「レインコード」クリアしたー!!
後半の展開は先が気になって、一気に駆け抜けてしまった。やっぱり面白いなー!
特にダンガンロンパプレイヤーを対象にしたトリックには思いきりやられて、もうこれが見られただけでも買ってよかったと思ったね! こんな形でのトリックは、少なくともわたしにとっては前代未聞だった。こういう経験ができるからアドベンチャーゲームはやめられないんだ……。
そんなわけで以下、エンディングまでのネタバレ感想!
「ダンガンロンパ」の内容にも言及しているので、未プレイの方は注意!
最初の感想はこちらから。
そしてボクもいなくなった
これ良いタイトルだったね。シナリオ展開も「そして誰もいなくなった」のパロディだったし。超探偵たちがひとりずつ白骨死体で発見されるのは、まあさすがに本当に死んではいないだろうとは思っていたけども、ユーマくん的にはなかなか絶望感のある展開だ。
わたしは4章が終わったときに「これで超探偵のキャラクター紹介と探偵特殊能力紹介が出そろったから、ここからが本格始動だ! 次の事件からは複数の探偵特殊能力を使い分けないと解決できない事件が出てくるんだな!」と思っていたので(それもあって超探偵たちは本当に死んでないだろうと思っていた)、まさか5章で終わりとは思っておらず、なんか急に話をたたんできたな? と思っていた。
ユーマくんが「最後の謎迷宮」とか言いだしたときも「またまたご冗談を」と思っていて、ここから出たあとほかの超探偵の力を借りながら謎解きをする章があるものだとばかり予想していた。
そういうわけで、本当に最後だった!!?!!?! というのがいちばんの驚きであった。5章の怒涛の話のたたみ方はたしかに面白かったのだけど、拍子抜けした部分もあったのは事実だ。やっぱりあれだけの能力を持った探偵たちがいるのだから、彼らの能力をフル動員する展開はほしかったなあ。ストーリー的にも、ゲーム体験的にも。
4章感想記事で「まだ中盤だと思うからヨミーがあっさり退場するには早すぎる気がして」今回の犯人候補からははずした旨を書いているのだが、実際にはもう終盤だったしヨミーはあれで退場だったわけか。
でもヨミーはあの廃村にはいなかったからまだ生きているのだろうし、そのうちマコトくんの管理下で裁判にかけられることになるのかな。
最初にも書いたのだけど、あのピンク色の血によるトリック(一種の叙述トリックということになるのか?)はダンガンロンパのプレイヤーならみんな普通に受け入れてしまってコロっと騙されたんじゃないかなあ。
でも0章でユーマくんが手を切ったときは赤い血だったし、出オチ探偵たちの血痕も赤かったんだよね。ユーマくんの「この血も全部本物なの?」というセリフも上手いよなあ。諸々こみで、ミステリィとしては大変フェアなやり方だったと言えるはず。
わたしは死に神ちゃん危機一髪のアナグラムで「ぴ」「ん」「く」の文字が見えたときにようやく「そういうことかあああああ!!!」と叫んだわけだが、実に気持ちよかった。
マコト・カグツチの正体
わたしはずっとユーマくんの方がホムンクルスでマコトくんがオリジナルだと思っていたのだが、逆だったんだな! 考えてみると3章のマコトくんの「もっと感動するかと思っていたけど」というセリフは、オリジナルとの対面を果たしたからこそのものだという方が自然だったな。
で、マコトくんが「世界探偵機構のナンバー1は自分の父親」的なことを示唆していたのも、ナンバー1=ユーマくんが自分のオリジナルという意味だったんだな。諸々納得。
日本の国生み神話によれば、カグツチはアマテラスと兄弟関係だ。どちらもイザナギ・イザナミの子供たちである。しかしカグツチの出産時にイザナミが亡くなったので、イザナギはカグツチを殺してしまう。
もしかしたらこの名前は、「父親に拒絶された息子」であるという自認から、マコトくんが自分でつけたのかも。「アマテラス」という名前と縁があるっぽい名前にすればアマテラス社と関係を持ちやすくなるかもしれないし。
でもユーマくん(ナンバー1と呼ぶべきか)自身も知らないうちに自分のコピーが作られていたのなら、戸惑いも大きかっただろうし、どう対処したものか悩ましかっただろう。
そういえば近々伊勢神宮に行くので、アマテラスにご挨拶してこよう。
