なぜ面白いのか

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ファーザー(CV堀内賢雄)の熱演がすごい「オクトパストラベラー2」3章感想・2

ザ・ドラマチック・3章!

盛 り 上 が っ て 参 り ま し た ! !

やっぱりヴィランヴィラン役をきっちり勤めあげてくれると盛り上がりますな!!

楽しい!!!

けどつらい!!!!

以下、キャスティ→ソローネ(父ノ編)→パルテティオ→テメノス→オーシュット(ここだけ2章)の順でネタバレレポ。

 

 

 

 

 

 

こじらせ薬師の人類救済計画

これはこじらせてますわ

キャスティ3章の見せ方はすごくよかったなー!

わたしにとっては、

人無き村がいきなり何の説明もなく登場して腰を抜かす

→キャスティの1章であの村がキャスティ絡みで滅んだことを察する

→あの村で起こったのが流行病などではなく虐殺だと察する

→これから悲劇が起こることを察しながら過去を回想する

という順で見ることになったストーリー。

これから起こる悲劇がわかっていて眺めるのどかで平和なストーリーほどおいしいものはない。この人たちきっとみんな死んじゃうんだよね、と思いながら見るほのぼのストーリー……よかったわ~!

でも馬まで犠牲になるのは悲しかったな。まあ慈悲深いトルーソー的には動物たちにも救いの手が必要だったんだろうね。

マレーヤが死んでたのにはびっくりしたけど、大変納得できた。キャスティの1章でいちばん混乱したところだったから。

マレーヤの行動も謎である。キャスティが海を漂っていたのは数日で? そこからさらに数日をかけて船でカナルブラインに到着して? その間にマレーヤは別ルートで大陸を渡ってカナルブラインに先回りしてたってこと?? キャスティを小舟に乗せるシーンは逃亡中かのように見えたけども、その追手は撒いたってこと? 相当な凄腕では???

新大陸にわたり全主人公の1章が終わる「オクトパストラベラー2」1章感想・3 - なぜ面白いのか

 

これがキャスティ1章クリア時の感想。

どうやってキャスティを逃がしたあとカナルブラインに先回りしたのかと本当に不思議だったのだが、先回りしてなかったとはね! 「○○○ス○○ス」的なあれだったか!

かつてのトルーソーはずいぶん患者思いだった様子が描かれていたが、しかしずいぶんこじらせたというか洗脳されたというか。唆した人がいたことが明言されたので、そのへんでほかのキャラのシナリオと絡んでくるのかな。トルーソーを唆した人が黒の儀式実行委員会の人だった、みたいな。

 

 

ファーザーの熱演がすごい

これ一章のときからずっと思ってたんだけど、ファーザーの声優さん(堀内賢雄さんらしい)の演技がめちゃくちゃいいよね。

一見優しそうで、でも絶対信用しちゃいけない怪しさもあって、親しげで距離が近すぎてなれなれしくて嫌らしくて、底知れない怖さがある。ゲームのキャラにしては妙に早口なのもすごくよかった。全体に緩急が生まれるというか。

しかも口を開けば全部スクショを撮りたくなる名言まみれ(スクショがすごい数になった)。「パンに塗りたくなる」は最高だった。あれやっぱりソローネへの嫌がらせとかじゃなくて、心からそう思って言ってたんだよね。

ファーザーから語られる、恋が始まって終わる物語もなかなかえげつなかった。

前回、母ノ編3章で「ファーザーが実の父親の可能性あるよね」と書いていたので、途中までは「ああ、やっぱり……」と思っていたのだが、もうひとひねりあったとは。

んっふっふ、これは良い悲劇。

でもこれ、本当にそうだったの???

マザーが前のボス=マリエッタをはめて亡き者にしたっていう話だったよね?? ファーザーがマザーに騙されて、自分の子が殺されたと誤解したみたいなことになってない?

ソローネには「ちょっと待った! 何か誤解がある」と押しとどめてほしかったのだが、フラグ管理的な意味でそれはできないんだよなあ……。なにしろこの場面もマザーを倒したのも3章で、プレイヤーがどっちから始めてもいいようになってるから。

実はファーザーはマザーに騙されていて、ソローネは本当は実の娘だったという路線もまだあるような気もしている。しかしここに来てもう一人の男の登場か。ソローネの物語が父と母を殺して自由になるだけで終了したら、全然ほかのキャラのストーリーとの絡みがないなと思っていたし、まだ続きがあるようで安心した。

