなくジョフリーがロバートの跡を継ぐべきだと主張した。これはうまくいき、彼女の立場は守られた。

その後いろいろあって、結局サーセイはトメンを犠牲――というか、率直に言って踏み台にして、自分が女王になった。

今のサーセイの立場は、

ラニスター家という出自→ロバートとの結婚→ジョフリー戴冠→トメン戴冠→不幸な事故(棒)による国王崩御からの女王即位

という経緯で掴んだものだ。

デナーリスの方はもっとわかりやすく、子供たちを兵器として利用している。あの子たちがいなければデナーリスの今の立場はない。彼女が自分自身の力で引き入れた味方はどれだけいるだろうか。ジョラー、ミッサンディ、ティリオン、ヴァリスあたりはデナーリス本人の魅力、カリスマ性にひかれたと言っていいだろう。グレイワームもそこに入れていいかもしれない。

だが彼女の軍の多くは、彼女そのものというよりはドラゴンに従っている。特に BEND THE KNEE を連発するようになってからのデナーリスは、魅力やカリスマ性というよりは恐怖によって相手を従わせているように見える。ターリー親子の処刑はわかりやすい見せしめだった。

わたしの中ではデナーリスよりもサーセイの方がはるかに好感度が高い。「全部自分のためだった」「そうしたかったからそうした」と認めた上で、自分の欲望を満たすために女王になったサーセイ。彼女は自分の邪悪さをわかっていて、その上でずっと否定し続けてきた自分の率直な欲望と向き合い、自己実現を果たした。

それに比べるとデナーリスは「ターガリエン家」としての建前を掲げ、自分の戦いを「正しいもの」と認識しているように見える。やっていることはかなりサーセイに近いのだが。

 

ただサーセイの子供たちがジェイミーとの浮気&近親相姦のコンボで生まれたのに対して、デナーリスは初めて愛し愛された者の喪失・庇護下からの脱却・自我の獲得というコンボで生まれている。この違いについては、物語構造上常に一定の考慮が必要だ。

 

子供の喪失

ふたりはどちらも子供を失っている。

ジョフリーについてはまあそうなりますよねという感想だが、ミアセラはひたすら気の毒で、トメンについてはもうこの記事読んでくださいという感じだ。

ssayu.hatenablog.com

↑の記事でも書いたとおり、サーセイがトメンのことをあきらめてしまったのは、「子供は全員死ぬ」という予言の影響もあったことは指摘しておきたい。どうせ逆らえない運命なのだと思った彼女は、せめて自分が弟に殺されるという予言だけは回避すべく全力で動いたということかと今は思っている。

 

ヴィセーリオンの死からのゾンビ化は、S7最後の衝撃だった。

デナーリスが子供を失うのは、実は二度目になる。最初に失ったのはカール・ドロゴとの子供だ。

8-1を見ていて、かつこんなふうにふたりを並べてみて思ったのだが、デナーリスはドロゴンとレイゴルも失うことになりはしないだろうか。今のわたしは割とその展開を望んでいる。

子供をすべて失ったデナーリスに、何が残るだろうか。今まで恐怖で従わせていた人々は彼女にどんな態度をとるだろうか。ドラゴンではなく彼女自身に BEND THE KNEE する人はどれだけいるだろうか。

きっとサンサは跪かない。少なくとも今のままのデナーリスには。サンサを暴力で押さえつけてきた人はみんな死んだ。サンサは暴力に屈さない

自らの決断で子供を犠牲にするようなサーセイの「強さ」がデナーリスにあるだろうか。

ジョンはデナーリスが武力を失えば「人類を守るために結束する」という大義名分も失うことになるが、それでも彼女に跪くのだろうか。前の記事でも書いたとおり、ジョンが彼女に跪くのはそんな大義名分が理由ではないから跪くかもしれない。出自を知ってしまった今、そこがどうなるかはわからないが。

ドラゴン二匹でホワイトウォーカーをドーンと吹っ飛ばして世界が平和になりました! などというハッピーエンドを、わたしは期待していない。

少なくともレイゴルはどこかで死ぬのではないかと思っている。

そのフラグが、8-1のドラゴンたちの食欲不振なのだろうか。

彼らはなぜ食べないのか。北の気候が肌に合わない?(暑い地方生まれだし仕方ないかも)お母さんが新しい男を作ったせいで情緒不安定?(割とありえると思うんだ、あの描写を見ていると)兄弟が目の前で殺されたせいで情緒不安定?(これもありえると思うんだ、生まれてから一度も離れたことのない兄弟だったから)

デナーリスはドラゴンが最強の兵器であることを疑っていないが、ひとり失った時点で彼らが自分の子供であること、大事な子供たちに何をさせているのかをもう一度かみしめるべきだったのではないだろうか。ジョンといちゃいちゃしている場合ではなくて、今は子供たちのケアが大事な気がするのだが、もうひとり失わなければわからないのだろうか。

 

……などと書いてうpしようかと思った矢先に8-2の予告が来てしまった。

おい! わたしはそろそろ寝たいんだ!!

あっそう!!! そっち!!!?!??! そういえばそうだったよね???

ジェイミーはキングスレイヤーで、そのキングってデナーリスのお父さんだったね!!!!! ブラン窓外放出事件の思い出に気をとられてたけど、ジェイミーがデナーリスと出会ったらそりゃそうなりますわ!

いやーせっかくいろいろ書いたけど、全然どうなるかわからんな! ガハハ!

寝よ……。

 

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