「ホムンクルス」という言葉自体がたぶんミスリード目的で使われてたんだろうな。どう考えても今作の「ホムンクルス」はオリジナルの「コピー」であり、「クローン」と呼んだ方がわかりやすい。けど「クローン」という言葉を序盤から出してしまうと、それこそユーマくんが誰かのクローンか、もしくはユーマくんのクローンが出てくるのだろうと想像できてしまうから、その言葉を避けたんじゃないか。
クローンと違うのは、胎児から育つのではなくDNAを採取したときの成長段階までいきなり育った状態で生まれてくるというところかな。でも一般的に想像されるホムンクルスだって、普通は胎児から育つものだもんなあ。「ホムンクルス」という言葉の使い方と、今作における「ホムンクルス」の定義についての情報の出し方は、ややアンフェアな気もする。
さてマコトくんについてだが、ホムンクルスたちの平穏な生活を守るためという目的だったとしても、いくらなんでも重大犯罪を犯しすぎではないかという気はしている。本当に彼をアマテラス社の最高責任者のままにしておいていいのか。というか罪に問わなくていいのか。償うべきところは償うべきだと思うのだけど。
だってマコトくん、3年の間に人を殺しまくってたわけでしょ? いくら処刑される予定の犯罪者だからってスルーできないでしょ。
それからヤコウ所長と奇殺師フィンクに手を回して4章の事件を起こさせたのも、巻き込まれた当事者であるところの超探偵視点ではスルーできない。あのままヨミーがのさばる状態を放置している方が被害者は多かっただろうが、だったらせめて奇殺師フィンクに直接ヨミーの抹殺を依頼すればよかったのに。なんでヤコウ所長が死ぬ必要があったんだよ……。
あとマコトくん、奇殺師フィンクのことは直接手にかけてるっぽいよね?
それ本当にスルーしていいのか???
マコトくんはカナイ区の住民に「すべて」を打ち明けて住民投票を行ったそうだけど、実際どこまでを明らかにしたんだろう。犯罪者を殺して肉まんにしてみんなに食べさせてました! というところは公開したと思うのだけど、みんな本当にそれを受け入れられたんだろうか? マジで???? わたしなら無理だが????
我々の知るヤコウ所長もウエスカ博士もヨミーもフィンクもみんなホムンクルスだったわけだけど、彼らはマコトくんにとって「愛するカナイ区民」の中には入らない人たちだったんだろうか。
なんかこう、自身も含めたホムンクルスみんなが平和に暮らせるカナイ区を実現しようとしていた割に、使い捨てにされるホムンクルスが多くない? 彼らはマコトくんにとって犠牲にしてもいい人たちだったの?
一切の犠牲を出さずに理想を成すことは不可能だと思っていたとしても、それなら犠牲を出してもいいという判断、その線引きができるのはマコトくんだけでいいの?
カナイ区民は本当にそれでいいの? 次に何かあったとき、犠牲になるのは自分かもしれないのに?
なんかこう……大団円風に終わってくれたのはよかったものの、カナイ区の結末には非常にモヤモヤが残っている。絶対に真実に耐えきれずに身投げした人とか、精神を病んだ人とかが大量に出たでしょ? 自分が人間ではなくて、オリジナルの人間を殺して食べて入れ替わってました! という事実を突きつけられたら、まともな神経だったら耐えられないと思う。
あとユーマ・ココヘッド(真)のラーメンでホムンクルスの栄養問題が解決できるなら、マコトくんは3年間何してたのって話になっちゃうし。世界一の頭脳で、食糧問題はもっと早くになんとかならなかったのか。
ついでに、ウエスカ博士ってこの3年間いったい何の研究をしてたんだろう。自分の血液が人間ではなくホムンクルスのものだって、専門家なら一発でわかるんじゃないのか。
アマテラス社のホムンクルス研究は中止になったはずだが、だったらホムンクルス研究がご専門だったはずのウエスカ博士はあんな部屋にとじこもって何をしてたんだろう。何か別の研究があてがわれていたのかな。でもやっぱり専門家なら自分や周囲の血液サンプルから真実にたどりつきそうなものだが。
人間はホムンクルスを受け入れるのか
むしろこっちこそ大問題なんだよな……。
不老不死の存在を、人間は受け入れることができるんだろうか。それも日光を浴びると人間を襲って食べる危険性がある存在だぞ。殺しても死なない上に、一度死んで復活したら永久に人間を襲って食べるモードになるんだぞ。とてつもない脅威ではないのか。
そんなのと共存できる??????