ファーザーがそのへんの事実を全然知らないまま死んでしまったのは気の毒な気もするが、一般的な価値観にてらしあわせればめちゃくちゃ人を殺した極悪人のようだし、それくらいの不幸は背負ってもいいのではないか。

あえてセブの心境を想像してみる。憧れて愛した人からの裏切りと彼女の喪失が彼を歪ませた。ナイフによる美しい切り口は、マリエッタを思い出させてくれる唯一のものである。ナイフの傷がセブに思い出させるものは彼女との美しい思い出(=彼女の凄腕)であり、彼女を失ったことの確認でもあり(マリエッタもナイフで殺したのだろうし)、自分の技が彼女の腕を上回ったことの確認でもあり、つまりは生の充足と死による喪失を同時に味わっているわけで、それで胸がすーっとすンだわ!

セブにとってソローネは、マリエッタの忘れ形見であり、彼女の裏切りの象徴でもある。彼女を(一般的な幸せからは程遠い)「掃除屋」にすることはマリエッタへの復讐でもあり、同時に彼なりの愛情でもあった。セブが何よりも誇れるスキルを、惜しげもなくソローネに教えたわけで。まさに愛憎入り混じる感情。

「自分を殺してもらうため」はどこまで本心だったんだろう。

なぜ「自分を止めてほしい」と思ったんだろう。セブはマリエッタと出会った時点で凄腕の殺し屋だったっぽくて、もう倫理観とかはだいぶぶっ壊れてたと思うのだけど、完全に倫理観を手放せるほどには壊れてなかったってことなのかな。

「胸がすーっとする」ときに感じてきた「充足」と「喪失」のうち、「喪失」の方が徐々に上回るようになって、本当にすっきりすることは(自分の手でマリエッタを殺した以上は)もうないとわかっていて、だからもう終わりにすべきだと思ったのかな。

それとも「自分は愛されなかった」「マリエッタのいちばん大事な人にはなれなかった」ことに絶望してずっと死にたかったってことかな。

あるいはそもそも最初にマリエッタに出会った時点から、本当は彼女にあの美しい切り口で殺してもらいたかったのかな。それがうまく自覚できなくてセックスしちゃったのかな。だから「マリエッタのかわりに」「マリエッタと同じくらい腕を上げた」ソローネに殺してもらおうと思ったとか。

「ついでに俺も『自由』にしてくれよ」というセリフは、彼が感じていた「不自由」を想像させる。いったい何が不自由だったんだろう。欲? 自制心? 渇望?

これ読んでる人にもきいてみたいんだけど、ファーザーはソローネを抱いたことがあると思う??? 1章を見たときは間違いなくやってますわと思ったんだけど、今はやってないんじゃないかと思っている。

でも間違いなくソローネに対して性欲は感じていたと思うんだよね。マリエッタにそっくりなのだろうし(ドット絵と声から推測するに)。そのたびに「こいつは娘だ」「いや本当の娘じゃない」「本当は俺の娘のはずだったのに」という葛藤があったんじゃないかな。ソローネに娼婦の格好をさせたりチンピラに襲わせたりしたのは、その性欲をそのまま出せないがゆえの発露だったんじゃないか。まあ性的虐待ってレベルじゃねーぞ! な案件なわけだが。

もうね、教会でのシーンを見てから延々とファーザーの心情を考えてはうっとりしてしまう。この23年間抱えてきたであろう闇は深すぎて、想像のしがいがありすぎて、わたしの好物すぎる。彼にここまで入れ込んであれこれ想像してしまうのは、テキストの素晴らしさももちろんあるが、やっぱり堀内賢雄さんの熱演・怪演のおかげが大きい。本当によかった。ブラヴォーブラヴォー。

 

(230313追記)

記事を公開してから思い出したのだが(お前はいつもそうだ)、次に会うことになる「ソローネの実父疑惑? の人って、もしかしてマザーズガーデンのあの守衛さんか? もうほかに該当年齢の人が思いつかないし、ここにきてポッと出のキャラを出すかなあという気もする。

(追記ここまで)

 

百貨店の発明

パルテティオは蓄音機に続いて百貨店まで発明してしまうのか。

アルロンド氏よ、ベーシックインカムについてはさまざまな研究や実験があって、やり方次第で社会全体に活気を生むこともできるとも言われているが、そのやり方には当然ながら細心の注意が必要だぞ。

今までこなしてきた商売クエストがこんなところで生きてくるとは思わなくて、そこはすごくわくわくした。ちなみにわたしは蓄音機の話をして、その新規性、時代に新たな需要を生むイノベーションについてアピールした。

 