ヤコウ所長のような、廃村に送られた狂暴化したホムンクルスたちはどうなったんだろう。一度ああなったらもう雨の中でも戻らないんだよね? 永遠にあの状態で人肉(あるいはラーメン)を求めてさまよい続けるわけ?
現在カナイ区で普通に暮らしているホムンクルスたちも、3年前に人間を殺して食べているのは間違いないわけで、うーん、自分ならそんな存在との共存はちょっと選択できない……。犬やクマでも人を襲った個体は基本的に殺されてしまうわけで。
問題はホムンクルスが(日光さえ浴びなければ)知的生命体という点なんだよな。それも何万人も存在している点なんだよな。危険すぎるので全員殺します! という結論もそれはそれで抵抗がある。なんだこれ、倫理学の問題か????
あまりにも倫理的な問題が大きすぎて、まだエンディングをうまく消化できている気がしない。ダンガンロンパとかいう不道徳の極致みたいなゲームを楽しんでおいて倫理的問題がどうこう言うのもヘソが茶を沸かす感満載なのだが。
いやダンガンロンパのエンディングはプレイヤーに解釈を任せるものだったけど、レインコードのエンディングは「ハッピーエンド風」な見せ方だったじゃん? それを本当に「ハッピー」なものだと受け取っていいの? という当惑がプレイヤーに発生するのは仕方ないような……。
それにしても、2章の感想で「もう余裕で2桁死んでる」と語っていたものだが、実際には空白の一週間の間に数万人単位で死者が出ていたわけで、すごい事件だったな……。
ナンバー1について
かつては何でもひとりで解決してきたナンバー1が、そのやり方ではこの事件に立ち向かえないことを悟り、「ユーマ」となってまわりの人の力を借りながら事件を解決し、最後にはカナイ区の人たちの意思に「託す」決断をするという結末にはなるほどね、と思わされた。
なんだけども、しかしながら、ナンバー1の探偵特殊能力が「能力共有」だったなら、彼がもともとひとりで何でも解決してきたわけなくない? もともとまわりの人の力を借りるの前提の能力じゃない? しかも手をつないでないと能力共有できないんだよね? 能力を借りるだけ借りて、解決は自分の脳内でサクサク進めちゃってまわりの人は口出しできないみたいな状態だったのか? マコトくんを見てるとそういうタイプだったのはわからなくもないかな?
絆イベントで「能力を持たない探偵」の強みは普通の人の気持ちがわかるところだと語ってくれたヤコウ所長。ユーマくんもその話には共感していた。
ナンバー1ならその話にはどう反応するのかが気になった。もしナンバー1にも「自分自身には特別な力はない(ほかの人の力を借りて事件を解決している)」という自覚があったらヤコウ所長の話に共感できそうだが、そこで共感できるような人ならその状態のままでマコトくんと対峙してカナイ区の秘密を暴けそうだしなあ。
ひとつ前の感想で「ナンバー1はなんでそこまでカナイ区の事件に入れ込んでるのに、本人が来ないのか」という疑問を書いていたわけだけど、本人はちゃんと来てたのでえらい。
マコトくんが「早くナンバー1本人に会いたい」と言っていたのは、カナイ区の謎をすべて明らかにした上で自分の過去も認識した「ユーマくん」と対峙したいという意味だったんだな。
そういえば「ココヘッド」の名前は co- head、すなわち共同経営者のことかな? ナンバー1が影武者と共同で世界探偵機構を動かしていたとか、ユーマ・ココヘッド(真)と名前を共有していたこととか、あとはやっぱり能力共有のことを示唆しているのかも。
このシーン、本を持って歩いているのがユーマくん(ナンバー1)で、「見習い」というのがユーマ・ココヘッド(真)だったんだな(なんてややこしい記述なんだ)。
ここをどう解釈すべきかずっと悩ましかったから、ちゃんと答えが出てすっきりした。
最後にはまるで1989年のマイアミみたいなところにいるユーマくん。
そんな日光がきつそうなところにはクルミちゃんが行きづらいのでは……。