ざまあ

パルテティオを追ってきてるのは誰だろ? と思ったら秘書か! いたね、そんな人! きみそんなに強いなら、ガーネットちゃんをけしかける必要なかっただろ。あとそんなに蒸気まみれだと眼鏡曇るでしょ。

クビについては残念だが当然だとしか思わなかったが、なんとパルテティオはサースティを雇うという。マジで??? 遵法精神の身についてない社員は会社にとって巨大なリスクだぞ。

不安は大きいが、人と人との縁を大事にするのが商人としてのパルテティオのあり方だ。その縁がどこに結実するのか期待しておこう。

なお百貨店で売られているものは大変性能がよく、ここでだいぶ装備を整えることができた。

 

 

な ぜ 殺 し た

もっと大人になったところが見たかった

いや待ってよスクエニさん……。

なんで??? なんでクリックくんが死なないといけないの……。

こういう世界観のシナリオだということはわかってたよ? でもクリックくんは「ワトソン役」だから安全圏にいると思ってたんだよな。強いて言うなら、信仰心を裏切ることができないクリックくんと戦う展開はありえるかもしれないと思ってたんだけども。

つらい。

もうこれはガチへこみですわ。

クリックくんの無念を思うとつらいし、テメノスの失意も想像できてつらい。

クリックくんは、テメノスと一緒に育ったというロイと出会っていた。クリックくんの信仰心はロイとの出会いで生まれたものだった。

テメノスはクリックくんのことをロイと「どこか似ている」と感じた。

そのロイとクリックくんが同じように消されたことを、テメノスがどう受け止めたか想像するとつらい。

以前「友達が少ない」と語っていたテメノスが、きっと久しぶりに感じた「友情」の芽生えだったはずなのに。

自分との出会いが原因で、その友を失ってしまった。

もう事件とかどうでもいいからカルディナとかいうのをぶっ殺させろ。

ここまで誰に対しても丁寧な口調を崩さなかったテメノスが、ここで初めてそれをやめるのがとても良い。

ともに育った幼馴染を失い、育ての親である教皇を失い、新しく出会えた信頼できる友も失ったテメノスがここからどんな感情を見せてくれるのか、そこは楽しみだ。

このゲームはソロプレイもできるはずだが、わたしの世界ではテメノスに旅の仲間がいてくれてよかった。ソローネとテメノスがどちらも3章で喪失を経験し、互いにその喪失を埋める立場になっているのが特に好きだ。

 

 

汚いさすが人間汚い

ひとまずグラチェスは協力してくれることになり、一応めでたしめでたしということにはなったが、ここで描かれたのはなかなか難しい問題だ。

食べるためではなく名誉のために命を奪う人間たち。

オーシュットはそれを許せないと言うけれど、殺される立場にしてみれば、どんな目的があったところで命を奪われるという結果は変わらないし、理由や目的があったって納得できるものではない。

もちろん命を奪うならせめて大事に食べろという理屈もわかるけども、生態系をマクロな視点から見れば、命を奪われたものはどんな形であれいずれ大地の養分となり、次の命を育むのに使われる。

そして、人はパンのみにて生くるにあらずなんだよ、オーシュット。ただ食糧を摂取して命をつなぐことだけが「生きる」ということではない。人間には尊厳ある生が必要で、その尊厳がどんなところから生まれるかは、その人の所属するコミュニティによって異なる。ある文化においては「名誉」が場合によっては命よりも優先されたりさえする。

まあそんな諸々の理屈はおいといて、町の狩人たちを煽動するだけして、たくさん死なせた上にやまない吹雪まで起こさせておいて、責任もとらずいなくなった黒の狩人とやらはクソだと思う。

ようやくオーシュット2章の長い旅は終わり、トト・ハハ島に帰ることになった。ここで黒の狩人と対面することになるのかな。

 

さてこれでオーシュット以外は3章が終わった。

すでにテメノスのレベルは50、ほかのみんなも37くらいになっている。

レベル30をこえたくらいで海の探索はひととおり終えたが、渦潮につっこんでみたところボスに返り討ちにあった。そろそろあそこを越えられるだろうか? たぶん地図のまだ空白な地域は、あのボスを倒さないとたどりつけないということなのか。

4章に突入する前にもう一度各地をまわって、盗んだり聞き出したりもしておきたいところ。

 

 

本日の闇深案件

もうやだこの町!!!!

ちなみに上官は結構強かったので、ついでに殺すつもりならよほどうまく寝首をかくとかしないと返り討ちだと思うぞ。

 

 

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