あとせっかくまわりの力を借りながら事件を解決するスタイルをつくった(とされている)のに、結局ひとりで旅だってしまうのは、やっぱりそれまでの記憶を失って「ナンバー1」的な性質に戻ったということなのかなあ。マイアミ(のようなところ)で新しい仲間の力を借りながら事件を解決するのだろうか。
能力共有できる超探偵はいない、死に神ちゃんももういないユーマくんがこれからどうやって事件を解決していくのかについては気になるけど、続編は難しいだろうなあ。
あんなふうに感動の別れを果たした死に神ちゃんの力をまた借りにきました! というのも(プレイヤー的には嬉しいが)なんだか気まずいし。死に神ちゃん無し、つまり謎迷宮無しではゲームが成り立たないし。死に神ちゃんが別の人と契約して続編を作るのは……うーん、個人的には、この死に神ちゃんがユーマくん以外の人のことを「ご主人様」と呼ぶのを見るのはつらいかも。やっぱりユーマくんと死に神ちゃんのことを良い相棒だと思っているから。
死に神ちゃん、最初はうぜえwwwと思っていたけども、最後に別れるのは寂しかったな。
倫理観めちゃくちゃな発言が4章、5章では控えめになってたのって、ユーマくんの影響だったんだろうか。5章の謎迷宮なんて、だいぶ普通のことばかり言ってたような。突然ゾンビものになるというジャンル変更案件に動揺したのかもしれない。
わたしの中で死に神ちゃんが「うぜえwww」から「かわいいじゃん……」になったのは、たぶん2章の事件捜査中だな。
このシーン。繰り広げられている会話とは何の関係もなく、ドレスにおさまってる死に神ちゃんを見て「かわいいじゃん」となった。
肉まん工場でも「俺様ちゃん肉まんになっちゃった!」と言いながらベルトコンベアに流されていくのがかわいかったな。
周囲の状況に反応して好き勝手に行動するわ、自発的にしゃべりまくるわ、というNPCはRPGには珍しくて(今作の探索パートはRPG的だったのであえてそう書く)、新鮮だった。
システム的な部分
最後にちょっとシステム的な部分について。
ロードが大変遅いというのは事前に聞いていたので、ゲームプレイ中は常にiPadを手元に置いて、長時間ロード(主に推理デスマッチに入るとき)中はSNSを見たり野球速報を眺めたりしていた。だからそんなにストレスはなかったのだけど、そもそもゲームプレイ中にほかのことをやっている時点で世界に入り込むのを自ら阻害することになっており、推奨はできない。やはりロードが長いのは何をどうしてもゲームプレイの妨げになるし、集中力も途切れてしまう。
ほかの場面ではロード中に用語集を読めるからそこまで集中力が切れないのだが、推理デスマッチに入るときは何も読むものがないから余計に手持無沙汰なんだよな。しかも画面がバグったみたいになるから、何回かフリーズしたのかと思って電源を落としかけた。
それからこれは世のゲームクリエイター様たちに強く申し上げたいのだが、QTEによってゲーム体験が面白くなることはないのである。
むしろ物語を追う方に集中したいときに「ここでQTEの入力があるのでは?」という方に気を取られて、没入感の妨げになるのである。
さらにプレイヤーとしては主人公のかっこいい姿が見たいのに、自分の操作がダメなせいで残念な姿ばかり連続で見せられるのである。
わたしが許容できたQTEはFF16のもの(QTE入力は基本的に戦闘シーンのみ。物語に集中したいときにQTEが入り込むことはない。入力時間にもある程度余裕があり、使うボタンも非常に少ない)だけだよ!!!
頼むから物語を追うのが面白い作品は、物語の中にQTEを入れないで!!!!!
物語に集中させてくれ!!!!
そんな感じで、いろいろとモヤモヤやつっこみどころはあるものの、なんだかんだでこの世界を楽しませてもらった。
死に神ちゃんを好きになれたのがいちばん嬉しかったというか、このゲームを楽しむためのポイントだったかもしれないな。良いキャラだった。声もかわいい。
ある種のボーイミーツガールものだったともいえるのかもしれない。出会いから始まり、別れで終わる物語。そういう意味ではとてもきれいに終わってくれた。
次の作品でも楽しませてもらえることを期待している。